中国産実態、ファミレス大手5社検証、
「一部で使用」「にんにく」「ズワイガニ」
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20130717/dms1307171810017-n1.htm
中国の食汚染が深刻だ。中国政府も対策に乗り出しているが、利益優先主義による農薬、化学薬品の過剰使用は改善される気配はない。中国産に依存する日本も危ない食品の流入を検疫検査で阻止しようと試みているが、食品の全検査は不可能だけに懸念は広がる。では、日本の外食チェーンはどんな中国産を使用しているのか。ファストフード業界に続く外食調査第5弾はファミリーレストラン(ファミレス)。大手5社を直撃した。
金融機関が正規の貸し出し以外で運用する「影の銀行(シャドーバンキング)」問題や経済指標の粉飾疑惑。大揺れの中国だが、食汚染も深刻な状況に陥っている。
インターネット新聞「中国新聞網」など複数の中国メディアによれば、広東省仏山区市場監督管理局は6月、停泊中の船2隻で強毒性の「工業用塩」で魚の干物を作っていた業者を摘発した。干物の原料は「死んだ魚」だったうえ、DDTなどの農薬も検出されたという。
日本が中国産食材を輸入する場合、厚生労働省や農林水産省が主導する検疫検査で、国の規格に適合しない残留農薬や有毒物質が入ったものは除外されるため、水際で流入を阻止されることになっているが、こんなニュースを見聞きすると、どうにも警戒心が高まってしまうのも事実だ。
第4弾のファストフード(6月19日掲載)に続き、今回はファミレスチェーンに着目。個別店舗をそれぞれ展開する「すかいらーく」(東京都武蔵野市)、「セブン&アイ・フードシステムズ」(東京都千代田区)、「ロイヤルホールディングス」(福岡市博多区)、「サイゼリヤ」(埼玉県吉川市)、「ゼンショーホールディングス」(東京都港区)の大手5社に中国産食材の使用状況を調査した。
アンケート形式で回答を求めたのは(1)使用する原材料(2)用いる主な商品(3)原材料に占める割合(4)加工している場所-の4点=表。
まずは「ガスト」「ジョナサン」などを展開する、すかいらーく。「時期によって扱い品目や数量が異なるため、詳細は答えられない」(CEOオフィス広報グループ)とした上で、「中国からの食材も一部、取り扱っている」と回答した。
具体的には、大手日本企業が運営する中国の現地工場で「ガストで提供するリンゴパイなど」(同)の加工食品の一部を委託生産しているという。
「デニーズ」の運営元のセブン&アイ・フードシステムズは、詳細は明らかにせず、「国産のみならず、外国産・中国産食材、加工品がある」(PRSP部)とした。
店名と同じサイゼリヤは、299円の「ペペロンチーノ」と、399円の「キャベツのペペロンチーノ」に使うにんにくが中国産で、「社内基準に従い、現地加工場の監査、納入業者による検査、第三者機関による検査、社内検査など各段階でチェックを入れている」(社長室広報)。
「ロイヤルホスト」のロイヤルホールディングスは「食材では、いんげん。ズワイガニの最終加工地が中国になっている」(経営企画部)。食材の安全確保への取り組みについて、「中国産に限らず、使用する食材は、社内の規定および厚生労働省から指定された検査基準をクリアし、所定の手続きを経た食材のみを使用している」(同)と説明した。
同社では全国の店舗を5つのブロックで分け、そこで使用される主要食材の原産地をホームページ(HP)で公開。野菜などの生鮮品で、店舗所在地と異なる場所で取れたものについては、店頭のパネルでも産地情報を表示している。
「ココス」「ジョリーパスタ」のゼンショーホールディングスは「安全性について正確に伝えることができないため、回答は控える」(広報室)とした。
『中国野菜と日本の食卓-産地、流通、食の安全・安心-』の著書がある桃山学院大経済学部の大島一二教授(中国経済論)は、「中国国内で出回る食材は10年前と比べると状況は改善されたが、まだまだ危険」とした上で、次のように解説する。
「日本の大手外食チェーンは、通常の検疫検査に加え、現地に直営農場を作ったり、監視員を派遣するなど独自の安全対策を取っている。日本にいる限りは食の安全はかなり高い確率で、確保されているとみていい」。過剰に心配する必要はないと指摘する。
食と健康は切っても切れないだけに、口に入る食材の“出自”は知っておきたいのは当然の心理。中国の食汚染が改善されるまでは、注意してもしすぎることはない。