【皇室ウイークリー】(289) | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 






両陛下、「私的ご旅行」でも被災地へ。

にじむ風評被害払拭へのお気持ち。

皇太子殿下は岡山、大分ご訪問。


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原発事故で全村避難中の福島県飯舘村の小学生らが通う合同仮設校舎を訪問し、住民らに笑顔で手を振られる天皇、皇后両陛下=7月22日、福島県川俣町





 天皇、皇后両陛下は22、23日、福島県を訪問された。名産の桃を鑑賞する「私的旅行」という位置づけの訪問だったが、両陛下は東日本大震災からの復興状況の視察や、東京電力福島第1原発事故の風評被害に悩まされた人たちのために心を砕かれ、実質的には「被災地訪問」ともいえる旅行となった。

 22日は原発事故で全村避難中の飯舘村で、昼間だけ操業を続ける精密部品工場「菊池製作所福島工場」を訪ねられた。宮内庁関係者によると、両陛下は以前から同村訪問を希望されていたという。

 工場は、放射線の年間積算線量が20ミリシーベルト超の恐れがある居住制限区域内にある。約300人の従業員は区域外から片道1~2時間かけ通勤しており、出入り口には除染のための「エアシャワー」や靴底の洗浄装置がある。皇后さまは従業員に「これからも大変でしょうが、頑張ってね」と声をかけられた。菊池功社長(70)によると、「飯舘村が早く元に戻るように願っています」とも話されたという。

両陛下は、同工場で部品の一部が製造されている「ガンマカメラ」もご覧になった。これは、放射線量が高い部分が赤色で示されるカメラ。陛下は仕組みなどを詳しく尋ね、「除染効果を目で確認できます」と説明を受けると、「効果的にできるでしょうね。本当に大事なものですね」とうなずかれていた。

 飯舘村への行き帰りの際には川俣町内で、同村出身の小学生が通う合同仮設校舎にお立ち寄りに。菅野典雄村長や校長らから話を聞き、集まった住民らとも交流された。皇后さまは、8月に出産を控える女性の腹部をなでて「元気な赤ちゃんを産んでください」と話された。

 ただ、23日に予定されていた桑折町(こおりまち)の桃農家訪問は、県内で起きた豪雨被害に配慮して取りやめられた。両陛下が楽しみにしていた桃畑は見られなかったが、宿泊先では農家の男性と会い、風評被害について話を聞かれた。桃も召し上がり、皇后さまは「おいしい」と話されたという。

「両陛下は復興に努力する福島で楽しい時間を過ごし、被災地への誤った風評を打ち消そうとされたのかもしれない」。宮内庁幹部はこう推測する。実際、宿泊で立ち寄られた福島市の飯坂温泉も、風評被害を受けている場所だ。約50軒の旅館の観光客数は、今も震災前の6~7割。温泉旅館協同組合事務局の女性は「両陛下に来ていただけて心からうれしい。福島に対する誤ったイメージがなくなり、みなさんにも安全だと分かってもらえる」と話した。両陛下は23日午後から静養のため那須御用邸(栃木県那須町)に入り、26日、帰京された。

 皇太子さまは24日、岡山、大分両県の訪問に出発された。29日の帰京まで計6日にわたる地方ご訪問で、病気療養中の皇太子妃雅子さまは同行されなかった。

 25日に岡山県玉野市の三井造船玉野事業所を訪れた皇太子さまは、航海訓練所の練習船「大成丸」の命名・進水式に臨席された。関係者らが見守る中、シャンパンを船体にぶつけて割られ、大成丸は吹奏楽の演奏に乗って瀬戸内海へと進んだ。26日午後には、全国高校総合体育大会の総合開会式臨席などのため、大分県へ移動された。

寛仁親王妃信子さまの長女、彬子さまは21日、子供たちに日本の伝統文化を伝える一般社団法人「心游舎」の活動で訪問していたシンガポールから帰国された。高円宮妃久子さまは25日、東京・上野公園の東京都美術館で開幕した第30回記念産経国際書展(産経新聞社、産経国際書会主催)を鑑賞された。



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三井造船玉野事業所を訪れ、練習船「銀河丸」の船内を視察される皇太子殿下=7月25日、岡山県玉野市