【甘口辛口】
醜聞にうまく対応した橋下市長、
無言貫き憶測呼んだ小沢氏
ピンチに立ったときの身のかわし方は、なかなかのものだった。発売中の「週刊文春」に載った大阪府知事就任前のクラブホステスとの不倫について、橋下徹大阪市長は、あっさりと大筋で認めた。批判的な報道を繰り返す「週刊文春」に対し「バカ文春」とこきおろしていたが、今回は「バカはつけられない」と白旗を上げた。
(サンケイスポーツ)
見出しだけ見て「とんでもない男だ」と思った人も多いだろう。しかし、「知事になる前の茶髪のときの姿と重ね合わせて判断していただきたい」とか、「すごいペナルティーが家で待っている」「妻の実家にも迷惑をかけた」などとあっけらかんと話されると、それ以上は責められない。
橋下市長は、その政治的手法や過激な発言で好き嫌いがはっきり分かれる人である。この時期にこんな記事が出るのも何やら謎めくが、それは別にしてすぐに非を認め傷口を最小にとどめたことには「うまい」と感じた人は多かったろう。女性が嫌う問題だが、あるテレビ番組では「口外した女性はプロとして失格」と指摘する女性コメンテーターもいた。
対照的なのが同じ「週刊文春」に妻からの三行半が報じられた小沢一郎氏だ。一切何も話さないから憶測が憶測を呼び、いつまでも周辺は深い霧に包まれたままだ。そうこうするうちに、後援者に送られた「夫は放射能が怖くて逃げだそうとした」という手紙の内容も、たとえ真実でなくても否定できなくなる。
今回、市長は無視しないことで一過性で終わらせた。攻撃一辺倒と思いきや、人間らしい脇の甘さをさらし、思わぬところで危機管理能力も見せた。“橋下嫌い”にも逆にいいアピールになったのではないか。
(今村忠)