「暗愚の宰相」 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 

【産経抄】2月1日


もの書きの端くれとしてまず気をつけているのは、言葉の刃(やいば)で必要以上に人を傷つけず、かつ安易なレッテル貼りをしないように、という2点である。ご冗談を、という読者の声が聞こえてきそうだが、情念への発火性が強い「売国奴」といった言葉は極力、使わないようにしてきたつもりである。

 ▼もの書きでない村山富市元首相は、そういう配慮はしないらしい。社民党の会合で元首相は、「本人の気持ちを守るために国を売るような首相があるか」と、靖国神社を参拝した安倍晋三首相をののしった。

 ▼首相を務め終え(投げ出し)てからかなり時間がたつので、ご自分のなさったあれこれをお忘れになったらしい。つい最近も書いたばかりだが、阪神大震災発生時のもたつきぶりだけでも「暗愚の宰相」の称号をさしあげるに値する。

 ▼オウム真理教の危険性を警察当局が事前に察知しながら、地下鉄サリン事件を防げなかったのは村山政権だったから、という説さえある。極めつきは、独りよがりの贖罪(しょくざい)意識で戦後50年にあたって「村山談話」を出し、「アジア女性基金」をつくって元慰安婦に償ったつもりになったことである。

 ▼韓国の元慰安婦のほとんどは、償い金受け取りを拒否し、火に油を注いだだけだった。今やフランスで開かれている漫画の祭典に、韓国政府が慰安婦をダシに日本人を侮辱する企画展を開くまでに事態は悪化している。

 ▼村山氏こそ「本人の気持ちを守るために国を売るような首相」だったのである。「アベノミクス」による円安のあおりを食った中国と韓国は国を挙げて「安倍たたき」に狂奔している。これ以上、両国の走狗(そうく)となって売国奴の汚名を末代まで着ぬよう、元担当記者として願ってやまない。