★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2013.07.19) | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 






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◆アメリカが色んな意味で主戦場になる

島田 今、元国務副長官のリチャード・アーミテージさんの話がでましたが、アーミテージさんは副長官をやめてからも何度も会ってくれています。彼の言った言葉の一つは、「拉致問題と核問題、北朝鮮にとってどっちが解決が易しいかというと、明らかに拉致問題だ。事実を認めて被害者を返せばいいだけだ」と。一方、核問題というのは安全保障に絡みますから、「なかなか核廃絶はしないだろう。

 従って、拉致問題で北がどういう態度を取るかというのは、核問題でどこまでやる気があるかを見るメルクマールになる。判断材料になる」と。そして、「拉致問題で嘘を言っている北が核問題で本当のことを言う筈がない。従って、だまされやすい国務省の官僚なんかを教育する意味でも、是非拉致問題でどれだけ北
が本当のことを言っているのか是非アメリカに来て皆さん言ってくれ」という話をしていました。

 重要なポイントは今古森さんから出ましたが、アメリカが色んな意味で主戦場になるというファクターになる。金融制裁にしても、世界の金融の中心であるアメリカがやったから効果があったわけで、バンコ・デルタ・アジアという中国系の銀行と中国四大銀行の四番目であるバンク・オブ・チャイナ、この二つに金融制裁をかけようとした。要するに北朝鮮との後ろ暗い取引があるということで。

 バンク・オブ・チャイナの方は、実際に制裁すると、大きな銀行ですから、アメリカ企業にもかなり跳ね返りがあるということで、当時のポールソン財務長官がバンク・オブ・チャイナを明確に指定するのはやめてくれということで、バンコ・デルタ・アジアだけやった。

 しかし、財務省の官僚として腹が立つと、意識的にリークして、「バンク・オブ・チャイナも調査対象になっているよ」と。そしたら色んな人が、アメリカから制裁をかけられたら大変なことになりますから、預金を引き出しにかかったんです。それで慌てて中国系の銀行も北との取引を止めるという流れになった。

◆日本がしっかり意見を伝えることでアメリカの政策に影響を与えられる

 そういう意味でアメリカを動かすというのは大変重要ですし、それとの関連で、アメリカは一枚岩でないというところが大変大事で、国務省は常に宥和的な方向に行きがちですが、一方議会では北朝鮮に対して極めてハードラインの人もいます。だいたい共和党の方がハードラインです。

 共和党の中でも、ブッシュ政権の時、ディック・チェイニー副大統領とコンドリーサ・ライス国務長官、これは北朝鮮へのテロ支援国指定を解除するかどうかで、全く意見が対立した。金融制裁の解除もチェイニーは完全に反対、それに対しライスは解除したら核問題も進むんじゃないか、と。

 ライスは完全にだまされて、ブッシュも最終的にライスの肩を持った。解除にいった一つの理由は、ラムズフェルド(国防長官)とかボルトン(国務次官、国連大使)、アーミテージもそうですが、ハードラインの人たちがどんどん政権から出てしまって宥和派が増え、そうなると国務省の主導権を握りますから結局解除にいったのですが、その時のことを、チェイニーがはっきり回顧録に書いています。

 最後の最後の段階でもライスに対し、「テロ支援国指定を解除したら日本との関係がおかしくなるんじゃないか。日本は拉致問題を重視しているのに、解除して大丈夫なのか」と問いただしたところ、ライスから、「実は日本政府は、『色んな人を説得しなければいけないので、発表するのを24時間だけ待ってほしい』
と言っている。従って24時間だけ猶予を与えれば日本は大丈夫なんだ」と言ったということです。

 問題はその時福田政権ですが、その後の麻生さんの時も、全くそういうアメリカのハードライナーに対するアプローチや日本側の立場を伝える意見交換をしていない。安倍さんの時は、向こうの政権の中枢部にしっかりと意見を伝えていたわけですが、福田さんは、「テロ支援国指定解除はアメリカが決めることで日本があれこれ言うべきじゃない」という発言をしていました。

 日本がしっかり意見を伝えることによって、チェイニー、ライスのやり取りを見ても分かるように、アメリカの政策に影響を与えることもできるわけです。現在は安倍さんの政権になっているので、その辺は安心できるんですが、今度はアメリカ側がジョン・ケリー(国務長官)とかバイデン(副大統領)になっています。

◆日本には戦略的発想が全然なかった

西岡 テロ支援国指定解除問題でもう一つ。実は2003年にアーミテージさんが、「(拉致は指定の)理由だ」と行った後帰ってきて、日本政府に「拉致はテロだ」と言ってもらおうと思ったんですね。

 アメリカが言っているのに日本が言わなければ理由にならないわけです。ところが当時の川口外相に事前に質問状を出して、「拉致はテロだ」と言ってくれと申し入れたんですが、「日本にはテロに関する法律上の定義がありません。従って言えません」と言ったんですね。

 がっかりしましたけれど、法律上の定義があって、こういう理由でこれが入らないというならともかく、定義がないんだったら、政治家として言えばいいんですよ。アーミテージさんも言ってるんだから。

