政治が経済の足を引っ張ってはいけない。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 






草莽崛起:皇国興廃此一戦在各員一層奮励努力。 




安倍晋三の突破する政治





 赤字国債発行を可能にする特例公債法案や、「一票の格差」を是正する関連法案の審議に応じたことについて、「自民党が太陽政策に転じた」という論説があるが、正確ではない。自民党はこれまで一度も「衆院解散を約束しない限り、審議拒否する」とか「法案成立を阻止する」などと、重要法案を人質に取るような発言はしていない。

 そもそも、格差是正の「0増5減」案は、わが党が提案した法案であり、民主党が賛成するなら明日にでも衆院で可決できる。特例公債法案も、民主党が仕掛けるチキンゲームに付き合う気はない。ただ、8月8日の党首会談で、野田佳彦首相がした約束を守ってほしいだけである。

 野田首相の約束通りに「年内に次期衆院選(投開票)」となれば、国民に新しく信任を受けた政権が、2013年度予算案の編成と、来年1月の通常国会冒頭での補正予算編成ができる。日本経済に暗雲が立ち込めるなか、それでこそ経済再生への道が開かれる。

 民主党内には「野田政権で予算編成をして、来年冒頭に衆院解散」という説もあるようだが、自分勝手な話だ。それでは政権交代となった場合、予算編成を組み替える必要があるうえ、時間的に補正予算は難しくなるかもしれない。政治が日本経済の足を引っ張りかねない。

 野田首相は先の海上自衛隊観艦式で、「至誠に悖(もと)るなかりしか」「言行に恥ずるなかりしか」などと、旧海軍兵学校の「五省」を読み上げた。自らに、自衛隊の最高指揮官たる資格があると思ったのだろうか。

 さて、現在実施されている日米共同統合演習で、沖縄県の無人島を使った奪還訓練が決まっていたが、野田政権首脳が「中国を刺激すべきではない」と言い出して中止となった。この外交判断はひどい。

 この訓練は、尖閣諸島への野心をあらわにする中国に対し、「日米で尖閣を断固守る」「日米安保条約は機能している」という強いメッセージを出し、抑止力を効かせるためのものだった。

 ところが、直前に中止したことで、中国に「日本は尖閣を守る覚悟がない」「日米間がギクシャクしている」という認識を持たせた。最悪の外交メッセージであり、米国も不快感を示している。野田政権、民主党政権の存在は、日本の国益を日々傷つけている。

 田中真紀子文科相が、大学設置・学校法人審議会の答申を覆し、政務三役にも相談せず、来春開校予定の3大学の設置申請を不認可とした問題は、あきれるしかない。

 大学の認可のあり方や、教育レベルの維持については、別に議論する必要があるが、3大学の申請にはまったく不備がない。多くの学生や教職員らの人生を狂わしかねない突然の判断であり、彼女特有の気まぐれによる暴挙ではないのか。

 自民党はかつて、田中氏を閣僚に起用した際、その根本的な資質問題に直面して、事実上の更迭をしている。民主党幹部の面々は、そのことを覚えているはずだ。そんな人物を「国家百年の計」である教育を所管する閣僚に起用するなど、民主党政権の危機的状況をよく表している。

                                 (自民党総裁)