わが国には閣僚資産公開制度なる珍奇なルールがある。公人、ただそれだけの理由で、本人や家族のプライバシーを無視して、所有する土地の評価額や株の銘柄や保有数まで人目に晒す。不正蓄財の防止目的と称して、興味本位のメディアが他人の財布を覗き込む。政治倫理がどうのこうのと尤もらしい理屈をつけるが、何とも愚かで浅ましい行為だ。権力者に対する庶民のひがみと妬みはかくも醜い。
情けないのは閣僚の資産内容がぱっとしないことだ。現預金を除く資産額と聞くが、全閣僚平均で1億円とは随分少ないじゃないか。庶民に比べれば金持ちの部類だが、都心部の高級な億ションが即日完売する世の中だ。ごろごろいる巷の資産家に比べれば、大臣ともあろう代議士諸氏が随分しみったれた懐具合だ。
勘違いする向きも多いが、資産がなければ清廉潔白を意味するワケじゃない。広く海外を見渡せば、政界は功成り名を遂げた人物が携わるべきとの常識がある。目先の金を追う必要のなくなった成功者や、祖先から莫大な遺産を譲り受けた血筋の良い人たちが、社会奉仕の意味合いで政治の世界に入るケースが多い。だからこそ、どこの国でも議員報酬は雀の涙なのだ。政治家は一般人とは桁違いの資産家であっていい。そうでもないと、政治を蓄財の道具にする不届き者が出てくる。
もう閣僚資産公開なんてくだらない制度は辞めたらどうか。大臣面して、あいつの懐はあの程度かと、世界の要人から小馬鹿にされる。それに大臣が貧乏人と分かれば、収賄工作の標的にされ兼ねない。聞けば野田政権時代の閣僚平均資産額は、安倍内閣のソレの僅か半分だったとか。特亜の工作員にとって、さぞ籠絡し易い大臣ばかりだったに違いない。