反日を増長させる特定日本人。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 





【留学生が見たリアル中国(2)】

http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130425/waf13042508000002-n1.htm





 中国のテレビを見ていると、思わず口に出してツッコんでしまうことが多い。昨年12月、日本で安倍晋三政権が誕生したときのことだった。某局が「日本にはなぜ世襲の議員や財界人が多いのか」という趣旨の特集を組んでいた。

 関西風に言えば、「どの口が言うてんねん」である。


日本批判のフリ…実は権力者を批判?


 中国の最高指導者、習近平氏は太子党(高級幹部の子弟グループ)出身だ。中国国内のビジネスチャンスを独占しているのも太子党とされる。

 この番組は、日本の人気アニメ「名探偵コナン」のワンシーンをわざわざ紹介していた。ある登場人物が、日本の政財界に世襲が跋扈(ばっこ)していることを指摘する場面だ。

 驚いたのは、日本のある大学教授による「2世議員といっても八百長や出来レースではなく、きちんと選挙で有権者から選ばれているのだから、それほど問題ではない」という趣旨のコメントが流れたことだった。

 このコメント、そして特集自体が、中国の政治状況に対する痛烈な皮肉ではないのか。制作者の誰も気付かないのだろうか。当時は不思議で仕方がなかったが、今の見方は少し違う。

 この番組は、あえて日本を批判するふりをして、実は中国の現状を批判していたのではないか、と思えてきたのだ。

 中国では権力者を批判する際、別のものを叩くふりをして権力者を叩く手法がある。

 分かりやすい例としてはこうだ。中国海軍艦艇による海上自衛隊護衛艦への射撃管制レーダー照射が表面化した際、中国のニュースサイトの掲示板に「もし今、日本が中国を占領したら」というタイトルの書き込みが載った。


いわく(1)日本は専制統治を行い、中国人に選択の権利を与えない(2)愚民教育を行い、人権を理解させず、軍隊に感謝させる(3)毎日30分のニュースで、人民がどんなに良い生活をしているか宣伝する-など計18項目にわたるのだが、統治者の「日本」を「共産党」に置き換えると、現在の政治状況そのままなのだ。なんとも回りくどい政府批判ともとれる。

 また、中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会が、インターネットの事実上の実名性導入について言及したときには、「共産党万々歳!」「さすが仕事が早い」などの“絶賛”書き込みが相次ぎ、笑ってしまった。

 おかしくて、やがて悲しき中国の言論空間。いや、面白がっている場合ではない。屈折した言論の中で、日本がダシにされているのだ。


怒りなくしては見れぬ抗日ドラマ


 日本がダシにされているという意味で、もっと悪質なのが抗日戦争ドラマや映画だ。多くの中身は荒唐無稽。残虐な日本人将校が気まぐれで市井の中国人を殺したり、武術の達人である共産党兵士が卑怯(ひきょう)な日本兵たちをなぎ倒したり…。つまり、日本人は体のいい悪役なのだ。

 偶然チャンネルを合わせたドラマでは、最終回のラストシーンで主人公が意味もなく日本の国旗を燃やす映像が流れた。

 推察するに、共産党大活躍の抗日戦争ドラマであれば、表現の自由がある程度保障されるということなのだろう。表現者たちの怠慢のせいで、日本への憎しみが無意味に、しかし確実に増幅されていることに心底憤りを覚える。


そこで、ある中国人に聞いてみた。「普段、抗日戦争ドラマ見てる?」

 「嘘ばっかりだから見ない。当時あんなに共産党が賢かったわけない」

 少し安心した。日本人の私に気を使っているのかもしれない。実際には日の丸が燃やされるシーンをみて留飲を下げる中国人もたくさんいることだろう。


「小日本」と30回


 尖閣諸島をめぐる反日デモが広がっていたとき、大学の授業で、ある教授が日本のことを「小日本(シャオ・リーベン)」と連発していた。腹が立って「正」の字で数えてみたら、2時間の授業で約30回言っていた。

 抗議しようと思って、ある中国研究者の日本人に相談した。「中国人はそれほどの悪意をこめず、気楽に使っていることも多い。時期も時期だけに言動は慎重にしたほうがいいですよ」。至極大人の助言を頂いて、本音の講義が聞けなくなるかもしれないとも考え、そのときは我慢した。

 当たり前だが、私は「小日本」という言葉は大嫌いである。何とかして日本を下に見ようという嫌らしさを感じるし、国土の広さ以外に誇れることはないんかと思う。

 同時に、妙に中国人を見下す日本人もいて、それに対しても違和感を覚える。

 しかし、残念ながら、中国人の潜在意識には、多かれ少なかれ反日意識が染みついていると考えて間違いないだろう。


中国のお茶の間のテレビに登場する日本人は、抗日戦争ドラマの悪役か、中国政府に都合のいい発言をする学者や元政治家ぐらいだ。

 ある中国人学生に聞いてみた。「中国人って反日デモなどで『日本の帝国主義を打倒せよ』とかスローガンを掲げるけど、日本人にしたら、は?という感じだよ。日本が今、軍国主義や帝国主義のわけないし。むしろ中国のほうが『遅れてきた帝国主義』として警戒されてるよ」。

 すると、その学生は少し考えた上で「日本帝国主義という表現は、あまり知識のない人が、日本を攻撃するフレーズとして深く考えないで使っているだけ」と解説してくれた。

 では、知識人層は親日なのかいうと、そうでもない。「日本人は問題ないが、日本を動かしている右翼の政治家が悪い」とか、「日本人は不勉強で歴史を知らないから、過去の行いを反省できないのだ」という発想になる。

 そして、ときどき中国のメディアに登場する日本人学者や元政治家たちが日本をおとしめる発言をして、彼らの考えを補強する。「日本人自ら、ああいってるのだから間違いない」と。


中国人との間で信頼関係を築こうと思ったら、取り繕っても意味がないと感じるようになった。侮るのではなく、へつらうのでもなく、堂々と日本の主張、時には怒りを伝えることも大事だと思う。




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「日本の帝国主義を打倒せよ!」と書かれた横断幕を掲げて道路を占拠する反日デモの参加者ら=昨年9月、中国陝西省西安市内