 アメリカを動かそうという時に、テロ国家指定というものが鍵になるんだという戦略的発想が全然なかったんです。それが福田政権までずっと続くことだったわけです。

 ですから、テロ支援国指定解除の時、アメリカが裏切ったというかなり大きな論調がありましたが、また私はコメントとして、「確かにそういうことがある」と言いましたが、テロ支援国指定が解除されたことがあんなに大きく報道されるのならば、テロ支援国指定が理由になった時、なぜ報道が小さかったのか。

 最初から拉致は理由じゃなかったんです。大韓機爆破事件が理由だったんです。我々が働きかけて、明文化されたんです。ニクシュさんの働きかけもあったし、アメリカの中でもあったんです。そういうことについて、働きかけをすればアメリカは変わるんだ、働きかけをしなければ動かないんだということの理解が本当に足りなかったんだなあと実感した記憶があります。

 いままで、指定の理由になっていたのに解除されてしまった。我々は運動としてそういうことをやってきたんですが、それについて何かありましたら。

◆北朝鮮には政府が嘘を言っても叱責する仕組がない

古森 アメリカ政府の当事者が、日本人拉致問題が未解決な限りは北朝鮮に対するテロ支援国指定ははずさないとはっきり言明していたわけです。それが変わりましたよね。明らかに日本人拉致が未解決なままでも北朝鮮はテロ支援国家ではなくなってしまいました。

 これは繰り返しになりますが、明らかに北朝鮮側から米側に対して、テロ支援国家の指定をやめてくれれば、北朝鮮のプルトニウムによる核爆弾の製造をやめるという示唆があったのでしょう。結局、北朝鮮は寧辺の施設をデモンストレーション的に壊したりしました。しかし実はもう一つ、ウランを使っての核兵器開発をずっと着実にやっていた。北朝鮮は平気で嘘をつくわけです。

 北朝鮮のような全体主義国家で政府が嘘を言っても叱責する仕組はありません。一方、アメリカや日本では政府といえども、そんな嘘をついて、平然としていることはできません。同じ国のなかで四方八方から非難されます。民主主義国家の弱さです。アメリカの場合、政府当局が明らかに事実と違うことを言えば、厳しく追求されますので、北朝鮮の交渉は非常にしたたかです。

 さらにもう一つ。当時のアメリカが指定解除した理由には、やはり韓国の態度があったといえます。当時の韓国大統領は盧武鉉さんですね。盧武鉉さんというのは、鳩山由紀夫さんといい勝負の人です。「米韓同盟というのは実は同盟というよりも、韓国がアメリカの同盟国ではなくて、中国とアメリカの間に立ってバ
ランサー、つまりバランスを取る役割が韓国なんだ」と公言していました。

 それではアメリカはやはり、びっくり仰天して怒りますよね。盧武鉉大統領はさらに「在韓米軍は、朝鮮半島以外の軍事目的でいっさい動いてはいけない。台湾の有事でもいけない」などとも注文をつけていました。同盟を骨抜きにする態度です。同時に北朝鮮に対しては気持の悪いほど友好的でした。北朝鮮の嫌がることはしない。そんな韓国の当時の政権の態度もアメリカの対北政策に影響を与えたといえます。

 盧武鉉政権の前任だった金大中大統領の時の太陽政策というのも、アメリカに影響を及ぼしていました。北朝鮮をあまり敵視してはいけないんだという雰囲気は一種の風としてアメリカ側にも流れていたと思います。

◆口約束対行動ではだめ

西岡 それでも、島田さんが言ったように、ハードライナーがいなくなって、アーミテージさんが去って、ライス主導の外交になって、テロ支援国指定が解除になったんですが、ブッシュ大統領は早紀江さんのことを覚えていて、「拉致が全然動かないんだったらだめだ」と。

 そして北は何をしていたかというと、福田政権に突然、「6者協議の外で拉致問題で交渉しましょう」と言ってきた。2008年の6月です。そして8月に調査やり直しをすると約束したんです。

 そこまではヒルさんが上に挙げられるような状況を作ったんです。でも調査やり直しというのは口約束です。口約束に行動で出てしまった間違いです。行動対行動でなけれないけないのに、口対行動をやってしまったというのが間違いだと思います。

 その後で、アメリカにばかり頼っていてはだめではないかということで、日本がテロ支援国指定ができないのかという議論をしました。亡くなった中川昭一先生がそれに乗ってくれて、検討してくれたんです。

 日本が世界中の国に対して、この国がテロ国家だとやるのは、日本の法体系上なかなか難しい、と。しかし、アメリカがやっているように、拉致問題が解決しない限り日本が支援しないだけでなく、国際機関が支援する時反対するということを法律に書き込めないのかということを検討してもらいました。

 北朝鮮人権法は、アメリカが作った2年後に日本が作ったんですが、そこに書き込める可能性があるということで改正案を自民党が出しまして、当時中井洽さんが民主党の対策本部長でしたが、二人が話し合って、「拉致問題を解決するために国際金融機関にも働きかけをしなければならない」という追加条項が入ったんです。

