朝日の誤報検証は朴大統領に塩送ったのではないか?
大高未貴氏緊急寄稿
ZAKZAK 夕刊フジ朝日新聞が5日朝刊で慰安婦問題報道の検証記事を掲載し、誤報を一部認めたことについて、各界から疑問や批判がわき起こっている。「女性を強制連行した」という虚偽証言を32年間も放置したことで、結果的に、国際社会における日本の名誉を傷付けた「罪」は大きい。国内外で慰安婦問題の徹底取材を続けている、ジャーナリストの大高未貴氏が緊急寄稿した。
朝日の「慰安婦問題の本質 直視を」「慰安婦問題どう伝えたか 読者の疑問に答えます」という大検証記事には正直、仰天した。
「韓国・済州島で慰安婦狩りをした」と捏造証言をした、吉田清治氏に関する記事や、韓国女性を女子挺身隊の名で慰安婦としたという、過去の報道を「過ち」や「混同」と認めたからではない。
そもそも、これらは報道直後の20数年前、雑誌メディアや有識者などの研究で「明らかに誤報」と認識されていた。
問題はそこではない。「今なぜ、この検証報道なのか?」である。私は「3つのもくろみ」を疑わざるを得ない。
第1は、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領に塩を送った疑惑だ。
東京都の舛添要一知事が先日訪韓し、朴氏と会談した。日韓局長級会談も行われている。ともに、安倍晋三首相と朴氏の首脳会談実現を見据えたものだが、朴氏は会談拒否の理由として「歴史認識」を挙げている。
朝日は検証で、「歴史問題の対立を超え…」「隣国と未来志向の安定した関係を築くには慰安婦問題は避けて通れない」と書いた。安倍首相に、朴氏と同じ歴史認識を持つことを暗に求めたのではないのか。
第2は、「河野洋平官房長官談話」の検証結果を相対化させる疑いだ。
安倍政権は、河野談話の見直しは否定しているが、有識者チームによる検証で、河野談話が歴史的事実を確認したものではなく、日韓両政府がすり合わせた政治文書だったことが明らかになった。このことは、政府が河野談話を見直さなくても、おのずと否定の方向に向かう。朝日としては、この流れが不都合だったのではないか。
第3は、風化しつつある慰安婦問題をテコ入れした疑いだ。
米政府高官ですら、朴氏に対し「いつまで、カビがはえたような歴史認識を問題にするのか」とあきれている。朝日が慰安婦とはまったく関係のない、ボスニア紛争の強姦事件まで触れたのは、慰安婦問題の焦点を「強制連行」から「女性の人権」にすり替える意図ではないのか。
朝日の検証記事には、ごまかしと思える部分や、歴史文書を無視したような部分が多々ある。だが、慰安婦問題の知識が乏しい外国人のジャーナリストや政府高官が読めば、「やはり日本人は20世紀最大の人権侵害を行った、野蛮で好色な民族だ」と思わせる仕掛けになっている。
私は検証記事を分析して、「朝日は、日本を未来永劫、衰亡させることが社是ではないのか」と思わずにいられなかった。