★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2013.07.17) | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 






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◆日本人拉致もテロ指定の要件、だから被害者を返して解除を目指した

 さて日本側からの初の訪米、先ほど申し上げた2001年2月の拉致の被害者側代表団の初めてのワシントン訪問以来、12年ほどの歳月が過ぎました。この間、アメリカはどんな形でこの拉致事件にかかわってきたか、いくつかのポイントにしぼってご報告します。

 第一はブッシュ政権の北朝鮮に対する強硬な姿勢です。

 2002年1月にブッシュ大統領が一般教書演説で、皆さんご存知のように、北朝鮮を「悪の枢軸」の一角だと断じました。この時には、イランとイラクと一緒です。そしてアメリカ政府が北朝鮮を「テロ支援国家」に指定、これはすでにしていましたが、それに伴う制裁をもっと厳しくしました。

 ブッシュ政権のこうした強固な姿勢が、金正日総書記に日本への態度を軟化させて、日本人拉致を認め、日本から巨額の援助を獲得しようという計算をさせたという認識は当時のワシントンでのコンセンサスでした。

 とはいえ、「ブッシュが北朝鮮を『悪の枢軸』と断じたことが金正日に拉致を認めさせた」という因果関係を科学的に証明することはなかなかできません。しかし状況証拠からいえば、どうしてもそういう形になるということです。

 例えばジェームズ・リリーという朝鮮半島情勢に非常に詳しい元韓国大使、元中国大使はこんなことを述べていました。

「アメリカの歴代政権は北朝鮮政策では(北の)核兵器開発阻止を最大目標としてきた。北朝鮮はその点を利用してアメリカから外交承認や経済援助を引き出すことに全力をあげてきた。金総書記はその援助を得るためにはまず米側に『テロ支援国家』指定を解除させることが不可欠だと考えた。しかし、この時点ではブッシュ政権は日本人拉致も、『テロ支援国家』指定解除をしないことの理由にあげていたので、拉致を認めて返そうと思ったのではないか」

 同時に、アメリカからのテロ支援国家指定があると、北朝鮮は世界銀行や国際通貨基金(IMF)等国際援助機関からの援助が得られません。アメリカが最大の出資国ですから、アメリカが「ノー」というと、国際機関からの援助は出ないのです。その点でも北朝鮮にとって日本人の拉致を解決するということは重要で
した。

 先ほど申し上げたように、ブッシュ政権は当時、日本人拉致事件を「進行中のテロ」とみなして、拉致問題というのは核開発とともに日、米、中、韓という各国にとっての国際的な安全保障の中心部分になってきました。

◆「拉致か核か」の問題が浮上

 第2のポイントはアメリカの議会での2004年10月の北朝鮮人権法の成立と翌2005年9月の特別な金融制裁でした。

 北朝鮮人権法というのは、北朝鮮政府による人権弾圧を非難し、被害者の救済にあたり、経済援助も北が日本人拉致を含む弾圧やテロを清算することを条件とする法律でした。この法律で、アメリカの北朝鮮政策には日本人拉致解決も必須の要件として組み込まれたこととなりました。

 この北朝鮮人権法の意味が日本側にとっては、拉致事件の解決をアメリカにも求める、アメリカと足並みを揃えていくことの、一種の政策面での根拠となっていきました。

 と同時に、ここで浮上してきたのは「拉致か核か」の問題です。北朝鮮が核兵器を開発することを阻止する。北朝鮮が拉致した日本国民を解放することを実現させる。この2つの目標のどちらにどう重点を置いていくかということが日本にとっては差し迫った課題になりました。

 当然起きうる諸外国から日本への非難というのは、「日本は自国民の身柄のことだけを心配していて北朝鮮が核開発をしてもあまり気にしないんじゃないか」という主旨だといえます。これは日本が痛い所を突かれうる非難です。

 もう一つ、先ほどの「特別の金融制裁」というのはブッシュ政権による2005年9月のマカオの銀行、「バンコ・デルタ・アジア(BDA)」の北朝鮮関連口座を凍結することでした。

