米国もまた中国の術中 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 



【突破する日本】
朝日の論調は大丈夫か? 中国軍拡の口実与え、欧米を不安に…。

ZAKZAK 夕刊フジ



アンネ・フランク関連の書籍が破られる事件を報じた際、「日本社会の右傾化が背景にある」とのコメントを掲載(2月28日)した朝日新聞は3日、今度は「ヘイト落書き 許さない 大久保で清掃」との見出しの写真付き記事を掲載している。

 「コリアンタウン」として知られる東京・大久保と、その周辺の約50カ所で、在日韓国・朝鮮人らを蔑視する落書きが見つかり、ボランティア約50人が消す活動をしたことを伝えるものだ。

 落書きは「コリアン日本へ来るな」「帰れ」等があったとした後、ご丁寧にも「ナチス・ドイツのシンボル『かぎ十字』など」があったと紹介している。普通の日本人にはなじみのない反ユダヤ主義が、日本にもあると対外発信しようとするかのような記事だ。

 同日の朝日は、安倍晋三首相が進めようとしている集団的自衛権の行使を可能にする政府の憲法解釈変更について、1面から大特集を組み、大型社説も掲載している。社説は「日本が安全保障政策を改めるにあたっては、近隣諸国の理解を得るのが望しいことはもちろんだ」といい、それなのに安倍政権は「不信と反感をあおるばかりだ」という。朝日は大丈夫か。

 「近隣諸国」は誇張や捏造した歴史問題で日本を国際的に貶め、日本の固有の領土を侵略しようとしている。そのために安倍政権は安保政策を改めようとしているのに、彼らが「理解」を示すわけがないではないか。

 続けて、社説は「そんな政権が安保政策の大転換に突き進めば、中国は一層の軍拡を口実にするし、欧米諸国も不安を抱くに違いない」ともいうが、どの口が言うのか。

 中国は、朝日が現在の安倍政権下の日本を「右傾化」だの、ナチスと同一視して「危険」と書き立てることをこそ、口実にして軍拡するだろう。欧米諸国も、朝日が安倍政権を危険視するがゆえに「不安」を抱いてしまう。中国に軍拡の口実を与え、欧米を不安にさせているのは朝日の論調の方ではないのか。

 米国の無理解や誤解も気になる。知日派の代表格であるアーミテージ元国務副長官が2月27日、首相の靖国参拝について、講演で「中国を喜ばせたことは間違いない」と述べたという。

 しかし、「中国を喜ばせた」のは、米国政府が同盟国・日本の首相の戦没者慰霊・追悼行為を擁護ではなく、逆に「失望」と突き放し、同氏のような知日派までが冷淡だからではないか。現在の米国の余裕のなさの表れとも言えるが、米国もまた中国の術中にはまっている。

 ■八木秀次(やぎ・ひでつぐ) 1962年、広島県生まれ。早大法学部卒業。同大学院政治学研究科博士課程中退。国家、教育、歴史などについて保守主義の立場から幅広い言論活動を展開。第2回正論新風賞受賞。現在、高崎経済大学教授、安倍内閣が設置した教育再生実行会議委員、フジテレビジョン番組審議委員、日本教育再生機構理事長。著書に「国民の思想」(産経新聞社)、「日本を愛する者が自覚すべきこと」(PHP研究所)など多数。