クリミア併呑によって幕末の国際情勢が戻ってきた | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 
西村眞悟の時事通信より。



No.976 平成26年 6月16日(月)

 我が国を取り巻く内外の情勢を概観すれば、
 
 まず「内」側の方、つまり、国内情勢
 主流は、与党内の自民・公明両党の集団的自衛権行使に関する「協議会」が象徴してあまりある。
 即ち、かつてチャーチルが「平和主義者が戦争(第二次世界大戦)をつくった」として次に通り語った内容とそっくりそのままだ。

「何も決定しないことを決定し、
 優柔不断でいることを決意し、
 成り行き任せにするということでは断固としており、
 変心しやすいということでは頑固であり、
 全力を挙げて無能であろうとする。」
 
これが国内情勢の主流である。
 従って、支那の外患に対処できない。
しかし、この危機を感じた国民の目覚めが大波になりつつある。
つまりこの「主流」を転換させる「うねり」が渦巻き始めた。
 その現れが、
 百田尚樹氏の「永遠の0」への若者を中心とする大きな共感と
 田母神俊雄元航空幕僚長が徒手空拳で出馬した東京都知事選挙における若者を中心にした大きな力強い支援の環の広がりと、
 雪の中で集まった六十一万票、
 である。
 さらに、このうねりを受けて、
 政界では、真の保守の結集する動きが始まった。
 それが、この度の、
 石原慎太郎氏と平沼赳夫氏の保守新党結成の動きだ。

 つまり、この国内情勢下にある我が国を、
 流動化する厳しい国際情勢が取り巻いているわけだ。
 そして、この厳しい情勢に対して、
 国内の「主流」が無力であり、
 さらに「利敵的」であることを国民が悟り、
 それによって、
 本年初頭から見え始めた「うねり」が、
 この現在の「主流」に取って代われば、
 危機は克服し得て国家の安泰は確保できる。

 そこで、次に「外」の情勢つまり国際情勢を概観する。
 
 現在、ロシアのプーチン大統領が、クリミアを軍事力でロシアに併合し、アメリカとNATOが手も足も出ない事態が遙かウクライナで起こっている。
 この「ロシアのクリミア併合」によって、
世界の「冷戦後の秩序」は一挙に過去のものとなった。
 即ち、「力によって他国を併合する時代」に入ったのだ。
 
 しかも、この新しい事態が、現れる地域は、
 「ロシアの西のウクライナ及び東欧」以外にもう一つある。
 それが、「支那の東の東シナ海及び南シナ海」である。
 もっと具体的に順序を追って言えば、
 尖閣、台湾そして沖縄さらに日本だ。

 約百六十年前のクリミア戦争の時、イギリス・フランス連合とロシアはクリミア及び東ヨーロッパでくたくたになって闘った。
 この時、この大戦争の圏外にあってフリーハンドを得たアメリカは、東洋艦隊をペリーに率いさせて江戸湾の浦賀に百門以上の大砲に実弾を込めて押し入ってきた。
 では、約百六十年後の現在、同じくウクライナ・クリミア情勢によってフリーハンドを得た国は何処か。
 それは、中共である。
 中共は、ロシアのプーチンがクリミアでした如く、
東シナ海上空をSU27戦闘機によって「中共の空」とし、
次に、尖閣を呑み込んで東シナ海を「中共の海」にし、
さらに台湾と沖縄を呑み込んで日本のシーレーンを扼し、
よって日本を屈服させる露骨な行動に打って出ることができるような国際情勢になりつつあることを認識している。
 
 そして、この中共の無道を抑止して思い止まらせ、
 また、侵攻して来れば直ちに撃退するかは、
 アメリカではなく、一にかかって我が国の意思と力による。

 即ち現在、国内状況も国際情勢も、
 我が国に黒船が来航したときと同じになっている。
 そして、この海の外から来襲する危機を克服して我が国の独立自尊を守る為に、我が国の国内体制を変革しなければならないことも幕末と同じである。
 
 つまり、我が国家の存続、サバイバルの為に
 幕末は「幕藩体制」を変革しなければならなかった。
 その為に、王政復古の大号令により、本来の日本に戻った。
 そして、現在は、「戦後体制」を変革しなければならない。
 その為に、幕末と同じく、本来の日本を取り戻さねばならない。

 本来の日本とは、
 蒙古を撃退した誇りある日本である。
 明治維新によって危機を克服した日本である。
 天皇を戴いて、
 軍隊を保有し自力で自国を守る誇りある国民の国日本である。

  天は日本を見捨ててはいない。
 既に、梅雨が始まる前に、この「本来の日本に戻るうねり」が
 国民の意識の上にも、政界の再編の動きにも顕れてきている。