安倍総裁と憲法。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 









 衆院選の論点になった憲法改正について、自民党の安倍晋三総裁は憲法96条が定めた改正要件の緩和に努力する考えを改めて示したうえで、「日本維新の会やみんなの党も一致できるのではないか」と述べた。

 憲法96条は、憲法改正を発議するには「衆参両院で総議員の3分の2以上の賛成」を必要とし、その承認には「国民投票で過半数の賛成が必要」と定めている。自民党の憲法改正案は、前半部分の発議要件を3分の2から2分の1に緩和すべきだとしている。

 96条改正を先行させる理由を、安倍氏は「3分の1をちょっと超える国会議員が反対すれば、国民が指一本触れることができないというのは、あまりにもハードルが高すぎる」と説明している。

 安倍氏は首相時代の平成19年、国民投票法を成立させた。「戦力不保持」を定めた憲法9条など肝心の中身の改正を論議する前に、手順を踏んで96条改正を目指そうとする安倍氏の考えは、極めて現実的かつ堅実な手法である。

 安倍氏が連携を模索した維新幹事長の松井一郎大阪府知事は、96条改正を自民党が提案した場合は「賛成する」と明言した。みんなの党も「憲法改正の基本的考え方」で、改正要件を緩めた「軟性憲法」をうたっている。

 問題は、自民党と連立を組むことになる公明党の対応だ。

山口那津男代表は、憲法改正について「優先度の高い緊急のテーマではない」と述べている。だが、公明党は現行憲法に環境権を加えるなど「加憲」を掲げている。加憲は護憲ではない。目指す加憲を実現するためにも、96条改正が必要ではないか。

 18日から始まった自民・公明両党の政策協議で、憲法問題がどこまで突っ込んで話し合われるかは微妙だ。安倍氏は公明党が96条改正論議に加わるよう粘り強く説得すべきであり、山口氏もこの問題から逃げてはならない。

 衆院選中、北朝鮮がまたも長距離弾道ミサイルを発射し、中国は尖閣周辺の領海に加え、領空まで侵犯してきた。国の守りを強める9条改正を急ぐためにも、前段階として96条改正が急務である。

 今回の衆院選で自民、維新など改憲勢力が3分の2を超えたが、参院は及ばない。96条改正が通常国会の議論を経て、夏の参院選の争点となることを期待したい。