国を挙げて発信力を競え。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 









東京五輪招致





2020年夏季五輪開催を目指す東京の招致委員会が、詳細な開催計画を説明する「立候補ファイル」を国際オリンピック委員会(IOC)に提出した。

 国際プロモーション活動が解禁され、本格的な招致合戦に突入した。開催地は9月7日、IOC委員の投票で決まる。東京五輪は国内の沈滞した気分を打ち破り、日本の存在感を世界に示す好機ともなるだろう。

 イスタンブール(トルコ)とマドリードは、あなどれないライバルだ。政府は国を挙げて、日本と東京の魅力を発信してほしい。

 計画では、中央区晴海に建設する選手村から半径8キロ以内に競技会場の85%を配置するコンパクトな五輪を打ち出した。

 東日本大震災からの復興を開催意義に盛り込み、サッカーの1次リーグを宮城県で実施することも記している。

 昨年5月の第1次選考時のIOC報告書では、東京が総合評価で最上位に位置した。心配材料は住民による開催支持率の低さで、2都市が70%を超えているのに対し東京は47%にとどまった。

 だが、ロンドン五輪で史上最多の38個のメダルを獲得した日本選手団の活躍もあって、招致委の昨年末の調査では、66%まで上昇している。

 東京・銀座でのメダリストらの凱旋(がいせん)パレードに繰り出した約50万人の映像は、いかに日本人が五輪を愛しているかを物語る格好の材料となるはずだ。

 昨年末の東京都知事選で、招致推進の猪瀬直樹氏が「ゼロベースでの見直し」を訴えた候補を大きく引き離し、史上最多の票を獲得した事実も、広く世界に訴えるべきだ。

 IOCの報告書には、「国のエネルギー基本計画に注視が必要」という記述もあった。ずばり、大震災後の日本の電力事情に懸念を表明したものだ。

 開催地決定を目前に控えたこの夏、国内が計画停電に陥るようなことがあれば、五輪招致の実現は限りなく遠のいてしまう。

 エネルギーの安定供給は国の責任である。自民党は衆院選の政権公約で、「東京五輪招致のための国立霞ケ丘競技場の全面改修と被災地での競技開催」をうたっていた。政府はこの夏までに、エネルギー問題でもIOC委員を安心させる答えを用意してほしい。