【皇室ウイークリー】(249) | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 









茶会でおそろいの靴を忘れた五輪選手は…。

雅子さま、愛子さま運動会ご欠席で観戦もお取りやめ。




天皇、皇后両陛下は13日、福島第1原発近くの福島県川内村を日帰りで訪問された。一時は全村避難した住民が戻ってきている同村で除染現場を視察し、優しく被災者らに声をおかけになった。何度となく被災地や避難先を訪問されてきた両陛下だが、今回は、復興のために歩み始めた村民たちを励ます“旅”。村民の気持ちと向き合おうとする、お二人のひたむきなお姿がうかがえた。

 同日午前に東北新幹線で東京駅を出発、福島県郡山市の郡山駅にお着きになった両陛下。駅前では、多くの人たちの出迎えを受けられた。休憩を挟み、約2時間かけて村立川内小学校に到着されると、佐藤雄平知事と遠藤雄幸村長から復興状況などを聞かれた。

 川内村は原発事故後に全村避難が行われたが、その後放射線量は下がり、今年1月末に「帰村宣言」が出た。しかし、就職や通勤に困る人も多く、村に戻っているのは村民約3000人のうち750~800人程度にとどまっている。遠藤村長によると、陛下は、村長から「戻れない人の方が多いのです」と説明を受けると、「一日も早く戻れるといいですね。子供たちが戻れる環境を作ってください」と励ましの声をかけられたという。

 両陛下はその後、上川内早渡(はやわた)地区で除染作業をご視察。放射性物質を除去するため、裏山の樹木の枝を切ったり、地表の土を削ったりする作業を間近でご覧になった。陛下は、除染作業の詳細な手順や効果についても、熱心に現場でご質問になった。遠藤村長は「除染について非常に興味を持っていらっしゃった。『枝はどう落とすのですか』『効果はどうでしょうか』などと質問されていた」と話す。

 陛下はジャンパー、皇后さまもズボンという動きやすい服装で作業現場に臨まれた。長時間作業を行う現場の作業員はマスクをしていたが、両陛下はマスクはせず、作業員や住民に励ましの声をおかけになった。

両陛下は村内の仮設住宅も訪問された。原発から20キロ圏内に自宅があるため、自宅に寝泊まりできない住民たち約100人が仮住まいする場所だ。両陛下は、そんな住民たち一人ひとりに、時間が許す限り声をかけてまわられた。

 震災後、各地の避難所など5カ所ほどを転々としたという家族にお会いになった皇后さまは「ずいぶんあちこちいらして大変でしたでしょう」と声をかけられた。家族の中には高齢の女性もいたが、皇后さまは「よくご無事でいらしてくださったわね」「お体、大事にね」と、声をかけられた。

 中には、埼玉県に避難していたときに、お見舞いと励ましに来られた両陛下を迎えたという家族もいた。それを知った陛下は「ああ、埼玉でお会いしたんですね」と再会を喜ぶような様子で、近くの皇后さまを「埼玉にいたそうですよ」と呼び止められた。

 皇后さまも喜んだ様子で、「懐かしかったでしょう。よい村が戻るように、みなさんお願いいたします」と話された。

 両陛下の姿に、涙ぐむ住民の姿もみられた。宮内庁によると、皇后さまは以前から、自分が被災者を励ますことができるのか、と自問自答を続けられてきたという。しかし、多くの住民は今回のご訪問を喜んだようだ。仮設住宅の西山利夫さん(70)と妻の真子さん(59)は「声をかけていただいて、本当にうれしかった。川内村がなくならないように、がんばりたい」と話していた。

 両陛下は15日、ロンドン五輪の入賞選手らを招き、皇居・宮殿の「春秋の間」で茶会を催された。皇太子さま、秋篠宮ご夫妻、常陸宮さまも出席された。茶会は着席のスタイルではなく、飲み物と軽食を取りながら自由に歩いて懇談する立食スタイルで行われた。

集まったのは188人で、内村航平(体操)、村田諒太(ボクシング)、吉田沙保里、伊調馨、小原日登美、米満達弘(レスリング)、松本薫(柔道)ら多数のメダリストのほか、入賞選手、指導者、日本オリンピック委員会の幹部らが集まった。茶会では、皇后さまが時折、メダリストのメダルを触られている場面がみられた。

 意外なところでは、全日本アーチェリー連盟会長を務める安倍晋三元首相、日本バドミントン協会会長を務める綿貫民輔氏ら、政治家の姿も目立った。こういった競技団体の役員は、緊張気味の選手らが両陛下や皇族方と話す機会を持てるよう選手を誘導する役割も果たしているようだった。

 内村選手は終了後、「(両陛下から)『オリンピックの活躍を見ていました』といわれ、詳しくご存じだったので、すごくうれしかったです」と話した。また、「北京のときも会うことができて、それで4年後、ロンドンで金メダルをとることができたので、(次の)リオディジャネイロ五輪につながるいい機会だったと思います」と決意を新たにしていた。

