シベリア抑留の記録を世界の人々に…。
京都府舞鶴市、引揚記念館資料を世界記憶遺産に申請。
産経ウェスト端野いせさんが引揚援護局へ託した息子へのハガキ
第二次世界大戦後にシベリアなどから引き揚げた抑留者たちの関連資料について、京都府舞鶴市は4日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界記憶遺産登録に向けた申請書を送付した。申請資料は、“岸壁の母”のモデルとされる端野いせさんが、息子の端野新二氏に宛てて書いたはがきなど、舞鶴引揚記念館に収蔵されている関係資料570点で、平成27年の登録を目指している。
申請書の表題は「舞鶴への生還1945~1956 シベリア抑留等日本人の本国への引き揚げの記録」。申請資料のなかには、シベリア抑留者がシラカバの木の皮にすすで作ったインクで、故郷を思う気持ちを和歌や俳句にしたためた「白樺日誌」のほか、捕虜として抑留された夫から留守家族にあてた郵便と夫の帰国を待つ妻の日誌なども含まれている。
舞鶴は昭和20年から13年間にわたり大陸から約66万人の引き揚げ者を受け入れてきた。同館はこうした史実を伝えようと、63年4月にオープン。当時の衣類や生活用品、写真など、引き揚げやシベリア抑留に関する貴重な資料約1万2千点を収蔵し、一部の展示などを行ってきた。
同館を運営する市は平成24年7月に世界記憶遺産への登録を目指すことを表明。東京女子大の黒沢文貴教授を会長とする有識者会議を立ち上げるなどして申請に向けた準備を進めていた。留守家族の心情が読み取れる北田利氏の妻の日誌