朝日を笑う。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 



【産経抄】12月7日

 大まじめに書かれた新聞記事を読んで笑う、というのは天に唾するようなものだが、久々に大いに笑わせていただいた。朝日新聞(6日付)に載った「規制の鎖 あなたにも」と題する特定秘密保護法の危険性をイラスト入りで、解説した記事にである。  

▼防衛産業で働く男が、「あまり知られていない」発射に失敗して海に落ちた北朝鮮ミサイルの軌道について同窓会で話し、その内容を同窓生のA子がブログにアップしたら、捜査機関から取り調べを受け「有罪」になった、というお話。怖い話だが、実際にはこんなケースはあり得ない。  

▼これまでも北朝鮮が射程の長いミサイルを発射しようとすれば、各国の軍事衛星が兆候をとらえ、それをメディアが報じて大騒ぎになってきた。ミサイル発射失敗が「知られていない話」である可能性は乏しく、もしそうなら、記者の取材力がかなり落ちている、という前提なのだろう。

▼第一、抄子の同級生や知人に「防衛産業で働く男」が何人かいるが、飲み会で機密をペラペラとしゃべる者は誰もいない。危険性を熱く語るのも結構だが、大げさなつくり話は、読者を鼻白ませるだけである。  

▼むろんこの法律は、小欄も書いてきたように、もろ手を挙げて賛成できる代物ではない。重要法だという割に担当大臣は危なっかしく、毎日のように急ごしらえの「新機関」が登場する始末だ。  

▼それでも賛成せざるを得ないのは、あの国やこの国のおかげで東アジア情勢が急激に緊迫しているからである。情報の「官僚独占」を許さない仕組みや不十分な点は、次の国会以降、どんどん改めればよい。付け加えると、この法律が施行されて畏縮するような記者は小紙にはいない。ちょっと格好良すぎるが。