【皇室ウイークリー】(342) | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 

第85回都市対抗野球大会決勝の観戦に訪れ、観客に手を振られる天皇、皇后両陛下=7月29日午後、東京都文京区の東京ドーム



都市対抗野球を観戦された陛下、野球の本質を突く鋭いご質問 
雅子妃殿下「伊勢に来たかった」と20年ぶり神宮ご参拝



 天皇、皇后両陛下は7月29日、東京ドーム(東京都文京区)で、都市対抗野球の決勝戦を観戦された。昨年以来、ラグビーやテニスといった全日本級のスポーツ大会へお出ましになっており、今回もその一環でのご観戦となった。

 観戦されたのは、岐阜県大垣市代表の西濃運輸と、群馬県太田市代表の富士重工業との熱戦。1点を先制した西濃はご観戦開始からまもない六回裏、適時打が出て二塁走者がスライディングで生還、1点を追加した。両陛下はスピード感あふれるプレーに、何度も拍手を送られた。

 試合は、西濃が2-0で富士重工を下して初優勝した。富士重工は、先発の猿川拓朗(さるかわ・たくろう)、二番手の石崎剛(いしざき・つよし)の両投手とも球速140キロ前後の速球派だったのに対し、西濃の佐伯尚治(さえき・しょうじ)投手は、120~130キロ台ながら緩急をつけた投球で完封した。陛下はこの違いに関心を持たれたようで、説明役を務めた市野紀生(いちの・のりお)・日本野球連盟会長によると、なぜ緩い球のほうが打ちにくいのか、と質問されたという。

 都市対抗野球の「天覧試合」は、昭和天皇と香淳皇后の観戦以来45年ぶりだった。両陛下の東京ドームでの野球ご観戦は、陛下の即位前の昭和63年4月、プロ野球巨人-ヤクルト戦以来だ。この時は、皇太子さま(当時は浩宮さま)も一緒に観戦されていた。ちなみに、天皇以外の皇族が観戦される場合は「台覧(たいらん)試合」と呼ばれる。

 第85回都市対抗野球大会決勝が終わり、観戦に訪れられた天皇、皇后両陛下に礼をする両チームの選手たち=7月29日午後、東京都文京区の東京ドーム

 皇太子ご一家は28~29日、三重県伊勢市を訪れ、伊勢神宮を参拝された。神宮が20年に1度、社殿を造り替えてご神体を移す式年遷宮「遷御(せんぎょ)の儀」を昨秋に終えたのに伴うもので、両陛下も今年3月に参拝されている。敬宮(としのみや)愛子さまの神宮ご参拝は初めてで、皇太子妃雅子さまは平成6年以来20年ぶりに参拝された。

 ご一家は29日、衣食住の神である豊受大神(とようけのおおみかみ)を祭る外宮(げくう)に続き、皇祖神の天照大神(あまてらすおおみかみ)を祭る内宮(ないくう)をご参拝。内宮では、モーニング姿の皇太子さま、薄い緑色の参拝服姿の雅子さま、学習院女子中等科のセーラー服を着た愛子さまの順で一列に並び、玉砂利の参道を静かに進まれた。お三方は神職のおはらいを受けた後、「瑞垣南御門(みずがきみなみごもん)」前にしつらえられた「御拝座(ごはいざ)」と呼ばれる木製台(約1メートル四方)へ進み、玉串をささげてそろって拝礼された。神宮関係者によると、20年ぶりの参拝を果たした雅子さまは、外宮参拝後に「伊勢に来たかった」と話されたという。

 今回のご参拝では、両陛下の際と異なる点が見受けられた。両陛下は瑞垣南御門の奥、「内院(ないいん)」と呼ばれる最も尊いとされる場所まで進み、「正殿(しょうでん)」前で拝礼された。拝礼のための木製台は、御拝座とほぼ同様のものではあるものの、名称は「御浜床(おはまゆか)」と呼ばれる。神宮司庁によると、こうした違いは「ご身位」の違いによるものだという。


伊勢神宮の内宮を参拝された東宮ご一家=7月29日午後、三重県伊勢市
 

 秋篠宮ご夫妻は27日、文化部のインターハイと呼ばれる「全国高校総合文化祭」開会式臨席のため茨城県を訪問された。秋篠宮さまは29日には次女の佳子さまとともに同県を訪れ、同文化祭のマーチングバンド・バトントワリング部門などをご覧になった。

 27日は桂宮さまが6月8日に薨去(こうきょ)されてから50日目にあたり、「墓所五十日祭の儀」が東京都文京区の豊島岡(としまがおか)墓地で営まれ、皇太子さまをはじめ皇族方が参列された。喪主で父の三笠宮さま、常陸宮さまも車いすで参列し、墓前で立ち上がって拝礼された。

 高円宮妃久子さまは28日、東京都港区の明治記念館で開かれた第31回産経国際書展の贈賞式で、最優秀賞「高円宮賞」受賞者に賞状などを手渡された。