 卓球女子団体で銀メダルを獲得した石川佳純、福原愛、平野早矢香の3選手も終了後に取材に応じ、平野選手は「また頑張ってこうやっていい報告ができたらいいなと思いました」。石川選手は「これからもっと頑張ろうという気持ちになりました」、福原選手は「たくさん温かい声をかけていただいて、とても光栄ですし、すごく感動しました」とそれぞれ述べた。

 石川選手は、出席した選手たちが履いていたおそろいのベージュの靴ではなく、黒い靴で茶会に臨んだ。山口に帰省した際に忘れてきたとのことで「すいません」と恐縮していたが、競技ごとに行われた宮殿前の記念撮影では、ほかの競技の選手から靴を借りて事なきを得ていた。

茶会は予定時間をオーバーし、約1時間ほど続いたが、退出の途中で常陸宮さまが歩みを止められ、皇后さまが心配したように声をかけられる場面もあった。宮内庁関係者は「長時間立っていたため、お疲れになったようだ」と説明した。翌16日には、17日の神嘗祭(かんなめさい)賢所の儀、18日の皇太子さまのルクセンブルクお見送りの予定を、「大事を取って」常陸宮さまが取りやめられることが発表された。

 17日、皇居・賢所に新穀を供える神恩感謝の祭典「神嘗祭」が行われた。陛下は皇居・神嘉殿で伊勢神宮を遙拝した後、賢所でご拝礼。皇后さま、皇太子さま、秋篠宮妃紀子さま、高円宮妃久子さまと長女の典子さまも拝礼された。

 皇太子ご夫妻の長女で小学5年生の敬宮愛子さまは13日、風邪のため同日の学習院初等科(東京都新宿区)の運動会を欠席された。宮内庁によると、前日朝にのどの痛みを訴えられ、同夜に37度程度だった熱が、13日朝には37度台後半に上がった。愛子さまは欠席を非常に残念がられていたという。

 今年、愛子さまは、いずれもクラス全員が参加するむかで競走、短距離走、スウェーデンリレーの3競技に出場される予定だった。今年は紅白対抗リレーなどの選抜競技の選手ではなかったという。

 第12回全国障害者スポーツ大会開会式に出席するため、皇太子さまは岐阜市をご訪問中だった。このため、今年は雅子さまはお1人で愛子さまの運動会を観戦する予定だったが、訪問を取りやめられることとなった。

 両陛下や皇太子さまが地方で公的な活動をされる日に、運動会観戦という私的な活動を行うことについては、さまざまな週刊誌で話題となっていた。雅子さまが出席を決められた直後の12日に、定例会見でこの件に関する見解を聞かれた宮内庁の小町恭士東宮大夫は「宿泊を伴うご公務はちょっとご無理だと、まだ私どもは受け止めております。ご公務がおできにならない場合でも、可能な場合には学校行事に参加されるというのは当然ではないかと私は思っております」と答えた。



各宮家は今週もさまざまな公務を果たされた。

 秋篠宮さまは13日、兵庫県三田市の「兵庫県立人と自然の博物館」開館20周年記念式典とシンポジウムにご臨席。17~18日には宮崎県を訪問し、宮崎市で日本動物園水族館協会の「第60回動物園技術者研究会」に臨席された。

 常陸宮ご夫妻は13日、仙台市で、高齢者がスポーツや文化活動で交流する祭典「第25回全国健康福祉祭宮城・仙台大会」開会式にご臨席。14日に帰京された。

 常陸宮妃華子さまは15日、駐日米国大使公邸で「日米婦人クラブ2012年度定例茶会」に臨まれた。17、18日には山形県をご訪問。天童市で日本赤十字社山形県支部創設125周年を記念して行われた大会に臨席された。

 寛仁親王家の次女、瑶子さまは15、16日、富山県を訪れ、小矢部市で行われた「寛仁親王記念第14回北陸ウェルフェア・ゴルフトーナメント」で競技をご覧になった。

 高円宮妃久子さまは13日、西武池袋本店(東京都豊島区)で「第30回記念現代根付彫刻新作展」をご覧に。14、15日には岐阜県を訪問し、岐阜市などで行われた「第12回全国障害者スポーツ大会」の競技を観戦された。18日には千鳥ケ淵戦没者墓苑(東京都千代田区)の秋季慰霊祭に臨まれ、その後、高島屋東京店(東京都中央区)で「第35回日本の象牙彫刻展」の表彰式に臨席されるなどした。19日には皇居・楽部庁舎で行われた秋季雅楽演奏会にご臨席。その後、ホテルオークラ東京(東京都港区)で行われた「読売日本交響楽団創立50周年記念パーティー」に臨席された。