 国際金融機関というのはまさにアジア開発銀行や世銀を指しています。そして法律を作る衆議院の法制局の人を呼びました。法制局の人は、「国際金融機関という単語は法律用語としてふさわしくない」ということで、ずっと調べてもらったら、「前例がありました」、「じゃあ大丈夫だ」となりました。私は横で見ていました。

 だからお金を出すことにアメリカが反対しなくなっても、アジア開発銀行は日本の方が出資額が多いですから、日本が反対すればお金を止められるという仕組を作ったことを記憶しています。


◆日米でできる金融制裁は、世界にある北の外貨を使えなくすること

 もう一つ、金融制裁のことですが、デービッド・アッシャーさんの話が出ましたが、これが今のことにもつながると思います。アッシャーさんは今も議会の公聴会で話をしており、今でも金融制裁をすべきだと言っています。

 1993年、94年に第一次核危機が起きた時に、日本から多額のお金が北朝鮮に流れていた。それを止めろという強い圧力がアメリカから日本に来たわけです。

 その時、実は私も、「現代コリア研究所」で、アメリカに92年に行って、お金が流れているんだ、と。戦争しなくても、爆撃しなくても、お金を止めれば核開発ができなくなるという論議をやったんですが、それがアメリカのCIA等にも伝わりました。

 CIAの人に会ったんですが、英語で話したんですが、「ちょうせんそうれん」と言うんです。カラオケと同じように、外来語になっていました。韓国語では「チョチョンヨン」と言いますが、韓国語では言わないんです。

 その時日本の内閣調査室が調べたら、年間1800億円から2000億円のモノとカネが北朝鮮に流れている。それが核開発の原資になったんです。それがどこにあるのか。当時内閣調査室の幹部にオフレコの話を聞いたんですが、「香港に持っていって一度降ろして、船に乗っていってマカオの銀行に預ける。これはバンコ・デルタ・アジアです。そこからヨーロッパに持っていく。そしてスイスの銀行に預けてある」と。

 マカオの銀行というのは、そういう北朝鮮の秘密資金の出入り口の役割をしていた。そこを狙ったからよかったんです。つまりアメリカが狙っている核開発阻止、日本が考えている拉致問題解決の鍵は北朝鮮を追い込むことなんです。一番は軍資金を絶つことです。核開発はお金がないとできないんです。

 最近盧武鉉大統領が金正日と会った時の対話録が公開されましたが、「マカオの銀行に対する制裁に強く反対しています。私は言ってきました」と金正日に報告しています。それだけ向こうは必死でした。

 第1次安倍政権の時に、「厳格な法執行」という方針が決まって、朝鮮総連からの送金をほぼ止めました。その副産物が、朝鮮信用組合からの不正融資を暴露して、今朝鮮総連中央本部が差し押さえ寸前にまできています。RCCが2005年から(民事訴訟を)始めているんです。追い込みつつあるのは間違いないです。

 韓国からの支援も李明博政権になって止まりました。苦しいということは間違いないと思います。

 最近のアメリカの議論を見ていると、「核開発を止めさせるためにもう一度厳しい金融制裁をかければいい」というのはあまりないように思うんですが、一度あれだけ効いたわけです。

 イランやイラクのように石油を持っている国ではないわけですから、外貨を絶つというのはかなり有効だと経験的にも言えます。そのことと、今後アメリカとどう協力するかということと関係があると思います。アメリカと我々は何ができるか。徹底的に金正恩が持っている統治資金、世界にある外貨を使えなくすることではないかとずっと私は思っています。

◆米上院議員にしっかり拠点を作る

島田 アメリカのデービッド・アッシャー氏もうそうですが、イランに対してかけている金融制裁よりも、北朝鮮にかけている制裁の方がまだゆるい面があると言うんですね。

 金融のことは私は詳しくないですが、決裁の情報のSWIFT(金融機関識別コードの標準書式)というのがあって、国際的な決裁の情報システムからイランは完全に排除している、と。なのに北朝鮮は完全排除できていないそうです。

 これはアッシャーの提言の中に具体的に書いていましたが、SWIFTに関してイランと同レベルの制裁を北にも課すべきだということです。できることは色々あると思います。

 もう一つ、先ほど古森さんからブラウンバック上院議員、現在カンザス州知事の話がでましたが、上院議員の場合、ブラウンバックも実際やりましたが、政府の高官や大使の人事に関して、上院議員が一人でも反対したら止められるんです。

 実際ブラウンバックは、クリストファー・ヒルの下にいたキャット・ステーブンスという女性が駐韓大使になるという人事、これが上院にかけられたんですがブラウンバック一人が、「キャット・ステーブンスは拉致問題を含めて北の人権問題に不熱心だから、熱心だというきちんとした説明を聞くまではOKできない」と何か月か人事を止めたんです。

 人事を止められるというのは官僚にとって一番怖い話でしょうから、そういう意味でも上院議員にしっかり拠点を作って働きかけるというのは大変大事だと思います。

(5につづく)

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