沖縄県宮古島に到着した地対艦ミサイルの装備=6日午前、宮古島市平良港(半澤尚久撮影)
宮古島に対艦ミサイル展開、自衛隊訓練で初。
中国の海洋進出牽制。
自衛隊は6日、離島奪還を想定した統合演習(1~18日)で、宮古島(沖縄県宮古島市)に陸自の地対艦ミサイル「88式地対艦誘導弾」の部隊を展開させた。演習で地対艦ミサイル部隊の沖縄周辺の離島への展開は初めて。先月には九州-沖縄-台湾を結ぶ第1列島線を北海、東海、南海の3艦隊が初めて同時に突破するなど海洋活動を拡大させている中国海軍を牽制(けんせい)する狙いがある。
6日午前7時、88式地対艦誘導弾の発射機などは、宮古島の平良港に入った民間フェリーから車両に載せられ運び出された。空自宮古島分屯基地に移動し、部隊は装備を展開させた。
装備は北海道の地対艦ミサイル部隊のもので、宮古島への展開は中国との有事を想定した「南転」と呼ばれる運用方法。陸自の海兵隊機能に欠かせない「高速輸送艦」への転用を検討している民間フェリーで宮古島まで運んだ。
88式は洋上を低高度で飛び、射程は百数十キロ。宮古島から200キロ離れた尖閣諸島(沖縄県石垣市)には届かないが、対中有事では尖閣奪取に加え、宮古島などへの波状的な侵攻も想定されており、それを抑止するには宮古島への展開は有効だとされる。
今回の離島奪還訓練のポイントは陸海空3自衛隊の統合運用の強化で、防衛省幹部は「地対艦ミサイルの命中精度を高めるには敵艦艇の位置情報を海自のP3C哨戒機とリアルタイムで共有することが課題だ」と指摘している。
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