【国民の自衛官(2)】 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 

「本業」持ちながら14年訓練休まず
陸自第38普通科連隊 熊谷春樹・即応予備陸曹長(51)

産経ニュース



着弾を見極める訓練を行う熊谷春樹・即応予備陸曹長=秋田市の秋田駐屯地


「災害等招集命令書 熊谷春樹 災害等招集を命ずる。次により出頭されたい…」。東日本大震災発生6日後の平成23年3月17日、即応予備自衛官制度初の実戦招集命令を受けた。48歳の誕生日だった。

 秋田市の自宅から宮城県石巻市に向かい、1週間、支援物資の運搬に汗を流した。被災者から「ありがとう」「頑張って」と声を掛けられた。「少しでも笑顔を取り戻してもらえたらと思っていましたが、逆に励まされ、自衛隊への期待に身が引き締まりました」と振り返る。

 秋田県矢島町(現・由利本荘市)出身。昭和56年に陸上自衛隊に入り、第21普通科連隊(秋田駐屯地)に6年間在籍した後、退職し、秋田市の損害保険調査会社に就職。予備自衛官になった後、即戦力としての役割が期待される即応予備自衛官制度ができたため、平成12年に志願した。

 東北の即応予備自衛官を担当する第38普通科連隊(宮城県多賀城市)に所属し、秋田駐屯地で年間30日間の訓練に励む。重迫撃砲中隊の前進観測陸曹。着弾を見極めて指示を出す重要な役割だ。

 東北でただ一人、14年間訓練に出続けた。「職場の理解があればこそです」と感謝する。

 「常備自衛官だったころと比べ、わが国周辺情勢の緊迫を感じます。どんなときも出動できるよう、訓練を続けます」

 本業を持ちながらも、国防への思いは誰にも負けない。