 北朝鮮はドル札を偽造している。タバコを偽造している。勝手なレッテルを貼ってアメリカの煙草を装って売りさばく。もっと深刻なのは、覚醒剤の日本への巨額の密輸出。いわゆる「シャブ」といわれている、日本で横行している覚醒剤はほとんど北朝鮮からきていました。こうした犯罪行為で当然お金がもうかるわけ
です。こうした違法行為で得た秘密資金をBDAに置いておいて、金王朝というか金一家、労働党の幹部、軍の幹部の生活をよくするために引き出していた。

 北朝鮮の違法行為には兵器の密輸出や人身売買、日本人以外の外国人拉致も含まれていました。北朝鮮の外交官たちは一時はアフリカで象牙を集めていました。これはワシントン条約で禁止された行為です。それを北朝鮮の大使館員たちが組織的にやっていました。一説にはどこの(北朝鮮の)大使館が一番外貨を稼いだかというコンテストをやって、金総書記の恩寵を得るための競争をする。この種の活動については深田祐介さんという作家が小説にして取り上げています。面白い小説です。

◆裏切られたテロ指定解除-北朝鮮が核兵器開発で譲歩してくる

 さてこのバンコ・デルタ・アジアへの金融制裁が実施されたこの時期、日本側からは毎年のように、拉致解決のための代表たちがアメリカを訪れて、北朝鮮のテロ支援国家指定の継続と制裁の強化を求めてきました。北朝鮮の政権を弱めるという政策が、日本人拉致解決につながるという期待からです。

 金正日総書記が拉致を認めたのも経済援助への欲求が動機だったとすれば、経済面で苦痛が増せば増すほど、日本人のさらなる解放にも応じるだろうという計算があったということでしょう。この路線に沿った措置がバンコ・デルタ・アジアの口座凍結だったわけです。

 この時に中心になって動いたのがデービッド・アッシャーという、割合に若い人物でした。当時は国務省所属でしたが、キャリアの外交官ではなく政治任命の人です。私はアッシャー氏とは気さくに会うことが多いのですが、ごく最近も、当時を振り返ってこんな次のようなことをいっていました。

「私たちが標的とした北朝鮮の労働党作戦部、偵察総局、35号室など金総書記直轄の諜報工作機関こそが対外的犯罪の主体で、そのなかには日本人拉致に関与した人間や組織も含まれていました。その種の工作員を世界規模で一網打尽にすることが目標でした。成功すれば必ず日本人拉致の解決も進められたはずでした。しかし、ブッシュ大統領は当時国務長官になっていたコンドリーザ・ライス、この下のクリス・ヒルという次官補だった人たちの意見を受け入れ、この北朝鮮の犯罪摘発自体を中断してしまったのです」

 これは後でも申し上げますが、核兵器の放棄ということに期待をかけたブッシュ政権の新たな動きでした。ぎゅっと引き締めて、金政権が本当に痛みを感じ始めた金融制裁をゆるめれば、北朝鮮が核兵器開発で譲歩してくるんじゃないかという期待があったのです。しかしアメリカ側のこの期待は、みごとなほど無残に砕かれてしまったわけです。

◆横田早紀江さんのオーラに胸を揺さぶられたブッシュ大統領

 第3のポイントは、よく日本でも知られていますが、2006年4月の横田早紀江さんらによるアメリカ議会での証言とそれに続くブッシュ大統領との面会でした。

 私も横田早紀江さんの証言を聞きました。早紀江さんは次のようなことを述べたのです。

「娘は工作船の暗い船底に閉じ込められ、『お母さん助けて!お母さん助けて!』と壁をかきむしって、絶叫し続け、暗い海を運ばれたといいます」

 万感をこめたような横田早紀江さんの声、この言葉は、その模様を知っていた脱北した元工作員の供述などを引用して証言した結果でした。満員の会場は静まり返って、議員たちのなかには涙をぬぐう人もいました。

 その翌日、ブッシュ大統領が、早紀江さんと息子の拓也さんをホワイトハウスに招いて、愛する家族を北朝鮮に奪われた悲劇に耳を傾けたのです。大統領は「国家が外国の子供を拉致するとは信じ難い」と述べました。そして早紀江さんとの会談を「大統領になってから最も感動的な会合」と評したのです。

