日本の軍備増強を望むアジアの声と日本を貶める
海外メディア~西村幸祐氏
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36950
マット安川 今回はチャンネル桜でもさまざまな情報発信をしている西村幸祐さんをお招きして、総選挙から年末年始までのマスコミのさまざまな動きをリポートしていただきました。
安倍首相は非常にスピーディーに動いている

ジャーナリスト、作家。音楽雑誌編集などを経て、主にスポーツをテーマに作家、ジャーナリストとしての活動を開始。2002年の日韓ワールドカップ取材以降は拉致問題や歴史問題などに関する執筆活動を行い、2011年4月『JAPANISM』を創刊。『幻の黄金時代 オンリーイエスタデイ'80s 』(祥伝社刊)など著書多数。(撮影:前田せいめい、以下同)
西村 私は安倍(晋三)さんが総理に就任してから会っていないし、官邸にも行っていないので、直接肌で感じることはないですけど、相当動いていますよね。うまくやっていると思います。客観的に見て、昨年の暮れから非常にスピーディーに動いています。
外交に関しては、外務省がちょっとひどい。総理の意向をくまないで、アメリカの言いなりになってしまって、アメリカ訪問が延びた。その代わり東南アジアの訪問が先になりましたけれど。そのへんのプログラムの違いはありますが、それ以外に関しては非常にスムーズに動いている気がします。
もちろん、批判の声もあるでしょう。例えば、政府が新設した産業競争力会議のメンバーに、安倍首相の考えとは違う人が入っているという指摘もありますが、政治というのはいろんなものが絡み合って動きます。
政策のポリシーをすべて推進していくためには、それだけの力を持っているかどうかも重要なファクターの1つになります。安倍さんはその点で、党内基盤が非常に弱い。安倍さんの足を引っ張る人が党内にもいっぱいいるわけです。
民主党なんかよりもむしろ自民党のほうが怖いと言っても過言ではないと思います。したがって、いろんなものをうまく取り込みながら自分の理想の方向に進めていくしかない。自分の意向とはちょっと違った考えを持つ人でも入れざるを得ないわけです。
また、原発にしても消費税にしても、政権公約とそんなに変わっていないと思います。安倍さんは原発をすぐにゼロにするとは言っていませんでしたし、消費税増税も経済状況を見て3党合意に従うということで、そうでなければ増税しないと言っていましたから。
いずれにしろ、今の時点でそうしたことを不安視するのはいかがかと思います。不安になる気持ちは分かりますが、もう少し長い目で、少なくとも7月までは様子を見たほうがいいと思います。
マスメディアによる報道テロ、安倍叩きが本格化へ
ところが、マスメディアの安倍叩きがひどい。安倍叩きはずっと前からありましたが、昨年末からひどくなり、今年に入ってますますひどくなっています。今のマスメディアの中には安倍さんが嫌いで嫌いでしかたない人間がいるわけで、本当にくだらないものから陰湿なものまで含めて叩いている。
しかもまだ何もやっていない段階で、何かしら難癖をつけて叩くわけですからね、度を越しています。典型的なのが中日新聞・東京新聞です。徹底的に揶揄しまくるという、まるでイエローペーパーというか“レッド”ペーパーというか(笑)。
いろいろなところから聞こえてくる情報で判断すると、安倍総理への攻撃はこれから一斉に始まります。これからです。今までのは序の口にすぎない。捏造みたいなものから印象操作などありとあらゆることをマスメディアは仕掛けてくると思います。そういった報道テロがこれから起きるのは間違いありません。
その目的は、7月の参議院選挙で安倍政権に勝たせないこと。そういう意図が見えみえです。そこで受け手としては、報道内容をしっかりと見て、批判することです。それによってかえってメディアの正体が広く国民の目に触れることになると思います。
安倍叩きに関しては、国内だけではなく海外メディアも同様です。特に韓国は常軌を逸したような書き方をしている。中国はまだ割と客観的な書き方をしていると思います。
アメリカの一部の新聞もひどい。私はこの場を借りて、ニューヨーク・タイムズの東京支局長マーティン・ファクラーさんにメッセージを伝えたいと思います。この放送が終わった後にメールなりツイッターで呼びかけます けど、ぜひ私と2人で公開討論をやりましょう。
というのは昨年暮れに、彼は非常に乱暴で日本人をバカにした差別的な、しかも歴史事実を無視したような下品な記事 を書いています。おまけに今年に入っても非常にレベルの低い社説 を書いている。ですから、ぜひ公開討論に応じていただきたい。
「日本の軍備強化歓迎」マスメディアが取り上げないフィリピン外相発言

日本のマスメディアで不思議だったのは、昨年12月のフィリピンの外務大臣の発言についてです。同外務大臣が英フィナンシャル・タイムズのインタビューに答え、安倍政権についても話しています。
その中で、日本にもっと軍備を増強してもらって、早く憲法を変えてもらいたいと語っているんです。普通だったら、日本でも各紙のトップニュースになってもいいほどのニュースバリューがあると思うんですが、その時は時事通信が小さな記事を配信しただけでした。
フィリピン外相の発言の背景には、中国の拡張主義があります。中国は最近、新しい地図を発表しましたが、中国の地図というとこれまで横長だったんですが、今回は縦長になっているんです。南シナ海まで自国の領土に入れたからです。
フィリピンやベトナムにとってはたまったものじゃないですよ。そこでフィリピンは切実な思いで日本に憲法を変えてくれと。同盟を結びたいくらいのことは思っているでしょう。ベトナムも同じはずですよ。
ですからフィリピン外相の発言は非常に大きなニュースのはずなのに、日本のマスメディアは大きく取り上げないというのは、おかしいと思いますね。