西村眞悟の時事通信 より。
二年前の福島第一原子力発電所の巨大津波にともなう原子炉建屋の冷却電源喪失と爆発事故以来、未だに周辺市町村の住民は自宅に帰宅することを禁じられている。
海岸線を南相馬市から南下しても、浪江町に入るところで通行を止められる。
三月十七日に相馬市の丹下左膳の大きな碑が立っている漁港一体を見てまわり海岸線沿いに南下して茨城にでようとしたが、浪江町のところで道路に柵が置かれており、北海道警察の警官に通行を止められた。迂回路を教えてくれと頼んでも、ご苦労なことに北海道から来ているので知らなかった。
この通行止めに遭遇する前に、内陸の飯舘村を訪れているのでその報告をしておきたい。
三月十三日には、維新の会の西田 讓議員が、衆議院予算委員会において、福島原発事故による放射能が危険だという民主党の菅内閣以来の理由で住民が退避させられたままになっておるが、果たしてその地域の放射能は危険なのか、という基本的な質問をした。
この角度からの質問は、原発事故以来、始めて為されたものであり、立派な勇気ある質問だ。
やはり、これは、衆議院総選挙を経て陣容改まった成果である。
とはいえ、国会周辺では、今でも「反原発」の座り込みが細々とであるが続いており、毎週金曜日には五十名ほどが、銅鑼を叩いたり笛を吹いたり、仮装行列のような格好をして「反原発」を訴えている。
従って、放射能は住民の居住を禁じるほど危険なのかという質問をした西田議員に対しても激しい非難のメールやファックスが大量に届いた、と本人から聞いた。
そして、その非難の文章は定型化されており、かつて村民の退去に異議を表明していた飯舘村の菅野村長に届いた定型化された非難メールと同じ組織の「運動」として送られてくるものが大多数かと思われる。
従って、こういう非難攻勢を受けるのを承知で、基本的かつ本質的な質問をした西田 讓議員は、立派なのだ。
私は、西田議員に、すばらしい質問だったと伝え、そして「飯舘村に行ってくるよ」と言って急遽十六日夜福島市で一泊し、翌十七日に飯舘村に入った。
以下、数字は放射線量をマイクロシーベルトの単位で示す。
東京青山葬儀所周辺 0・14
福島県白河 0・28
福島駅周辺 0・29
川俣町と飯舘村境界 0・56
細川牧場 放牧場 2・34
小屋前地面 9・99
小屋前目の高さ 5・86
飯舘村役場前 0・55
綿津見神社鳥居前 1・50
飯舘村へは、四度目の訪問だが、定点観測地点に決めているのは村役場前と細川牧場だ。
今回の放射線量計測では、細川牧場の小屋入り口の地面が9・99マイクロシーベルトを記録したが、前回は同じところで6マイクロシーベルトだった。そして、ここだけが昨年十一月の計測値より放射線量が増えていたが、他の地点では昨年よりかなり減っていた。
さて、この数値で、全村六千人の住民を全員退去させ未だに再びもとのように住むことを禁止する合理性があるのだろうか。
また、飯舘村役場前は、除洗の為であろうか、敷石を全てめくって積み上げ無惨な状態になっていたが、0・55マイクロシーベルトの地点でここまでして除洗する必要があるのだろうか。
先に、西田 讓議員の質問が、基本的かつ本質的だと書いたが、私の飯舘村訪問はまさにそれが基本的かつ本質的であることを裏付けたと思う。
飯舘村の全村民退去の惨状は、かつて豊かな村の田園が全て荒野に変わっていることにある。
村民退去措置は、村の破壊、国土の破壊であり、その精神的損失、経済的損失は計り知れない。
今こそ、私のような医学と放射能の素人ではなく、
安倍内閣が國の内外から放射線医学の専門家を集め安全性の調査を尽くすべきではないか。
あのときの、菅あえて馬鹿内閣という、の総理や官房長官のあたふたとした措置を、これからも漫然と「墨守」してゆく必要があるのか否か、医学的観点から叡智を結集して結論を出すべきだ。その専門知識と経験を持った国内の人材に活動の場を福島と日本の為に提供することが内閣の責務だと思う。
ところで、飯舘村の郷社である綿津見神社に注目していただきたい。
この神社の 多田 宏 宮司は、
全村民が退去させられても神社に留まり、二年間、一人で郷社を守ってこられた。
このことを知って以来、私は、飯舘村を訪れる度に、
綿津見神社にお参りし、この日本の貴重な原風景をたたえる豊かな飯舘村を護り給えと祈る。
そして、村民が一人もいない冬の日々をたった一人で神社を守ってこられたご苦労を察し、多田 宏宮司に深く敬意を表する。
多田宮司は、飯舘村を護り日本を護ってこられたと思う。
かつて明治の御代に、足尾銅山の鉱毒により廃村に追い詰められた谷中村を護ろうと立ち上がった田中正造は、谷中村を滅ぼすことは日本を滅ぼすことになると思って谷中村を護った。
今、菅左翼内閣の措置が、鉱毒よりひどい害毒を日本に流していると思われる。そして、その害毒が原発周辺の福島県民、飯舘村に象徴的にかぶさっているような気がする。
従って、飯舘村を護ることは日本を護ることだと思って、諸兄姉に、現在進行中の被災地での不合理、理不尽に気付いていただきたい。
その飯舘村を護っている郷社、
即ち、日本を護っている郷社
綿津見神社と多田 宏宮司さんの住所を諸兄姉に知っていただきたく次に記す。お参りされんことを。
綿津見神社(八龍大明神)
宮司 多田 宏
〒960-1801
福島県相馬郡飯舘村草野字宮内156
TEL・FAX 0244ー42ー0108
なお、この度の飯舘村訪問には私と共に尖閣諸島魚釣島に上陸した映像教育研究会主催の稲川和男さんに同行いただいた。
稲川氏に撮影していただいたその時の記録を本ホームページに掲載させていただく予定だ。