【震災から3年 福島のリアル】復興バブルが生んだ光と影
にぎわう風俗街・小名浜 よそ者による事件多発
ZAKZAK 夕刊フジ東日本大震災から3年が経過した。激震と大津波、原発事故に襲われた福島では、いまさまざまな変化が起きている。復興需要から経済が活性化し、夜の繁華街はバブルで盛り上がる。その半面、雇用の流動化で想像もしなかった事件が発生するなど治安の悪化がみられ、住民たちの不安はつきない。あの日以来、揺れ続ける被災の街をルポする。(安里洋輔)
いわき市小名浜。港近くの商店街から路地を1本入ると、ネオンが輝く一角に出る。10軒近くの店舗が軒を連ねるソープランド街だ。
毎夜、一時の癒やしを求める男たちが誘蛾灯に誘われるように集まってくる。
「ひと頃に比べれば落ち着きましたが、相変わらず客の入りは上々です。『稼げるから』と週末に東京のほうから出稼ぎに来る娘(コ)もいますよ」(店舗関係者)
にぎわいは風俗業界全体に及んでいるようで、地元の利用客の1人は「週末ともなるとホテルはデリヘルの客でいっぱいになる。客が多すぎて(デリヘルに)断られることもある」という。
業界の活況を支えるのは、除染や原発関連の工事を担う作業員たち。福島第1原発の事故後、数万人が県内入りしたとされる。
「きつい作業でストレスをため込んだ男たちが、週末にいわきにやってきて派手に遊ぶ。おかげで飲食店の売り上げも伸びているという話だよ」(市政関係者)
だが、復興への光は同時に影も生んだ。
「地元ではデートスポットとして人気だったんですがね」
いわき市に住む男性(40)は、寂しそうにつぶやいた。
全長2キロほどの小名浜の永崎海岸。2012年9月、車内でくつろいでいた20代のカップルを4人組の男が襲った。
「男たちは、刃物を突きつけ、『金を出せ』と脅迫。現金3万円を奪った上で、男性に暴行を加え、女性を集団で乱暴した。卑劣な犯行に及んだのは、原発事故の復旧工事のために県外から来ていた現場作業員だった」(捜査関係者)
男らは、いずれも神奈川県内の建設会社に勤務していた。事件当時、小名浜の民宿で寝泊まりし、11年9月まで原発事故の避難区域に指定されていた広野町の現場まで通っていたという。
あの日以来、地元住民が「よそ者」と呼ぶ、仕事を求めてやってきた彼らの事件やトラブルが後を絶たない。
「なかには犯罪歴のある荒くれ者やヤクザ者もいる。現場で強いストレスにさらされるため、憂さ晴らしに暴れる者も多い。いわき駅前の歓楽街では、『スナックでホステスが監禁された』とか『刃傷沙汰があった』とかしょっちゅう聞く。事故前に比べて治安が悪くなってしまった」(前出の男性)
福島県警のまとめでは、昨年6月までに県内で事件を起こし、逮捕・摘発された徐染の作業関係者は少なくとも63人にのぼる。
復興の希望と、言い得ぬ恐怖。被災者はそんないまを生きている。 =つづく