 その後、ブッシュ大統領は、ことあるごとに早紀江さんとの話し合いに触れて、誰も質問もしていないのに、「大統領になるとこんな貴重な感動的な体験ができる」といって、早紀江さん、拓也さんとの会談の模様を記者団らに語り続けました。大統領としての演説でも、一般人との語り合いでも、その会談について語るのです。これは明らかに、ブッシュ大統領が横田早紀江さんのオーラや、その悲しみに胸を揺さぶられ、横田さんの家族の悲劇に本当に同情したのだという印象を我々は受けたんです。

 ブッシュ大統領というのは、直情径行というか、ストレートな人です。ハーバード大学に行ったり、最高の教育を受けているんですが、英語の言葉を時々間違えたりします。

 例えば皆さんご存知の、英語の「ストラタジー」、「戦略」という言葉があります。ブッシュさんは時々、「ストラタジリー」と。それは間違いなんですが、平気でいう。そうすると、支援者たちが、おもしろいなといって、「ストラタジリークラブ」と会をつくる。ブッシュさんを支援する会なんです。彼にはそういうふうに人をひきつけるところがありました。

 その直情、あるいは軽率さからか、北朝鮮政策でも、融和派の意見を採用して、結局、北朝鮮を「テロ支援国」の指定からはずしてしまった。そういう経過こそあるにせよ、当初は早紀江さんとの会談から受けた感動によって、日本人拉致問題への共鳴とか、同情とか、温かい気持ちを本当に人間として抱いていたという印象を私は受けました。

◆日本人拉致被害者の救出のために心をこめて動いてくれたアメリカ人

 では現在はどうなのかということは後ほどお話しますが、拉致問題に関しては、ここらあたりまでの長い、長い、アメリカの日本への協力は、あまり表面に出ないけれども、一貫してあったのです。そのなかでも、結果として日本のため、そして日本人拉致被害者の救済、救出のために本当に心をこめたような熱心さで、動いてくれた人たちが何人かいます。

 そうした人たちを簡単に紹介させてください。

 その一人は、サム・ブラウンバックという上院議員でした。この人は先ほど提起した北朝鮮人権法案を非常に強くプッシュしました。彼は、北朝鮮の人権問題をまず取り扱い、その過程で日本人拉致問題もよく理解するようになったようです。

 例えば西岡力さんや島田洋一さんたちがワシントンに行けば、必ずこのブラウンバック上院議員が会ってくれるという状況が長く続きました。彼は日本からの一行の活動のためにわざわざ自分の上院議員事務所で記者会見を開いてくれるほどでした。

 アメリカでは上院議員というのは偉いんです。選挙で選ばれるというのが民主主義のリーダーの価値とすれば、大統領、副大統領に次いで上位とされるのが上院議員なのです。全米で100人しかいません。

 ブラウンバック氏はその高位の上院議員に40代でなっていました。元々信仰心の深いカソリック教徒でした。すらりと背が高く、青ざめた感じの人で、後でわかったんですが、皮膚癌だったんですね。それがどこかに転移しそうだという気配があって、当時、ずいぶん癌に悩まされていたことが後に判明しています。

 彼自身が後に告白するのですが、40代で癌になり、人間というのは死ぬんだなということを実感としてわかったそうです。そうするとアメリカの政界に出て、40代で上院議員というのはかなり将来が輝いているのだけれども、自分の政治的野心を追求することよりも、自分が本当に気分がよくなること、正しいと思うことを追求することが適切なのだということがよくわかった、と述べていました。

 彼は幸いにも今も健在でカンザス州の州知事をやっています。2008年には大統領選挙に出ようとしたのですが、資金不足を理由に途中で止めました。

 とにかくこのブラウンバック上院議員が私たち日本の拉致被害者の救出のために、すべて他のことを二の次にするというような感じでまで、実際に動いてくれたという時代がありました。

