救出運動-今年の総括と今後の展望-東京連続集会70報告
救う会は、平成24年12月27日、文京区民センターで、「救出運動 - 今年の総括と今後の展望」というテーマに基づく「東京連続集会70」を開催した。家族会・救う会は、平成24年を「勝負の年」としてきたが、昨年中の救出ができなかった。
しかし、被害者が助けを待っている。北朝鮮を取り巻く環境も厳しくなっており、金正恩政権は追い込まれつつある。日本も、周辺国の政権も変化した。「勝負の年」の延長戦をどう戦うのか。家族会から飯塚繁雄さん、横田滋・早紀江さん夫妻、増元照明さん、本間勝さんが参加、救う会から西岡力会長が参加した。
当日は、被害者への新年メッセージとして発信予定の「自由北朝鮮放送」への録音も、多くの参加者を前に行われた。また、古屋圭司新拉致問題担当大臣も急遽参加を検討したが、所要のため参加できなかった。
さらに、今年進めてきた「1000万署名運動」の結果が平田隆太郎事務局長より報告された。署名数の累計は当日現在、9,719,015筆で1000万まであと 280,895筆。平成25年早期に1000万署名達成をめざすことが報告された。
以下は東京連続集会の概要です。数回にわたり発信します。
■救出運動-今年の総括と今後の展望-東京連続集会70報告
西岡 ついに年末になってしまいました。今年を「勝負の年」として、今年中に結果を出したいと願って、例年に増して力を入れて運動をしてきました。4年ぶりに政府間交渉が始まった。そして北朝鮮側が、その交渉の席で「解決済み」とは言わず、最悪ではなかったかもしれませんが、被害者の顔を今年も見ることが
できませんでした。大変残念でなりません。
しかし、ご承知の通り安倍晋三政権が発足し、古屋圭司先生が担当大臣に就任されました。少し前に、直接電話でも話しましたが、私たちは期待しています。今日、飯塚家族会代表と救う会の私の名前で声明を出しました(24.12.27メールニュース公表)。それを家族会の増元事務局長に披露していただきます。
◆安倍政権発足に期待する-家族会・救う会声明
■安倍晋三政権発足と古屋圭司拉致担当大臣就任に期待する-家族会・救う会声明
安倍晋三政権が発足し、古屋圭司代議士が拉致問題担当大臣に就任した。私たちはこれを歓迎し、被害者救出という結果を出していただくことを強く期待する。
安倍総理は金正日が拉致を認める前の苦しい時期から家族会・救う会とともに被害者救出に尽力し、10年前の小泉訪朝時以降も、被害者死亡説をくつがえし、帰国した5人の被害者の北朝鮮への送還阻止などでともに戦っていただき、第1次政権時に現在までつづく拉致問題対策本部、担当大臣体制を構築していただいた。
古屋大臣も拉致議連事務局長、幹事長として常に家族とともにいて、毎回の国民大集会出席や訪米・訪韓などで同行、「拉致問題解決なしに国交正常化なし」、「対話と圧力」、「制裁強化によって北朝鮮を協議に引き出す」などの救出戦略構築に大きく貢献してくださった。
私たちは今年を勝負の年と定め救出運動を進めてきた。4年ぶりの政府間協議は実現したが、具体的進展のないまま年末を迎えた。しかし、今この瞬間も被害者たちは日本からの助けを待っている。落胆したり敗北感に囚われている余裕はない。来年こそ結果を出すという決意で「勝負の年」の延長戦を行う覚悟である。
率直にいって民主党政権の3年間、頻繁な担当大臣交代、政治主導というかけ声の先走り、一部与党幹部らの個人プレーなどぎくしゃくさがあったことは事実だ。
それだからこそ、安倍総理、古屋大臣の就任は大きな励ましとなる。私たちも力を振り絞って救出運動を続ける。全閣僚、対策本部をはじめとする全政府組織、与野党政治家、関係者が持てる力を全て発揮して結果を出すべく取り組んでいただきたい。
平成24年12月27日
◆この1年、家族の思い
西岡 まずパネル形式でお話を伺います。この1年間、必死で運動をしてきましたし、1000万署名運動もあと28万というところまできました。国民の皆さんのご支援を大変多く受けることができたことに心から感謝しています。
まず、この1年間を振り返って今思っていらっしゃることを飯塚代表から一言ずつお願いします。
◆何にもなかった今年
飯塚繁雄(田口八重子さん兄、家族会代表)
みなさん今晩は。まもなく今年が終ってしまいますが、今年を振り返ってということになれば、結論から言えば、何にもなかったというのが今年ですね。
我々がいつも言うように、「結果がほしいんです」と。しかしこれに向けて、色々な活動の中で、解決への道筋を求める活動としては前進していると評価したいと思います。
声明にもありましたように、「勝負の年」と位置づけた覚悟があったわけです。何が何でも今年中に解決したいという意気込み、これは家族のみならず色々な支援していただく人たち、団体がいっしょになってかなりの活動をやっていただきました。
