自衛隊の陸海部隊が本格参加。
海保・警察と7月に原発テロ合同訓練
政府が、東京電力福島第1原発がテロ攻撃されたとの想定で海上保安庁、警察と自衛隊部隊による合同訓練を7月初旬に行う方向で最終調整に入ったことが分かった。原発テロを想定した合同訓練は警察と海保、警察と陸上自衛隊でそれぞれ実施したことはあるが、3機関合同での訓練と陸・海両自衛隊の部隊参加は初めて。訓練は福島第2原発で行い、安倍晋三首相も出席する予定。参院選を前に危機管理に強い内閣をアピールする。
自衛隊を訓練に投入するのは、警察と海保の警察力では対応できない場合に首相が命じる「治安出動」での対処を想定している。ただ、治安出動ではすでに被害が広がり、手遅れになりかねないため、政府は、テロの「恐れがある」段階で発令できる「警護出動」の対象に原発を加える自衛隊法改正を検討している。
自民党の岩屋毅安全保障調査会長は11日、同党がまとめた「新『防衛計画の大綱』策定にかかる提言」を首相に提出。テロへの実効的な対処として警護出動を念頭に自衛隊の権限見直しを盛り込んだ。自衛隊と警察、海保の実戦的な共同訓練の定期開催も提起した。
警察と海保は5月11日、第1原発がテロリストに襲われたとの想定で、第2原発で合同訓練を実施。警察は福島県警銃器対策部隊に加え千葉県警特殊部隊(SAT)、海保は特殊警備隊(SST)というテロなどに対処する特殊部隊も投入し、地上と海上で原発に接近を図るテロリストを制圧するシナリオで訓練した。
今回も5月と同じ想定とシナリオで行う方向。陸上自衛隊は福島駐屯地(福島市)の第44普通科連隊が参加する。昨年6月には四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)で陸自部隊が警察と訓練を行ったが、今回は海自も艦艇やヘリコプターを本格投入する。
また、陸自には空(くう)挺(てい)・レンジャー資格者を集めた300人規模の特殊部隊「特殊作戦群」、海自にも高速ボートやヘリから敵艦艇を強襲する特殊部隊「特別警備隊」があり、政府内では両部隊の訓練への参加も検討されている。