 それからもう一人。ラリー・ニクシュという人物がいます。先ほど西岡さんから紹介があった人です。ニクシュ氏は拉致問題でのアメリカ側の接触ではその最初から実によく動いてくれました。彼は議会調査局の朝鮮半島問題の専門家でした。議会調査局というのは下院議員435人、上院議員100人、計535人の上下両院議員に法案審議用の調査や資料を提供する公的機関です。

 ニクシュ氏は他のアメリカ政府機関、つまり国防総省とかCIA、国務省などとももちろん密接な関係があります。ずっと朝鮮問題をやっていて、日本の立場というものを理解していて、アメリカ側へのアプローチの方法を詳しく教えてくれる。こういうふうにやれば、こういうふうになるよということを教えてくれました。

◆米国人の拉致も

 3番目には、チャック・ダウンズという人がいます。国防総省や国務省で北朝鮮関連の専門官として働いていた人です。どうもインテリジェンス関係の分野にいたという印象もあります。ダウンズ氏には北朝鮮のような無法国家がそもそも存在し、非道なことをしているのは許されるはずがないんだという信念があって、ずっとこの問題にかかわり、私たち日本人に協力してくれているという感じです。

 いまこの時点で、アメリカ人青年のデーヴィド・スネドンという人物がどうも北朝鮮に連れ去られたらしい状況が存在します。平壌で北朝鮮の外交官に英語を教えているらしいという情報が入っています。

 このスネドンというのは「産経新聞」でも書きましたが、中国の雲南省のシャングリラという峡谷で、突然消息を絶ってしまった。中国は非常に統制のとれた、ある意味で警察国家ですから、外国人が突然いなくなり、その後の消息がゼロということはありえません。死体がみつかるとか、事故にあったらその報告があるとか。

 チャック・ダウンズさんはこのスネドン事件を追いかけています。例えば北朝鮮側の外交官と接触する米朝協議のトラックB、表がAであれば裏がBというルートがあります。この接触にダウンズ氏も出ることがあり、その場で最近、北朝鮮の外交官の英語の話し方が変わったことなどをももらしています。ちょうどこの
デーヴィド・スネドン氏が行方を絶って、しばらくした時期から北朝鮮外交官の話す英語の特徴が大きく変わった、というのです。

 それまでは、北朝鮮の外交官に英語を教えていたのは日本でもよく知られているジェンキンズさんでした。こういうことを述べると申し訳ないんですが、彼は10代かそこらでGI(米兵)になって脱走した人です。だからいわゆる高等教育は受けていない。

 一方、デーヴィド・スネドンという人は大学院まで行ったということで、しゃべる英語が違う。その影響が、北朝鮮の外交官がしゃべる英語に出てきたというようなことまで研究しているのがダウンズさんなのです。日本にも時々きています。

 もう一人、デニス・ハルピンという人がいます。この人は韓国の専門家で、国務省の外交官として、韓国におそらく20年くらい勤務していた。私が最初に彼を議会でみた時は、びっくりしたんですが、米韓関係を論じる公聴会で、「米韓関係は大切だから」とだれかが述べたら、彼が立って、「じゃあ、いまから私が韓国の国歌を歌うから皆さん聞いてくれ」といって、実際に歌い始めたのです。ずいぶん素っ頓狂な人だなと思っていたら、これが割としっかりした人で、下院外交委員会をぜんぶ握っている首席補佐官だったのです。

 ふだんは韓国に心が傾いているせいか、慰安婦問題とか靖国となると日本の味方はぜんぜんしてくれません。ところが拉致問題になると、北朝鮮が相手だから、「日本の立場をもっともっと主張しなければいけないよ」と、いろいろな形で押してくれます。

 もう一人だけあげるならば、先ほど申し上げたデービッド・アッシャー氏です。まだ40代の若手で、共和党系ですから今政権の外にいますが、この人は日本語が非常に上手で、安全保障に詳しく金融にも詳しい。

 アッシャー氏も北朝鮮の無法、非道を正面から糾弾し、その一環として日本の拉致問題解決にも熱心に協力してくれます。彼は最近でも、「日本の経済制裁はもっとできることがある、もっと厳しくするべきだ」といって、具体的な方法まで提案しています。

(3につづく)


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