日本維新の会(維新)は、当初目標としていた過半数に大きく及ばず、54議席に終わった。党内には、選挙前の11議席から大きく伸ばして第3党となったことに一定の満足感はあるが、石原慎太郎代表と、橋下徹代表代行(大阪市長)がさっそく、誰を首相指名するかで意見が食い違うなど、両氏のミゾは決定的だ。近い将来、分裂は不可避と見る向きもある。
「われわれが掲げていることへの第一歩を踏めた」
維新の松井一郎幹事長(大阪府知事)は、獲得議席をこう好感した。しかし、その陰で、維新の今後を暗示するかのような事態が起きていた。
橋下氏「維新として、(首相指名では)安倍晋三自民党総裁に投票する」
石原氏「政党の体をなさない。党首を出す(=党代表に首相指名で投票する)ことが政党の沽券(こけん)だ」
維新の二枚看板が、投開票の16日夜、別々に出演したテレビ番組で、真っ向から意見を対立させたのだ。橋下氏は出演したNHK番組でも、アナウンサーの質問に「しょうもない質問はやめてくださいよ!」とイラだちを隠さなかった。
2人が不機嫌なのは、当然でもある。選挙戦序盤から、維新への国民の期待はしぼみ、東日本の小選挙区では、小沢鋭仁元環境相(比例で当選)が敗れるなど全滅。西日本では、本拠地・大阪では14小選挙区に擁立し12勝したが、松野頼久元官房副長官が小選挙区で敗れるなど苦戦した。
これまで、石原、橋下両氏は、企業・団体献金の扱いや、原発政策などで違いが目立っていた。今後、安倍新政権への距離感など、新たな波乱要因も噴出しそう。
石原氏を支える平沼赳夫氏ら旧太陽の党出身者は安倍氏と近く、憲法改正を中心に安倍新政権への協力に前向きだ。一方、維新内部には石原氏らの保守路線に違和感を持つ向きも多く、「渡辺喜美代表のみんなの党と組んだ方がいい」という声もある。
在阪ジャーナリストは「自民党が圧勝したことで、大阪維新の会の自民党出身地方議員が自民党に戻る動きがある」といい、足元・大阪でもグラつきを指摘した。
橋下氏は来年夏の参院選に自身の出馬をにおわせている。来たる「大阪夏の陣」はどのような構図となるか。
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