献身的に働く自衛隊…。
行方不明者いる限り重機使わず流木撤去。
嘉納愛夏・大島ルポ
★女性戦場カメラマン嘉納愛夏・大島ルポ
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20131026/dms1310261449006-n1.htm
戦場や紛争地の取材を重ねるフリーカメラマンの嘉納愛夏氏が、台風の被災地と自衛隊の活動をリポートする。
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伊豆大島(東京都大島町)に台風26号が残した爪痕はあまりにも深く、むごかった。私(嘉納)は19日に島に入り、自衛隊に密着した。東日本大震災以来、自衛隊は陸海空3隊の「統合任務部隊(JTF)」を立ち上げ、1000人以上で救助・救援活動にあたった。
土石流が襲った住宅地では、接近する台風27、28号を気にしながら、陸上自衛隊第44普通科連隊が不明者捜索を行っていた。そこに行方不明者がいる限り、重機は使えない。隊員が力を合わせて流木やガレキを移動させ、慎重に作業を続けた。
海上自衛隊の輸送艦「おおすみ」は、全通甲板などに車両50台や物資などを載せて到着した。島の港は大型船が入港できないため、搭載するL-CAC(エアクッション型揚陸艇)を使って、黙々と陸揚げ作業を続けた。
航空自衛隊のC-1輸送機も、重機や車両、人員を入間基地からピストン輸送していた。東日本大震災の被災地など、過去の取材で出会った隊員にも再会したが、笑顔はなかった。
「被災者のために…」と献身的に動き続ける姿がそこにあった。
■嘉納愛夏(かのう・あいか)
1970年生まれ。神戸芸術工科大学卒業。FRIDAY専属カメラマンを経て、2004年からフリーに。戦場や紛争地、大規模災害、自衛隊取材などの第一線に身を投じてきた。趣味は料理と蝦夷鹿ハンティング。写真集に「中東の戦場スナップ」(アルゴノート刊)など。