◆寺越武志さんの大変重い訪日、案内人付き
問 石川県というと森も関わったのかという感じもするし、嶋崎が悪やったという気もしています。寺越事件を複雑にして、わけが分からないようにして、国民を霍乱したんじゃないかと思っています。実際に千葉県におられて、嶋崎や森がどう動いたのか、妨害したのか聞きたい。
西岡 まず、この要請書に書きました通りです。2回真相究明のチャンスがあったんです。1回目が手紙が来た時です。その時は、社会党代議士の嶋崎譲先生が間に入って、多分本人も遭難ではなかったと思っていたと思われますが、遭難で終らせたということがありました。
2度目のチャンスが2002年10月。これは森喜朗元総理が間に入って、武志さんを日本に呼んだ。しかし、残念なことながら案内人も一緒についてくるという訪日だった。我々も救う会の運動をしていましたが、友枝さんとの関係で、友枝さんは家族会に入ってなかったので、それをけしからんと要求することができなくて、友枝さんはそれでいいと言って森元総理と一緒にそういうことをした。
武志さんにとっては、大変重い訪日だったと思います。しかし、結果的に、それは北朝鮮からすると、5人を返すテストケースにしたのかもしれない。その直前だったんですね。何がどうなるかというのは、もしということはできないんですが、その時武志さんを案内人から離して、本音を聞いて、残りたいと言っていたら、日本に送ると裏切るということが証明されてしまったら、5人の帰国はなかったと今、友枝さんは言っています。
すべてのことは分かりません。そういうことをやる北朝鮮が悪いのですが、しかし当時私たちは残念ながら武志さんを守ることができなかった。大口さんもあれほどおっしゃったように、友枝さんと一緒に運動していなかったので、家族、当事者がこれがいいという選択をしていた時に、家族に反対して何かをするという
のは、運動では難しかったんですが、しかし政治家、あるいは政府としてであればもう少し手のうちかたがあったんではないか。
しかし、それをしたら次がどうなっていたかということもあり、本当にこの事件は複雑だなあと。しかし、要請文に書きましたように、国家として真相究明が足りなかったのは間違いない。そうだとすれば、元総理としても責任をとっていただきたいなあと、そのことについてですが、思っています。
同じ自民党の県会議員でいらっしゃるので、立場があるから申し上げたんですが。
◆社会党の嶋崎譲元代議士が拉致ではなく遭難と
大口 同じ自民党でして、同じ地元です。政治的に言えば、ある意味で森先生の子分です。そして、ここで発言しないと卑怯者みたいになりますので、社会党の嶋崎譲元代議士がやられたことですよ。
当時、お母さんを連れていって、寺越事件は海難事故であったと本まで残されています。本当に腹立たしくて許されない行為だと思いますが、ただ当時というのはどうだったんだろうと、やはり思うんですよ。
当時は、寺越のお母さんにしたって、私たちも本当に北朝鮮は全然分からない国で、嶋崎さんがそこで拉致だと騒ぐことが思い浮かばなかったのか。そういう時代の背景というのがあると思います。
ただある時期それは忘れて、とにかく救出に動かなければならない時期があったと思います。さっき言いましたように、15年前、寺越友枝さんと動きました。当時は自民党が政権党でした。森先生が幹事長でした。寺越さんの地元でもあります。
当時私は自民党じゃなかった。森先生と敵対していたんですが、救う会の事務局長の荒木和博さんに相談しました。自民党の県会議員に相談したら、武志さんの一時帰国に向けて森先生に頼んでみたらどうだ、と。
なんとか武志さんを一時帰国させることが少し進展になるんじゃないかということで、じゃあ言うだけ言ってみてくださいということで、それで県会議員を通して森先生に頼んだら、森先生が武志さんの一時帰国に向けて動かれました。
本当のところは私も分からないですが、森先生の秘書は、「それまで森先生は朝鮮総連とか北朝鮮との関係は一切なかった」と言っていました。ですから、武志さんの一時帰国をなんとか実現させるために、その当時は動かれたんだと思います。
問 他のルートでやったら。
大口 当時は友枝さんも署名を集めました。我々もやりました。当時は武志さんの一時帰国がまず運動だったんです。武志さんの身の安全を保証する手立てとして訴えてきたわけなんです。
ですから訴えて武志さんが表舞台に出てきました。これで身の安全が保証されたなとホッとして、次は一時帰国を目的にしてやっていこうという段階でした。擁護するつもりはありませんが、真実も分かりませんが、今森さんが妨害するということもありません。
私も自民党の県会議員ですから、今回自民党の拉致担当大臣とお会いする時は、県選出の国会議員の人たちに、会ってきますと連絡しました。森先生からも電話があって、「平沼さんなんかに今晩会うから、俺の方から石川の皆さんを宜しくと言っておくぞ」と。
