天皇を戴く意味考えよう。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 








【私と憲法】(2)憲法学者・竹田恒泰氏





9年前に戦争を回避させるべくイラクを訪問したことがある。イラクは米国に挑んだ日本の勇気をたたえる大変な親日国だ。特に若者の「天皇」への関心は高く、「いつから存在するのか」などと質問が相次いだのには驚いた。

 憲法で最も重要なのは第1章で、どこの国も憲法の冒頭部分に国家、民族、国民にとって一番大切な要素を簡潔に記している。しかし、中東の若者に比べて日本人の天皇に対する関心は高いだろうか。第1章に天皇が記載されている“重み”を伝えるべく、憲法学者の道を歩もうと考えた。

 日本の若者は「憲法を知らなくても生活はできる」と考えがちだが、私は「国の根幹について書かれた憲法を知ることは日本を知ることにつながる」と信じており、憲法を学ぶ大切さを学生に訴えている。

 とはいっても現行憲法には天皇に関して欠陥が少なからずある。何より宮中祭祀(さいし)が明記されていないことは問題だ。

 天皇は古(いにしえ)より国民を大御宝(おおみたから)と位置付け、その安寧を祈ってきた。宮中祭祀は天皇の「本質」だ。憲法にしっかり規定し、後世まで守るべきだ。

 天皇を国家元首と明記することも大切だ。憲法のどこにも規定がないために、「天皇は元首ではない」といった主張も生まれる。自民党が憲法改正草案で天皇を「国家元首」と明記したのは大賛成だ。

皇位継承の在り方も書くべきだ。時の首相の方針でルールが変わってはいけない。歴史的事実を踏まえ「男系」とすべきだろう。

 ただし、単純に「憲法を変えればいい」とは考えない。憲法改正を決める政治は「妥協の産物」と言われるが、絶対に譲ってはいけない一線もある。そこを誤ると、国体が失われる。正しく改正することが肝要だ。

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草莽崛起:皇国興廃此一戦在各員一層奮励努力。 

           「私と憲法」用インタビュー。 作家、憲法学者で慶應義塾大学講師の竹田恒泰氏。

                                     =26日午後、港区三田の慶應義塾大学


【プロフィル】竹田恒泰

 たけだ・つねやす 旧皇族・竹田家に生まれ、明治天皇の玄孫。慶応大卒。作家、慶応大講師(憲法学)。研究分野は「天皇と憲法」。著書に「語られなかった皇族たちの真実」「日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか」など。36歳。