夕刻の備忘録 様のブログより。
ここで採り上げるのは、正式名称「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案」と呼ばれているものです。この長い名称の前半部分は、その提案理由である「税制の改革を行う」ことを主張し、後半部分では、それを「消費税法の一部を変えることで達成する」という手段について説明しています。つまり、今後の社会保障のために、必要な税金を消費税の税率アップにより賄おうとするもので、もっと簡単に言えば、「消費税を上げるための法案」です。
しかし今回、自民党が提案して、公明・民主の「三党で合意」の上、衆議院で可決されたこの法案には、消費税の税率を「実際に上げる」には、ある一定の条件が必要だと明記されています。要するに、確かにこれは「税率を上げるための法案」ですが、たとえこの法案が参議院でも可決され、実際に「法案から法律」になった場合でも、ただそれだけでは「消費税率は上がらない」という仕掛けが組み込まれているのです。より正確に書けば、これは「消費税を上げるための条件を明記した法案」であり、場合にはよっては「消費税を上げないことも可能性として含む法案」だということになります。
★ ★ ★ ★ ★
それを端的に書いた部分が、次に紹介します「消費税率の引上げに当たっての措置(附則第18条)」です。そこには、税率の引き上げに当たっては、それ以前に「経済状況をよくしておく」ことが大前提として掲げられています。すなわち、今のデフレ不況のままでは、「税率は上がりません」。より積極的に解釈すれば、「上げてはならない」と法律に書いてあることになります。
デフレ不況とは、物価が下がり続けて、それが止まらなくなることから生じる不景気です。物が安くなれば、よほど大量に売れない限り、それを作っている人達の賃金も安くなります。そして、「賃金が安くても物が安いから、大して普段の生活は変わらないな」と感じていた時期が過ぎていきます。その間、企業はより安い商品を提供するために、雇用を抑えたり、労働時間の短縮により、半ば強制的に給料を下げたりします。また、働く側から見れば、外国人労働者に職を奪われたり、企業そのものが、外国へ工場を移したりすることによって、一気に社会全体の活気が失われていく状況になります。
こうした悪循環を乗り切れるのは、大量生産により生産コストを下げたり、工場の海外移転により経営環境を変えたりすることが、比較的容易な大企業だけになります。物価が下がり続けると、手元の貯金が増額したのと同じ効果がありますから、デフレに耐えられるのは企業なら最大手、個人なら預貯金を多く持った人達だけであり、中小企業や、これから貯金をして、将来の生活設計をしていこうとする人達にとっては、最も過酷な状況になります。しかし、実際にはそうした人達が社会の多数派であるわけですから、景気が落ち込んで、物が売れなくなり、結局、大企業にも金が回らなくなるのです。
それを回避するために、「先ずは景気を回復させろ!」とこの法案は主張しているのです。「社会保障の安定のためには税収アップが必要である」、このことに関しては、三党間で大きな認識の相違はありません。しかし、民主党と自民党の間では、このデフレ不況に対する認識に大きな隔たりがあり、麻生内閣の時から一貫して「何よりも先ず景気回復をさせよ」と主張してきた自民党が、この附則を認めさせることを条件に、本来の目的である「社会保障のために使う安定財源」としての税率アップ法案に賛成したわけです。
では、如何なる状況になれば、「デフレ不況を脱した」として、「消費税率を上げることが出来るのか」、その条件も数値を挙げて書かれています。それは昨年度から始めて、十年間の平均を取って経済の成長率を計算して、景気が上昇方向に転じた場合と明記されています。国民総生産、いわゆるGDPを一つの指標として、数値的な判断基準を設けてこれを調査していくことが、一つの具体例として書かれています。
こうした主旨を徹底させ、ありとあらゆる経済対策を行って、様々な指標を総合的に調べながら、「景気が再度悪化することは無い」と判断されるまでは、「消費税率を上げることは出来ません」。この附則の最後には、現状で期待している水準の景気回復がどうしても為し得なかった場合には、「この法律を停止することもある」と書かれています。
さて、問題を簡単に整理すれば、次のようになります。
●社会保障のためには税収のアップが必要である。
●そのためには、消費税率を上げることが適当である。
●しかし、今はデフレ不況下であり増税は出来ない。
●よって、先ずは増税出来る環境を作ることが必須である。
●そのために公共投資枠の拡大を含め、様々な景気対策を行う。
●それでもダメな場合は、消費税率は上げない。
●税率を上げる場合も、上げない場合も含めて法律が必要だ。
以上が、自民党が主導した今回の法案の主旨です。民主党のデフレ不況に対する認識が余りにも甘いことから、自民党が税率を上げる条件を法律に盛り込む必要を痛感し、様々な手段をこうじて通したものが、「三党合意」に基づくこの法案なのです。
しかし「予算執行権」は、時の政府が持っています。したがいまして、来たる選挙で民主党が再び政権を担うようなことになれば、またしても逆戻りする可能性もあります。そこで、この法律を通した後は、自民党は現在の政府を倒して、予算執行権を取り戻そうと画策しているわけです。参議院での審議拒否戦術を匂わせているのも、こうした一連の考え方に沿ったものであり、決して法案提出の主旨と矛盾するものではありません。
政府が最重要法案と位置付け、ホームページ上にも記載しているこの法案に関して、またその中でも「とりわけ重要なこの附則」に関して、マスコミは報道をしません。そのことの意味を考える時、あなたは「ある呪縛から解き放たれる」でしょう。意図のある報道からは、その意図に沿った結論しか出て来ません。
以下に、この附則の概要をそのまま記載しておきます。
http://www.mof.go.jp/about_mof/bills/180diet/tk20120330g.pdf
