邦人救助、テロ対策も視野に-海自がジブチ拠点拡充へ
政府交渉へ
政府がアフリカ東部ジブチに置く海上自衛隊海賊対処部隊の活動拠点の機能を拡充するため、近くジブチ政府と交渉に入ることが6日、分かった。地球規模で頻発する国際テロ事件や大規模災害による邦人保護といった海賊対処以外の役割を強化するため、在外邦人の救出に向かう政府専用機や自衛隊機の給油、中継地として整備する。
政府は、日本人10人が犠牲になった今年1月のアルジェリア人質事件の教訓を踏まえ、緊急時に自衛隊による在外邦人の陸上輸送を可能にする自衛隊法改正案を国会提出している。1日に衆院を通過し、今国会で成立する見通しだ。このため、在外邦人保護の態勢強化の一環として、ジブチの海自拠点拡充に踏み切る。
ジブチの活動拠点は、ソマリア沖アデン湾で海賊対処任務に当たる海自航空部隊の派遣が長期化したことから、平成23年6月、自衛隊史上初の海外拠点としてジブチ国際空港北西地区に開設した。安倍晋三首相も今年8月、日本の首相として初めてジブチを訪問。活動拠点の視察や隊員の激励を行った。
また、ジブチは港湾施設も充実しており、海自は駐機場や整備格納庫、補給倉庫、危険物保管庫など約12ヘクタールの施設を約47億円をかけて整備。海自艦艇による大量の物資輸送も見込める。
このため、政府は政情が不安定な中東やアフリカなどでテロや人質事件が起きた場合、必要な機材を積載した政府専用機をジブチに派遣。活動拠点を警備している陸自レンジャー部隊を乗せた上で、邦人を保護する作戦を想定している。
邦人救出以外にも、国連平和維持活動(PKO)や国際緊急援助活動の派遣部隊、機材輸送の中継地としての役割も視野に入れる。
ジブチは、米軍や旧宗主国のフランス軍がそれぞれ2500人ほど駐留している。アフリカ随一の軍事拠点とされ、米仏両国などの協力を得やすいというメリットがある。
政府はジブチ政府との交渉がまとまり次第、施設の整備や要員の追加派遣などに取りかかる方針だ。
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