「帰国につながるのか」 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 

【拉致再調査】
合意文書に問題点 「帰国につながるのか」 中山恭子・元拉致担当相



中山恭子参院議員(野村成次撮影)

 拉致被害者らの再調査について、元拉致問題担当相の中山恭子参院議員が産経新聞の取材に対し、日朝両政府の合意文書に記された生存被害者がいた場合の対応や日本独自の制裁解除時期に問題点があるとして、「被害者の帰国につながるか心配だ」と語った。

 合意文書には、日本人の生存者が発見された場合、「帰国させる方向で去就の問題に関して協議し、必要な措置を講じる」とされている。この文面からは、被害者が北朝鮮に残るか日本に帰るかどうかについて、北朝鮮国内で日本と北朝鮮が話し合うと読み取れるため、中山氏は「被害者は北朝鮮の中で『日本に帰りたい』という言葉を口にすることは決してできないということをしっかり認識しないといけない」と話す。

 平成16年5月に日朝首脳会談のため平壌を訪れた小泉純一郎首相(当時)は、曽我ひとみさん(55)の夫、チャールズ・ジェンキンスさん(74)と面会して日本行きを薦めたが、ジェンキンスさんは応じなかった。ジェンキンスさんが来日を決めたのは同年7月、第三国であるインドネシアで曽我さんと再会してからのことだった。

 14年10月の蓮池薫さん(56)ら5人の帰国も「一時帰国」という名目で行われ、5人の意思を受けて、日本政府が永住の方針を打ち出すまでに約10日の期間を要した。

 こうした経緯から中山氏は、生存する被害者がいた場合、まず日本に帰国させることを薦める。「拉致された日本国民をいったん日本に戻し、自由な環境で被害者の好きなようにさせるべきだ」と話す。

 中山氏が合意文書の中でもう一つ懸念するのは、日本独自の制裁解除のタイミング。文書では、特別調査委員会が立ち上がり、調査が始まった時点で解除されることになっているが、中山氏は「『調査を開始した』という北朝鮮の言葉だけを受けて解除するというのは、バランスが取れていない印象だ」とする。

 制裁解除の時期について、中山氏は「北朝鮮が把握している被害者名のリストとその状況について日本側に報告してくるという行動があって、初めて日本側が行動を起こすのがいいのでは」と指摘している。