両陛下、ご静養中も被災地に思い。
静養先に向かうため伊豆急下田駅に到着され、出迎えた住民らとお言葉を交わされる天皇、皇后両陛下 =25日、静岡県下田市(荻窪佳撮影)
天皇、皇后両陛下は25日から28日にかけて須崎御用邸(静岡県下田市)で静養された。側近によると「葉山、那須でのご静養とは異なり、お二人での時間が長く、ゆっくりと過ごされた」という。
26日には同県東伊豆町のミカン農家、八代良一さん(65)の畑と自宅をご訪問。陛下は「甘夏が好きです」とおっしゃったという。27日午前には伊豆漁業協同組合下田市魚市場でキンメダイなどの水揚げ作業を視察した後、知人を頼って宮城・気仙沼から避難してきた東日本大震災の被災漁業者らと懇談された。宮内庁の風岡典之長官は28日の定例会見で、「現地に入ってから(被災者がいると)話を聞き、両陛下とご相談してご予定に追加した」と説明した。
両陛下は2月の葉山御用邸(神奈川県葉山町)でのご静養でも、美術館で宮城県石巻市の被災美術品の修復に関する展示をご覧になっている。つかの間のご静養であっても、被災地や被災者への思いは変わらないことを、行動で示されている。
4月30日での退位を表明したオランダのベアトリックス女王に代わり、女王の長男であるウィレム・アレクサンダー皇太子が即位するまで約1カ月となった。
宮内庁の小町恭士東宮大夫は29日の定例会見で「正式な招待状は届いていない」としたが、宮内庁関係者によると、大使館などの外交ルートを通じ「皇太子ご夫妻でお越しください」との趣旨のお招きがすでにあったという。
皇太子ご一家は敬宮愛子さまの春休みを利用し、26日から29日に長野・奥志賀高原で静養し、スキーを楽しまれた。週明けの4月上旬にも、オランダご訪問に関する検討が本格化する見通しという。
秋篠宮ご夫妻と次女の佳子さま、長男の悠仁さまは24、25の両日、20年に1度、社殿を造り替える式年遷宮を10月に控えた伊勢神宮(三重県伊勢市)を旅行で訪問された。
初日は、式年遷宮の展示施設「せんぐう館」をご視察。悠仁さまが、社殿の建築様式「神明造(しんめいづくり)」の見本キットを組み立てられる様子が公開された。小堀邦夫館長が「いつでも大工の棟梁(とうりょう)になれますね」と声をかけると、悠仁さまはにっこりされたという。新社殿を組み立てるシーンを3Dで再現した映像にも興味を抱いたようで、3回繰り返してご覧になったという。
25日には伊勢神宮をご参拝。初参拝となられた悠仁さまを紀子さまや佳子さまが気遣い、手や背中に手を添えられる様子もみられた。
早稲田大国際教養学部で学んだ高円宮家の長女、承子さまは26日、同大早稲田キャンパス(東京都新宿区)の大隈講堂で行われた同学部の卒業式に、高円宮妃久子さまやご友人と出席された。
同大によると、承子さまは式の前に、貴賓室で森田典正学部長から学士(国際教養学)の学位記を受け取られたという。取材に対し、「さまざまな国の文化の中で育ったいろいろな友達と交流することができて、本当に学ぶことも多くて刺激になった4年間でした」と述べられた。
4月からは日本ユニセフ協会に就職される承子さま。「昔からオフィスで働くのが、亡くなった父を見ていて夢だったので、かなうことがうれしいです。公務も同時に頑張っていくので、しっかりと両立していきたいと思います」と、国際交流基金で働かれていた高円宮さまの思い出に触れながら、新生活への意欲を語られた。
承子さまは翌27日、妹で高円宮家の次女、典子さまと新しい歌舞伎座(東京都中央区)の開場式に臨席された。