だから寺越武志さんの場合は、「武志さんの身の安全の問題ということは考えなければいけないよ」と言っておられました。ですから今回、寺越事件の真相究明ということを、昭二さんと外雄さんの真相究明を強く求めていく。武志さんのことは、もちろん拉致だと思っていますし、言わなくちゃいけないのかもしれませんが、ちょっと整理をつけて、我々も昭二さんの真相究明を求めていく、その中で武志さんに証言してもらうということが出てくると思います。
私は裏は知りませんし、これくらいしか分かりません。
◆「行動対行動」の原則厳守を
西岡 最後に、今起きていることについてコメントしたいと思います。飯塚さんが先ほどおっしゃったように、(飯島参与訪朝については)何も聞いていませんでした。今も何も聞いていません。政府は「ノー・コメント」としか言っていません。それなのに北朝鮮は色々な発信をしています。
当初、タラップから降りてくる映像は北朝鮮国内では報道されていないとされていたんですが、しかし、『労働新聞』などに写真入りで、金永南(キム・ヨンナム、国会議長相当)と会っていることが出ていますから、北朝鮮国内でも、内閣官房参与という人が訪朝したことを大きく報道しています。
特に金永南という人は、形式上は北朝鮮の序列ナンバー2です。権限はあまりないでしょうが、儀典上のことをやる時は出てくる人です。例えば金大中大統領が初めて大統領として北に行った時、迎えたのは金永南です。それくらいレベルの高い人が会っているということが何を意味するのか。
帰ってきて話を聞かなければ分かりませんが、私は今の段階で2つのことを思っています。第1は、接触は色んなところでやるべきだということ。交渉は正式のルートでやるべきですが、接触は色々な情報を取るためにすべきです。第1次安倍政権の時も、当時の井上秘書官が平壌を極秘訪問していたことが、後で明らかになりました。
接触は秘密でやることです。参与という立場というのは、正式の窓口ではない。そういう人が接触するということは、色々なことで情報を取るために必要だと思いますし、相手の本音を取るために必要だと思います。
しかし、それが報道されるということはどういうことなのか。当初から報道されるという約束で訪朝したのかということについて強い疑問を持っています。だまされたのではないか。
もちろん、すべてのことで話がまとまって、帰ってきて、被害者が帰ってくる合意ができましたというならば歓迎したいと思います。どういうやり方でもいいと思います。しかし、どうもだまされたのではないか。秘密接触をするといって、行ったらカメラがいたということではないかと疑っています。まだ、真相は分かりません。これが1点。
しかし、一方で、こういうことを北朝鮮がやって何のメリットがあるのか。国内向けに安倍政権が頭を下げてきたと宣伝できる。日本とアメリカの関係、日本と韓国の関係をぎくしゃくすることができる。短期的には彼らは何か勝利したように思っていますが、結局、彼らも何か日本から取りたくて接触のルートを作ったのに……。
そして安倍政権の中で、飯島さんは一番宥和派です。異色な人です。朝鮮総連と近い人だと私は認識しています。そのルートを今回切ってしまうことになる。公開の席に出してしまったら、次から秘密接触ができません。
この結果、日本からお米をもらったり、総連中央本部の競売が中止になるということはないわけですね。彼には何の権限もないです。
もう一つの仮説は、表向き何かやっていて、裏で秘密交渉が進んでいる。陽動作戦としてこれをやっている。そういうことだってありえる。
分からないことが多いですが、しかし北朝鮮が日本に接触をしたいと思ってきた。日本側はいつでも、どの政権でも、接触しようとするわけです。拉致被害者のことがテーマであれば。接触ができるかどうかは、彼らがどれだけ困って日本に手を伸ばしてくるかにかかっているわけですが、困ってきているんだなとは思
います。
しかし、困れば困るほど、厳格な「行動対行動」の原則を厳守しなければならない。困ってきた後接触してくるのは彼らの手です。例えばブッシュ政権の末期、金融制裁で困って、ヒル国務次官補のところに接触してきた。「核をやめます」と言った。核施設の煙突を爆破した。
しかし、口で「止めます」と言ったことに対して、アメリカは金融制裁を解除し、テロ支援国指定を解除した。結果どうなったか。核武装が進んだ。
「口対行動」ではだめなんです。困った時に彼らはごまかしにかかります。今までずっとそうだった。だから「行動対行動」の原則を守りつつ、臨機応変な交渉が必要です。
そういうことについて安倍総理は、よく分かっていらっしゃると思います。私たち民間の運動としても緊張感を持って見つめていきたいと思っています(拍手)。
以上
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