ほ~ら見ろ。田中真紀子大臣の暴走が始まった。石原都知事を指して暴走老人と茶化した時、アンタこそ暴走婆ではないかと思ったいたら、案の定だ。新設大学に対する審議会の承認をひ卓袱台返しで不認可にしてしまった。
理由はない。理由なんかないのだ。なぜだと問われて「大学は量より質だ」とヌカしたが、単なる思いつきだ。ただ、大臣になった以上、何かしてみたかった。それだけなのだ。
「あたしは大臣様よ!そして田中角栄の娘よ!偉いのよ!あたしに逆らう奴らなんて、許さない!」田中眞紀子はそう叫ぶと、大型バイクに飛び乗り、けたたましい爆音と共に走り出した。
盗んだバイクで走り出す 行き先も解らぬまま
暗い夜の帳の中へ
誰にも縛られたくなと 逃げ込んだ
この夜に
自由になれた気がした 大臣の夜
(尾崎豊 作詞作曲、15の夜)
夜の街を疾走する田中眞紀子。空気抵抗に押しつぶされそうになりながら、じりじりとスピードを上げる。野獣のようなエンジンの咆哮が耳をつんざく。全ての光と影が瞬時に飛び去る。あたしは今、生きているんだ。そうつぶやくと、真紀子はスロットルを全開にした。暴走は止まらない。