南三陸さんさん商店街の及善蒲鉾店を訪問される天皇、皇后両陛下=23日午前10時55分、宮城県南三陸町(代表撮影)
(23日・水/宮内庁発表分)
【午前】
両陛下 南三陸さんさん商店街ご視察(宮城県南三陸町)
両陛下 南三陸町長から復興状況などご聴取(町役場)
【午前・午後】
両陛下 ご会食《県知事、県議会議長、南三陸町長、町議会議長》(町役場)
【午後】
両陛下 時間調整のため、はまなすの館お立ち寄り(気仙沼市)
両陛下 岩井崎ご視察(同市)
両陛下 気仙沼市立階上(はしかみ)小学校お立ち寄り《同校校長とご懇談》(同市)
両陛下 気仙沼市長から復興状況などご聴取(同市・気仙沼プラザホテル)
「進む町の復興の様子をずっと撮影してまいります」。宮城県南三陸町の南三陸さんさん商店街でこう答えた写真館「佐良スタジオ」2代目、佐藤信一さん(48)に、天皇陛下は「防災にとっても貴重な記録なので、これからも撮り続けてくださいね」と話されたという。
3年前、デジタルカメラが入ったバッグを手に、高台に逃げた。壊れていく故郷を前に、夢中でレンズを向けた。
その日から、故郷と人々を撮り続けている。震災半年後に出版した写真集「南三陸から」に「レンズを向けてごめんなさい。でも辛い記憶も記録として残さないとと思う。二度と繰り返さない為に」と書いた。
写真集を事前に見ていた両陛下は、スタジオ前で、多くの町職員がいた防災対策庁舎が水没した写真をじっとご覧になった。一方、海と緑に囲まれた震災前の空撮写真に、陛下は「こんなにきれいな町だったんですね」と話された。母親の指を握る、震災後生まれた幼児の小さな手のアップ写真も飾った。復興は人からとの思いを伝えたかった。皇后陛下は「よい写真ですね」と声をかけられた。
「ここで育った自分しか伝えられない、復興の過程がある」。そう信じて、シャッターを切り続ける。
宮城県気仙沼市の魚市場を視察される天皇、皇后両陛下=24日午前
東日本大震災からの復興状況視察などのため宮城県を訪問中の天皇、皇后両陛下は24日午前、水揚げ量が震災前の6割程度まで回復した気仙沼港(気仙沼市)を訪れて魚市場を視察し、水産業の復興に取り組む人々を励まされた。
気仙沼港は岸壁が壊れて地盤も沈下したが、震災約3カ月半後の6月にカツオの水揚げを再開し、震災前からの生鮮カツオの水揚げ量日本一を維持している。
両陛下は見学デッキの上から、船から揚がったばかりの丸々としたカツオを市場の人々が仕分けする状況や、カツオで満たされた大きな箱が積まれた様子を見て、港に戻った活気を確かめられた。一方、水産加工施設の復旧は震災前の半分程度で、冷凍水産加工業組合関係者からも話を聞き、漁業を支える関連産業の状況にも耳を傾けられた。
両陛下は午後、宮城県を離れ、那須御用邸(栃木県那須町)で静養に入られる。28日ご帰京の予定。
宮城県気仙沼市の魚市場を視察され、手を振る天皇、皇后両陛下=24日午前