【産経抄】9月13日
産経ニュースこうしてこうすりゃ こうなるものと 知りつつこうしてこうなった。都々逸の文句じゃないが、朝日新聞の皆さんは、先月5日に慰安婦問題の特集記事を掲載したときに予見できた「結末」をさかなに、築地あたりで苦い酒をあおったのではあるまいか。
▼はた目からも気の毒なほど朝日は、迷走し続けた。32年たってからとはいえ、朝鮮半島で女性を強制連行した、と証言した吉田清治氏の記事を取り消したのと同時に社長が心から謝罪しておけば、傷は浅かったろう。
▼東京電力をおとしめるために書いたとしか思えない福島第1原発の「吉田所長調書」記事もひどかったが、慰安婦報道の方がはるかに国益を損なった。「日本軍は20万人の女性を性奴隷にした」という虚偽の「史実」を世界中に流布されるきっかけをつくったのが、一連の朝日の慰安婦報道だったことへの反省がまだまだ足りぬ。
▼一昨日の社長会見でも、おわびの主題は「吉田調書」の方で、「吉田証言」への謝罪はつけ足しだった。しかも一連の慰安婦報道が、国際社会に与えた影響などの検証は、社外の第三者委員会に委ねるという。外部の有識者に甘い言葉をかけてもらいたいのだろうが、どうも往生際が悪い。
▼朝日が火をつけたところに油を注いだのが、慰安婦募集の強制性を認めた平成5年の河野洋平官房長官談話である。談話見直しは、喫緊の課題なのに、河野氏の国会招致さえ自民党が消極的なのは、解せない。
▼二階俊博総務会長は「議長経験者を国会に軽々と呼び出せば、新たな問題が発生する」とわけのわからぬことを言う。元議長が国会で証言してはならぬ、という法律はどこにもない。日本人の名誉と議長の権威、どちらが大切なんですか、二階さん。