【誇れる国、日本】
「東京五輪」決定で開ける経済大国復活への道。
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20130907/dms1309070731000-n1.htm
東京五輪のメーン会場となる新しい国立競技場の完成予想イメージ (招致委提供)
2020年夏季五輪開催地は、ブエノスアイレスでの国際オリンピック委員会(IOC)総会で7日夕(日本時間8日早朝)、決定する。1964年の東京五輪では、日本中が「開催国にふさわしいインフラ整備を果たし、五輪を成功させよう」と結束した。ソウルも北京も開催決定を機に国を挙げて国家の近代化に取り組んだ。
オリンピックは「スポーツの祭典」というだけではない。4年ごとの世界最高の科学技術や、映像や音楽といった最新芸術などを競い合う場でもある。私はモントリオール五輪以来、モスクワ五輪を除き、すべての開会式か閉会式を観覧している。これらを直接現地で見て、感動したものだ。
東京五輪の開催が決定すれば、若いアスリートは五輪出場を目指して強化に励むだろう。政府は開催年を目指した「国家7年プロジェクト」を策定すべきだと思う。49年前の東京五輪に合わせて整備され、老朽化が目立つ首都高速環状線と縦断道路などを、地下40メートルより深い大深度地下に建設することも一案だ。
同時に、羽田空港と東京駅、成田空港をつなぐリニア高速鉄道も建設し、高架橋に奪われた川と空を取り戻し、東京を皇居を中心にして緑あふれる都市に造り替えるべきだと考えている。
資金調達は、超低金利時代の今、超長期国債や相続税が免除される1人1000万円限度の無利息無税国債の発行など、いくらでもある。民間活力を生かし、東京を世界一交通アクセスのよい都市に再生する。地下化は地震対策にもなる。
インフラだけではない。日本人は自信を失いつつあるが「自国での五輪開催」という国家的使命を共有できれば、国論を統一し、1人ひとりが新たな希望と目標を持てる。これは、さまざまな分野を活気づけ、技術革新を後押しし、日本経済の起爆剤となる。
観光もそうだ。日本は美しい自然に囲まれ、食べ物はおいしく、人情は厚く、交通網は整備され、治安も良い。五輪開催を機に、世界中から現在の3倍の3000万人の人々がやってくる観光立国を目指せばいい。
私は世界77カ国をまわり、各国の要人と会談してきた。その際に必ず「国連憲章の旧敵国条項の撤廃」と「東京五輪招致への協力」を訴えてきた。五輪開催は、日本を世界第2位の経済大国に復活させ、世界にさらに貢献できる国にする。
国民の多くが五輪招致を熱望する中、マイナス要因となっているのが、東京電力福島第1原発の汚染水問題と一連の報道だ。政府は早急に事態の解決にあたってほしい。
報道機関も危機感をあおり、批判するだけではダメだ。汚染水を国際排水許容基準以下にまで希釈し、深海部までパイプを引いて放出する方法などを検討し、その場合の健康被害の有無を科学的根拠と確率計算に基づき報道してはどうか。
恐怖感だけをあおる一部の報道を見る度に、私は「何か別の意図があるのではないか」と疑ってしまう。
■元谷外志雄(もとや・としお)
石川県小松市生まれ。信用金庫勤務後、27歳で注文住宅会社を創業し、その後、ホテルやマンション、都市開発事業などを手がけるアパグループを一代で築き上げる。同グループ代表。国内外の多くの要人と交友関係があり、政治や経済、軍事に関する知識も豊富で、社会時評エッセーも執筆する。著書に「誇れる祖国『日本』」(幻冬舎)、「報道されない近現代史」(産経新聞出版)など。