(宮内庁発表分/31日・月)
【午後】
陛下 節折の儀(皇居・宮殿)
天皇陛下、新年迎えご感想。「互いに支え合って…」
天皇陛下は年頭にあたってのご感想を1日付で宮内庁を通じて発表された。東日本大震災の被災者を案じ、「皆が被災者に心を寄せつつ、互いに支え合って様々な困難を克服していくよう期待しています」と呼び掛け、今年が良い年となるよう祈られている。
また、震災の経験を生かした防災教育やまちづくりに期待を示し、「人々の安全な生活が確保される方向に向かうよう願っています」と述べられた。
宮内庁によると、今年はご負担軽減を目的として、陛下は皇居・宮中三殿近くの神嘉殿で1日の午前5時半から行ってきた儀式「四方拝」を、昨年同様にお住まいの御所で行われる。
陛下は昨年2月の心臓手術後、順調に回復し、今年も5月の全国植樹祭(鳥取)、10月の全国豊かな海づくり大会(熊本)などで皇后さまと地方を訪問される予定。東日本大震災の被災地や被災者にも引き続き心を寄せられる。
6月に「日本スペイン交流400周年」の名誉総裁に就任する皇太子さまは、6月9日に雅子さまとの結婚20周年を迎えられる。秋篠宮ご夫妻の長男の悠仁さまは、春にお茶の水女子大付属小学校に入学される。
天皇陛下 新年のご感想(全文)
東日本大震災から二度目の冬が巡ってきました。放射能汚染によりかつて住んでいた地域に戻れない人々や、仮設住宅で厳しい冬を過ごさざるを得ない人々など、年頭に当たって、被災者のことが、改めて深く案じられます。今後、震災や津波による被害の経験を十分にいかした防災教育やまちづくりが行われ、人々の安全な生活が確保される方向に向かうよう願っています。
日本は、大震災の影響等により、現在厳しい状況に置かれていますが、皆が被災者に心を寄せつつ、互いに支え合って様々な困難を克服していくよう期待しています。
本年が、我が国の人々、また、世界の人々にとって少しでもより良い年になることを祈ります。
天皇、皇后両陛下のお歌8首。
新年に当たり、宮内庁は天皇、皇后両陛下が平成24年に詠まれたお歌のうち、計8首を発表した。両陛下とも、東日本大震災の被災者、被災地復興へ思いを寄せたお歌や、11月の沖縄県訪問のお歌を詠まれた。
陛下は、人々が弾を避けてアダンの木に隠れたという沖縄戦を思い起こして歌にしたほか、5月に訪問した英国で、昭和28年にエリザベス女王の戴(たい)冠(かん)式に参列した思い出を詠まれた。
皇后さまは、平成23年11月、秋篠宮ご夫妻の長男、悠仁さまが5歳のときの儀式で碁盤に立たれた姿も詠まれた(原文のまま、ルビも)。
【天皇陛下】(5首)
《心臓手術のため入院》
手術せし我が身を案じ記帳せるあまたの人の心うれしき
《仙台市仮設住宅を見舞ふ》
禍(まが)受けて仮設住居に住む人の冬の厳しさいかにとぞ思ふ
《即位六十年に当たり英国の君に招かれて》
若き日に外(とつ)国(くに)の人らと交はりし戴冠式をなつかしみ思ふ
《沖縄県訪問》
弾を避けあだんの陰にかくれしとふ戦(いくさ)の日々思ひ島の道行く
《明治天皇崩御百年に当たり》
様々の新しきこと始まりし明治の世しのび陵(みささぎ)に詣づ
【皇后陛下】(3首)
《復興》
今ひとたび立ちあがりゆく村むらよ失(う)せたるものの面影の上(へ)に
《着袴の儀》
幼な児は何おもふらむ目見(まみ)澄みて盤上(ばんじやう)に立ち姿を正す
《旅先にて》
工場の門(かど)の柱も対(つい)をなすシーサーを置きてここは沖縄(ウチナー)