その成果は、署名その他で出てきますが、実際に政府としての拉致問題解決への道筋が見えないまま終ってしまいそうになってしまいました。
そういう中で私たちとしては、「10年目の節目」という話がありますが、今年1年、毎日が節目だという気持はまったく変わっておりません。今日どうだったのかな、明日どうなるのかなという思いが毎日あります。
先ほど、妹の写真を見たのですが、もう可哀想でなりません。気の毒でなりません。私の気持としては、「ごめんなさい」と言うしかないんですね。「助けてあげられなくて」と。そういう思いが、年も押し迫ってからかなり強くなっています。そういう状況は他の家族の方々も同じだと思います。
待ってる家族も、いつも言うように、年々歳をとってしまう。身体も弱る。精神力も弱る。こういうことは、時間が経てば経つほど現実の姿として、ぬぐえない状況だと思います。
だからこそ我々は、「一刻も早く」と、「家族が元気で待っている内に」と、松原さん(前大臣)の言葉を借りれば、「元気な家族がいて、そこに被害者が帰ってきて抱き合う姿を見なければ本当の解決とは言えない」ということです。
確かに北朝鮮からやっとの思いで帰ってきたら家族がいない、というような状況を考えれば考えるほど、これは全く悲劇ですね。ですから我々は、本当に、一刻一刻が、毎日毎日が節目だと言っていますが、そういう気持の積み重ねがあっという間に1年経ってしまったという思いです。
しかし、この1年やったこと、皆さんにご協力いただいたことは先につながるものだと思っています。「勝負の年」としましたが、まさに来年はこの延長戦ということにならざるをえない状況です。
野球で言えば、延長戦は9回が終って、10回から12回くらいで勝負が付くんですよね。そういうことを考えると、来年1年かかっては困る、18回も試合をしてはいけないという思いが募ってきます。
来年は、新しい政権のもとで、とにかく早く解決の道筋をつけてもらいたいという思いです。
拉致問題というのは、色々な問題が多い中で、今までつぶされてしまって、脇へ押し出されていたという状況がどうしても感じられますが、政府としての役割、責任の元で解決しなければならない問題ですね。なのにそれが後回しになってしまうという苦い経験を強いられたわけですが、そういう意味ではいつでも、どんな場面でも、拉致問題が論議のテーブルの中心に置いていただいて、のけ者にならないように願います。
他の問題がたくさんある中で、拉致問題も一緒に、あるいは、先行してやるべきと強く思います(拍手)。
◆日朝交渉は延期しない方が
横田滋(横田めぐみさん父、家族会前代表)
今年中になんとか解決をということで「勝負の年」としたわけなんですが、今までのやり方というのはちょっと反省する必要があるんじゃないかと思います。フジテレビで飯島さんは「制裁だけでは解決しない」ということを、もっと北朝鮮、朝鮮総連にもメリットを与えなければだめなんだとおっしゃっていました。今度総理の参与になられました。
今年の清津会の遺骨の収集の時に外務省の課長級、局長級の会合が行われ、北の態度がずいぶん変わってきたというようなことを言っていました。今の段階ではお金の請求はないと言っていますが、この次はどうなるか分からないとおっしゃっていました。
そういう中で今月5日、6日と北京で日朝局長級の交渉が行われるというところに、北が人工衛星を打ち上げると予告したので、結局日本側の方から拉致の問題も含む会談を言及したわけです。それで延期しましたが、なぜ延期する必要があるのか。
救う会はミサイル打ち上げの時にも、制裁をという表現を出しましたが、それは当然のことですが、拉致についてではなくミサイルについて制裁をするというのは筋違いと思います。
昨日、マスコミの方から、日朝間の拉致についての交渉を延期したのはよく分からないと言われ、私は継続すべきだという話をしました。それは賛成してくださる方がたくさんいました。
今までの拉致(制裁?)を優先するようなやり方は、目に見える効果は何もなかったわけですから、作戦を考えるべき時期に来ているんじゃないかと思いました。
西岡 1点だけ。声明は家族会と救う会で出したんですが、拉致も理由に入れてほしいとしています。今まで日本政府はたくさんの制裁をしてきたんですが、これまで拉致だけを理由にして制裁をかけたことはなくて、ミサイル発射か核実験の時に制裁をかけています。その時、「拉致も理由に入っています」と言ったの
が当時の安倍官房長官であり、安倍総理でした。
