古事記。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 









【話題の本】

『マンガ古典文学 古事記〈壱〉』里中満智子著





女性視点による手腕に注目


 日本人ならタイトルだけではなく、少なくともその大ざっぱな内容くらいは知っておいたほうが後々役に立つ日本古典文学の名作を、第一線で活躍する漫画家陣が原典に基づき、楽しくビジュアル化した書き下ろし漫画シリーズ「マンガ古典文学」の第1期(奈良・平安・鎌倉期)のトップを飾る第1回配本(2月刊行)である。

 いうまでもなく『古事記』は、天武天皇の勅命によって編纂(へんさん)された、現存する日本最古の歴史書である。稗田阿礼(ひえだのあれ)、太安万侶(おおのやすまろ)といった名前を思い起こす人も多いはずだ。この世の始まりから、多くの神話、伝説、由来が記されて、和銅5(712)年に、当時の元明天皇に献上された。

 昨年は『古事記』編纂1300年を迎えて、さまざまに趣向を凝らした『古事記』や、その解説本が書店にあふれた。漫画による作品はこれまでにも、石ノ森章太郎(中央公論新社)、久松文雄(青林堂)ら多くの手練(てだ)れが手がけてきているが、『マンガ ギリシア神話』『マンガ 旧約聖書』などの著作で知られる里中満智子の女性視点による手腕に注目だ。

巻末には歴史上最初の五神といわれる「別天神(ことあまつかみ)」から脈々とつながる日本の神々の系図と、慶応義塾大学講師の竹田恒泰氏による詳細な解説がついている。物語の本編に入る前に基礎知識として目を通しておくと、作品を楽しむ視野が一層広がるに違いない。
続編で完結する『古事記〈弐〉』は4月に発売の予定だ。(小学館・1680円)




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