西村眞悟の時事通信 より。
再び、ゴラン高原を書きたい。
何故なら、我が国が、ゴラン高原の兵力引き離し監視軍に派遣していた自衛隊部隊を、年末年始に引き上げた措置が、
東シナ海における中共の対日軍事的攻勢を強める要因の一つになっていると思われるからである。
我が国がゴラン高原から部隊を引き上げた理由は、シリアの内戦によってゴラン高原の治安が悪化したからだ。
この我が国の措置は、同じく兵力引き離しの為にゴラン高原に部隊を派遣していた各国にとって理解不能だ。国連と派遣各国は、いよいよ任務を果たすときが到来したと、兵力を増強しているからだ。
しかし、我が国のゴラン高原からの部隊撤退は、理解不能ではあっても、我が国に対する重要な情報を世界に供給した。
それは、日本という国は、軍事的な緊張を高めれば部隊を撤退させる、ということである。
つまり、日本は、いざとなったら、逃げるということだ。
そこで、この情報が、「尖閣における日本の実効支配を打破する」と宣言して(平成二十四年三月)、公船を定期的に尖閣周辺に繰り出し、軍艦を後方に待機させている中共の行動に如何に作用するか。
それは、明らかであろう。
中共は、我が国のゴラン高原撤退を観察して、尖閣を中心とする東シナ海において、さらに対日軍事的攻勢を強めれば、
日本もそれに応じて軍事力を強化してくるのか、
それとも、
弱気になって「日中友好重視」を名目にして部隊を引き上げる方向に向かうのか、
一定の判断に達しつつあるはずだ。
つまり、中共が、日本は軍事的攻勢を強めれば、ゴラン高原と同様に部隊を引き上げるという判断に達したときに、中共はさらに攻勢に転じるだろう。
そして、その結果は、東シナ海に於ける日中の軍事衝突だ。
この軍事衝突を回避する道は、日本は中共の攻勢に正比例して軍事衝突を恐れず断固として尖閣を護るために部隊を増強してくるという判断を中共にさせることだ。
ゴラン高原の部隊撤退時の内閣であった安倍内閣の総理を含む閣僚の中で、この撤退措置が如何なる情報を中共に提供し彼の如何なる行動を誘発する方向に作用するのか、立ち止まって考えた者が一人でもいたのであろうか。
戦後の惰性に身を委ねて、軍部隊を軽々しく動かしてはならない。平和呆けした彼等が思いもしない惨害を、国家に招き入れることになるからだ。
以上、沖縄方面の軍事筋から尖閣を巡る中共の軍事攻勢はエスカレートし、危険な段階に達しつつあるとの情報を得たので指摘した次第だ。
今からでも遅くはない。今政治がすべき決断は、
日本は中共の軍事的攻勢を受けて立って断じて尖閣を守るという意思を行動で中共に理解させることだ。
情報について書いておくが、
ゴラン高原は、日本から遠く離れたイスラエルとシリアの間の岩と砂の小さな高原だ。我が国の派遣部隊も数十人の規模に過ぎなかった。
しかし、情報の世界では、この数十人の部隊の動きが国家の運命に影響を与える。このことを知っておかねばならない。
医学の世界においても、皮膚の表面の小さな異変から体内深くにある深刻な病状や体全体の病変を突き止めることができる。これと同じだ。
同様に言っておく。
第十六代仁徳天皇の百舌鳥耳原中陵正面の陵墓内に、自分たちの事務所を新築するために当然のように陵墓の土を掘りコンクリートを流し込んでいる陵墓内の「宅地開発工事現場」から、
宮内庁という役所のもつ天皇の権威を敵視する左翼コミンテルンと同じ異常感覚と戦後日本の病状を、私は毎日観ている。
万世一系の天皇を戴く我が日本において、
天皇陵は「遺跡」ではない。
今に生きる天皇家の「陵墓」である。
こともあろうに、
宮内庁が今仁徳天皇陵の陵墓内でしていることは、
天皇と日本国の権威の破壊である。