東京都の調査団が尖閣諸島魚釣島をつぶさに確認
東京都の石原慎太郎知事が訪問中の米ワシントンで尖閣諸島の購入計画を表明してから4カ月半。都による尖閣諸島の購入計画が2日、現地調査という大きな節目を迎えた。ボートや小型船に乗り込んで濃紺の大海原をゆっくりと島に近づく調査員ら。「島の状態をしっかり見たい」。海上保安庁の巡視船が警戒に当たるなど緊迫感も漂うなか、調査員らは慎重に作業を続けた。
航洋丸は夜明け前の2日午前5時ごろ、尖閣諸島周辺海域にたどり着いた。魚釣島の近くで日の出を待ち、作業を開始。ところどころに雲はあるものの、太陽が照りつける天候で、魚釣島の全景が眼前に飛び込む。上空を報道機関のヘリが旋回、巡視船2~3隻が警戒に当たるなか、調査員らは航洋丸に搭載されていた小型船とラバーボートに乗り換え、緊張した表情で島に向かった。
「行きます」。ロープで航洋丸の外側につるされたラバーボートが着水すると、小刻みに揺れ、ボートに装着した縄を手でつかむ人も。続いて小型船に専門家や不動産鑑定士が乗り込んで、洋上で合流。計15人で魚釣島の西側にある旧船着き場を目指した。小型船に乗った都専門委員で海洋政策が専門の山田吉彦・東海大教授は「思ったより緑が多い。波も穏やかで条件が良いので、島の形状をしっかり調べたい」と力を込めた。
島から数百メートル離れた地点に待機する本船からは、作業の様子はよく見えず、残った調査員らは双眼鏡を使って確認。無線も駆使し「ラバーは現在、大気を採取中です」「了解しました」などと頻繁にやり取りした。本船側からは「もう少し島の近くに寄れたらなあ」という声も漏れた。
都によると、小型船とボートに乗った調査員らの体調に異常はなく、順調に作業は進んだ。本船で指揮を執る都の尖閣諸島調整担当部長で調査団の坂巻政一郎団長は「わくわく感と緊張感が混ざった感じだ。初めてのことなので、とにかく安全第一で調査したい」と話した。
沖縄県・尖閣諸島周辺の地形や水質などを調べる東京都の調査団。奥に見える魚釣島には灯台が設置されている=2日午前7時21分(代表撮影)