我々は偽の遺骨の時に座り込みをしたりして制裁を求めましたが、残念ながら拉致だけで制裁がかかったことは今までないんですね。今回もミサイルが発射されたので、当然制裁の議論が出てくるだろうけれども、ミサイル発射や核実験の時は制裁をかけて、実際被害者が帰ってこれなくて、今年も1年抑留されている期間が延びているのに、そのことについては何も言わないということになると、日本の姿勢が誤解される可能性があるので、「拉致も理由の一つに入れてほしい」という声明を出したのです。
次に、横田早紀江さんにお願いしますが、先ほど飯塚さんが、八重子さんの写真を見て「申し訳なかった」という話をされましたが、私はそれを聞いて、99年の最初の日比谷公会堂での国民大集会で早紀江さんがおっしゃった「めぐみ、お母さんがきっと助けてあげる!」という言葉を思い出しました。
あれから13年経って、まだ助けてあげることができていないまま今年1年過ぎてしまうわけですが、今年1年を振り返ってどう思っておられますか。
◆来年こそは何かが動くのではないか
横田早紀江(横田めぐみさん母)
みなさま今晩は。拉致は北朝鮮という謀略の国の犯罪であって、こんな大変なことが日本の国の中で延々と行われ続けていて、そのことが全然表に出てこなかった時期が長くて、私たちは何にも知らずに国内事件として探し回っていたわけです。
それが、思いがけないことから、北朝鮮の工作員によって拉致が行われているようですよ、と言われた時は(娘が拉致されてから)20年も経っていました。
そのこと事態が異様なことで、私たちは「本当かしら」と信じられない思いだったんですが、これは助けなければいけないという気持でたくさんの被害者の方もいらっしゃいますから、お帰りになった方も含めて、署名活動を始めて、1000万人に手が届くところまで皆さんにご支援をいただきました。
今日もお見えになっていますが、スーザン古森さんに通訳をしていただいて、(米)下院でお話(証言)させていただいた時もありました。色々なことを振り返ると、この1年のことだけでなく、本当にたくさんの色々なことが、よくもこれだけやったと思うほどのことがありました。
全く分からなかった20年の年月というのは、私たちはめぐみのことについてはもうあきらめなければならないのかと思って、それでも祈り続けてきたことが、本当に20年経って明らかになったんです。
(めぐみさんが拉致された時に持っていた)バドミントンのラケットの写真とか、孫までいて、「おばあちゃん元気ですか」と言っているようなことが、20年経ってから現れたんです。
だから一つひとつのことは小さくて、届かないなあという思いの時もありますが、マイナスのことは一つもないだろうと私は思っています。北朝鮮という国がどんな国かということは世界中で多くの方が分かるようになってきました。
私たちは経験を話すことしかできないんですが、皆様に支えられて、こいう会に来てたくさんの人に、こんな経験をしてきたとか、こんなことが日本の中で起きていたとか、まだ子どもたちがどこで生活させられているかも分からない、生死さえ本当のことがわからない状態が続いているということが日本の問題なんで
すよということを、日本中くまなく歩き回って、私たち夫婦はそういうことだけはできますから一生懸命お話をさせていただきました。
国民の方に、これは大変なことだった、日本はこんなことをされていたということを分かっていただけるところまで来たわけです。時間はものすごく長いんですが、少しずつですが見えてきて、そして少しずつ解決に向かって政治の色々な変化もありますし、ややこしいこともいっぱいありましたが、安倍総理が、「あの頃のことを思い返して頑張ります」と言っておられますので、今度は少しずつ知恵を出してくださって、本当の日朝交渉ができればと思います。
また、日米関係とか、韓国では朴さんが大統領になられますが、これだけは何とかしなきゃと思っていてくださると私は信じています。来年こそは何かが動くのではないかなあと期待を持って、20年間の苦しみの後、こんな不思議なことが起きたんですから、絶対にまた次に起きると確信して頑張ってまいりますので、来年もどうぞ宜しくお願い致します(拍手)。
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■救う会全国協議会ニュース
発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)
TEL 03-3946-5780 FAX 03-3946-5784 http://www.sukuukai.jp
担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)
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