マスコミの世論誘導手法。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 





夕刻の備忘録 様のブログより。




前回は、「隠れ反日」のことについて書いた。何気なく、さりげなく「日本を貶める」表現を短文で混ぜる。全体の文章の量から見れば、僅かな一部に見えるものでも、受け手の印象は、実はその部分からの影響力が一番強いことが多い。実際、そうなるように仕組んでいるのが隠れ反日、「ステルス反日」の手口である。

民主党を徹底的に批判しながら、最後の最後に、「しかし自民党も情けない」とか、「自民党も他党のことは言えない」とか付け加えると、例えそれが全体の十分の一に満たないものであっても、受け手は五分五分に取る。そして、これにより「民主はダメだが自民もダメだ」という主張が罷り通る「下地が出来上がる」のである。

三党の党首会談について、産経は以下(抜粋)のように書いている。

 特例公債法案の未成立で平成24年度予算の約4割の財源にめどが立たない現状を打開するには、野党の協力が不可欠だ。そのためには解散時期を明確にする必要があるのは火を見るよりも明らかだが首相は自公両党に共同責任を負わせようという姿勢に終始した。
 「予算と一体で特例公債法案を処理するルールを作りましょう。来年の通常国会でそういう法案を提出するという付則を(特例公債法案に)入れてはどうか」
 首相が「来年」に言及すると、公明党の山口那津男代表がすかさず「谷垣禎一前自民党前総裁はあなたが社会保障・税一体改革関連法を成就したことでここにいられなくなった。谷垣氏との約束があるのでしょう」と詰め寄った。
 不意を突かれた首相に、自民党の安倍晋三総裁がたたみかけた。
 「あなたは谷垣さんに『来年の予算編成をしない』と言った。私は引き継ぎを受けている」
 突然の指摘に、首相は「言った、言わないの話になるから、言わない」「そういう認識はない」と、しどろもどろで答えた。
 安倍、山口両氏は会談に先立ちこの「密約の暴露」作戦を周到に打ち合わせていた。「近いうち解散」をほごにしようという首相の思惑を打ち砕く狙いがあった。

 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121020/plc12102001060001-n1.htm

まさに谷垣前総裁の置き土産とも言える「あなたは谷垣さんに『来年の予算編成をしない』と言った」という部分を強調しているのは、ザッと見たところ、この産経の記事だけであった。産経曰く『密約の暴露』、これだけであった。

これが所謂「報道しない自由」である。今回行われた「党首会談」でもっとも重要なことは、この時限爆弾を、安倍総裁が前総裁許可の上で「白日の下に晒した」ことであろう。谷垣・野田会談の直後から、自民党支持者の間ですら谷垣批判が起こった。その中でもっとも強い根拠となったものは、「解散時期への明確な言質が取れなかったではないか」というものであった。

解散は総理の専権事項であり、誰がどのように工夫したところで、解散時期など明言するはずもないことは、我が国のシステム上、誰にも明らかなはずである。にも関わらず、これを明確に出来なかったという「無理筋の批判」が横行した。当ブログでは、会談直後の記者会見の内容から判断し、加えて前総裁は実に巧みであり、何があっても「手ぶらで帰る人物ではない」ことは理解していたので、「何かしらの言質」は取ったものと見ていた。その具体的内容が「予算編成はしない」というものであったわけである。確かに、時期に関してこれほど明確な言質はない。

谷垣批判をなお続けたい者は、「ならばその時に暴露すれば、解散を誘導できたはずだ」と、無い物ねだりを続けるのであろうが、ここまで来ると、相手側の信義の問題であり、今日の今日まで秘匿したことは、むしろ「自発的解散を促すと同時に、相手の無恥無能を国民に向けより明らかにする意味で適切であった」と考える。しかし、このもっとも重要な部分を、多くのマスコミは報じない。従って、大半の国民はこのことを知らない。

 首相が明言した「近いうち」の解散は「国民との約束」だとする安倍氏らの主張は理解できる。
 ただ、衆院解散の確約なしでは法案成立に協力しないとか、参院の首相問責決議を理由に国会審議を拒否する、といった姿勢では、国民の理解は得られまい。

 http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20121019-OYT1T01670.htm

これは、もう一つの典型パターンである「~から批判が出そうだ」「~から批判が出ると予想される」という文言と全く同じ、自分の妄想を他人の手を借りて実現させようとする手法である。これがもっとも悪質である。自分達で誘導するだけしておいて、その結果に対する責任を他者に、多くの場合、一般の国民全体に押し付けるやり方である。

実際、知らず識らずの中に、多くの国民がこの罠に掛かり、彼等の掌の上で踊らされている。こうした文章を読んで、なお「正気を保っておく」ための、もっとも簡単な方法は、読了直後に「そうはならないね!」と呟くことである。「国民の理解は得られまい」とくれば、「いやいや、よく理解出来る」と呟き、「批判が出そうだ」とくれば、「そんなものは出やしない」「それ何処から出るの、何処の新聞社の社屋から?」と言ってみるのである。

「ステルス反日」を見付け出し、最後に一言付け加える「印象操作」に屈せず、「報道しない自由」に対抗するためには、異なるチャンネルからの情報を精査すること。そして他人事のように白々しく「我が思いを伝える手法」に対しては、「独り言」で対抗すること。僅かにこれだけの工夫で、現状は打破出来る。その「独り言」は必ず他者に伝染する。「言霊は独り歩きする」のである。是非お試し頂きたい。