“売れ売れイジメ” | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 








【40×40】河添恵子 中国から“売れ売れイジメ”

「日本は放置国家」




中国マネーにわが国の領土が“バナナのたたき売り”され、トラブっている。舞台は山口県柳井市、瀬戸内海沿いの430ヘクタールほどのリゾート施設。クアハウス、ミニゴルフ場、ホテル、別荘地で構成されるリゾート施設がオープンしたのは平成10年夏のこと。地元紙によると、総事業費は約50億円。その2年後に開発業者が倒産。融資をしていた岩国信用金庫(当時)に根抵当権は移ったが、平成21年秋に同信用金庫は西中国信用金庫と合併、と同時に岩国の裁判所へリゾート地の競売申請をした。

 そして昨年11月、推定7千万円前後という超破格な値段で買収したのが、東京と上海に拠点を持つ中国系企業(帰化人が法人代表)だった。

 そもそもリゾート地&周辺の林地(合計約1600ヘクタール)を持っていた地主は4組。その中の3組は「先祖の土地を完全には手放したくない」と開発業者との間で土地の一部を賃貸借契約にしたつもりだった(その後、地主に不利な地上権付きだったことが判明)。地主は地代を得て固定資産税を支払う立場だが、契約通りの地代をもらったのは1年ぽっきり。さらに中国系企業の代理人を名乗る人物から「(超安値で)土地を買ってやる」と“売れ売れイジメ”に遭うなど踏んだり蹴ったり。しかも別荘地の住人が敷地外への出入りで使っていた道路は封鎖され、3メートル幅ほどの側道しか使えない状況に…。
中国系企業は柳井市はじめ関係者に「ソーラーパネルの助成金を申請する」「老人ホームを作る」「ヨットハーバーを設ける」「倉庫にする」など開発計画を二転三転させているが、何とその企業、上海で同業者に訴えられ、日本の某有名企業からも今年、「19億円近い未払い」問題で裁判を起こされていた。

 立地も気になる。リゾート地の真上は、岩国基地と沖縄基地を結ぶ空路なのだ。「日本は法治国家ではなく放置国家!」と嘆く地主の娘。国や自治体は事前審査制の導入など、なぜ灰色マネーを牽制(けんせい)しないのか? 

                            (ノンフィクション作家)