中韓の反日国際宣伝戦略 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 

【解答乱麻】中韓・反日宣伝の実態調査し戦略を 明星大教授・高橋史朗


「従軍慰安婦」等の在米調査を終えて3月末に帰国した。戦後の日本に関わりの深い、米女性学者のヘレン・ミアーズとバイニング夫人の文書の研究からも大きな収穫を得た。ワシントンの国立公文書館所蔵のOWI(戦時情報局)OSS(戦略諜報局)文書によって「性奴隷」ではない実態が明らかになった。ロサンゼルス等の現地調査も行い、国会議員の勉強会で報告の機会も得た。

 慰安婦問題について、韓国メディア(「コリア・ヘラルド」3月16日付)は同公文書館から「戦時性奴隷への日本軍の関与」を裏付ける資料が見つかったと大きく報道し、東京新聞(3月23日付)も日本の国立公文書館から「河野談話が認めた軍の関与を裏付ける」元日本兵の供述資料が発見されたと報じた。また朝日新聞(昨年10月13日付)はインドネシアを取材し、「外交文書政府見解と矛盾」などと1、2面で報道した。

 しかし、いずれも「強制連行」や「性奴隷」を立証するものではなかった。まさに情報戦の様相を呈しているが、看過できないのは中韓の反日国際宣伝戦略である。

 韓国は東北アジア歴史財団を設立し、フランスでの漫画祭に女性家族部長官を派遣、慰安婦問題や領土問題などの国際的な発信活動を予算化するとともに、韓国語・韓国文化教育機関の世宗学堂を52カ国120カ所に開設している。

さらに「韓国の正しい姿」をインターネット等などで情報宣伝工作活動を行う市民団体「VANK」(会員は韓国人10万人、外国人2万人)を外交部が支援(協力覚書を締結)し、慰安婦や領土問題に関する広報活動を行った結果、2000年には3%にすぎなかった世界地図の「東海」と「日本海」の併記が30%に拡大、今年3月には米バージニア州で教科書に併記を求める法案が成立した。

 また、全寮制で私立の「民族史観高校」に優秀な生徒を入学させて、世界の有名大学に入学させ、VANK活動を課し、若者によるメール攻勢が政府の国際宣伝活動に大きな役割を果たしている。

 中韓の共通点は、テレビ・ラジオの国際放送と海外メディアを活用した宣伝活動、海外拠点の構築に力を入れていることである。中国政府は国際会議や議会工作に力を入れ、世界120カ国の教育機関に孔子学院・講堂を設立し、中国語・文化教育を普及している。

 このような反日国際宣伝戦略の実態を調査し、対抗する広報戦略を構築するために、自民党が「国際情報検討委員会」を発足させた。中韓の反日宣伝に起因する米国内の日本の子供へのいじめも深刻化し早急な対応が求められる。

まず自民党の同委員会が訪米して中韓の宣伝・ロビー活動の実態調査、日系人からのヒアリング(いじめ問題を含む)等を行い、調査結果を踏まえ、国家的な文化広報戦略の長期構想を構築して予算化し、孔子学院や世宗学堂に匹敵する「日本の真実を発信する」海外教育機関の展開、国内外の拠点の構築(対策本部と民間の新組織を設立し、政府が支援)、民間活動の資金援助、NHKの国際放送の見直しなどに着手してほしい。

 不当に歪(ゆが)められた日本の名誉を回復するため、官民一体となってオール・ジャパンで臨む必要がある。「従軍慰安婦」問題については、誰もが納得せざるを得ない実証的な客観的資料を解説付きで英語で普及することが大切である。

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【プロフィル】高橋史朗

 たかはし・しろう 埼玉県教育委員長など歴任。明星大学教育学部教授。男女共同参画会議議員。