これもまた、何度も繰り返し書いてきたことではありますが、「ならねばならぬ者が逝ってしまい、なってはならぬ物がその地位を占めた」ことは、我が国にとってまさに痛恨の極みでありました。
「消費税を上げられるくらい、景気を良くするぞ」というのが麻生太郎の主張でした。「何が何でも日本の景気を良くして、人々の暮らしを再び活気あるものにするのだ」というのが、中川昭一の最期の叫びでした。麻生内閣の「景気回復まで全治三年」は、民主党になって「日本崩壊まで余命三年」に変じました。
【菅くん劇場】解説お願いします:
http://www.nicovideo.jp/watch/sm6076328
持病に耐えに耐えて奮闘する中川昭一を殺したのは民主党でした。その民主党を政権の座につけたのは、我々日本国民でした。命に代えて国民を護ろうとした人を、後ろから刺したのは我々です。我々は今その罰を受けているのです。
谷垣総裁は奥様を亡くされた哀しみすら、僅か一日で腹の底に抑え込み、懸命に被災地を回り続けられました。日本国民は、同じ轍を踏む気でしょうか。またしても同じ過ちを犯せば、もはや猶予は無いでしょう。余命三年が「即死」になります。未だに「政治なんて誰がやっても同じだという人」が近くに居たら、上の動画を見せて下さい。教養は言葉に表れ、人格は顔に表れるのだ、ということを知るべきです。
しかし今回、自民党が提案して、公明・民主の「三党で合意」の上、衆議院で可決されたこの法案には、消費税の税率を「実際に上げる」には、ある一定の条件が必要だと明記されています。要するに、確かにこれは「税率を上げるための法案」ですが、たとえこの法案が参議院でも可決され、実際に「法案から法律」になった場合でも、ただそれだけでは「消費税率は上がらない」という仕掛けが組み込まれているのです。より正確に書けば、これは「消費税を上げるための条件を明記した法案」であり、場合にはよっては「消費税を上げないことも可能性として含む法案」だということになります。
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それを端的に書いた部分が、次に紹介します「消費税率の引上げに当たっての措置(附則第18条)」です。そこには、税率の引き上げに当たっては、それ以前に「経済状況をよくしておく」ことが大前提として掲げられています。すなわち、今のデフレ不況のままでは、「税率は上がりません」。より積極的に解釈すれば、「上げてはならない」と法律に書いてあることになります。
デフレ不況とは、物価が下がり続けて、それが止まらなくなることから生じる不景気です。物が安くなれば、よほど大量に売れない限り、それを作っている人達の賃金も安くなります。そして、「賃金が安くても物が安いから、大して普段の生活は変わらないな」と感じていた時期が過ぎていきます。その間、企業はより安い商品を提供するために、雇用を抑えたり、労働時間の短縮により、半ば強制的に給料を下げたりします。また、働く側から見れば、外国人労働者に職を奪われたり、企業そのものが、外国へ工場を移したりすることによって、一気に社会全体の活気が失われていく状況になります。
こうした悪循環を乗り切れるのは、大量生産により生産コストを下げたり、工場の海外移転により経営環境を変えたりすることが、比較的容易な大企業だけになります。物価が下がり続けると、手元の貯金が増額したのと同じ効果がありますから、デフレに耐えられるのは企業なら最大手、個人なら預貯金を多く持った人達だけであり、中小企業や、これから貯金をして、将来の生活設計をしていこうとする人達にとっては、最も過酷な状況になります。しかし、実際にはそうした人達が社会の多数派であるわけですから、景気が落ち込んで、物が売れなくなり、結局、大企業にも金が回らなくなるのです。
それを回避するために、「先ずは景気を回復させろ!」とこの法案は主張しているのです。「社会保障の安定のためには税収アップが必要である」、このことに関しては、三党間で大きな認識の相違はありません。しかし、民主党と自民党の間では、このデフレ不況に対する認識に大きな隔たりがあり、麻生内閣の時から一貫して「何よりも先ず景気回復をさせよ」と主張してきた自民党が、この附則を認めさせることを条件に、本来の目的である「社会保障のために使う安定財源」としての税率アップ法案に賛成したわけです。
では、如何なる状況になれば、「デフレ不況を脱した」として、「消費税率を上げることが出来るのか」、その条件も数値を挙げて書かれています。それは昨年度から始めて、十年間の平均を取って経済の成長率を計算して、景気が上昇方向に転じた場合と明記されています。国民総生産、いわゆるGDPを一つの指標として、数値的な判断基準を設けてこれを調査していくことが、一つの具体例として書かれています。
こうした主旨を徹底させ、ありとあらゆる経済対策を行って、様々な指標を総合的に調べながら、「景気が再度悪化することは無い」と判断されるまでは、「消費税率を上げることは出来ません」。この附則の最後には、現状で期待している水準の景気回復がどうしても為し得なかった場合には、「この法律を停止することもある」と書かれています。
さて、問題を簡単に整理すれば、次のようになります。
●社会保障のためには税収のアップが必要である。
●そのためには、消費税率を上げることが適当である。
●しかし、今はデフレ不況下であり増税は出来ない。
●よって、先ずは増税出来る環境を作ることが必須である。
●そのために公共投資枠の拡大を含め、様々な景気対策を行う。
●それでもダメな場合は、消費税率は上げない。
●税率を上げる場合も、上げない場合も含めて法律が必要だ。
以上が、自民党が主導した今回の法案の主旨です。民主党のデフレ不況に対する認識が余りにも甘いことから、自民党が税率を上げる条件を法律に盛り込む必要を痛感し、様々な手段をこうじて通したものが、「三党合意」に基づくこの法案なのです。
しかし「予算執行権」は、時の政府が持っています。したがいまして、来たる選挙で民主党が再び政権を担うようなことになれば、またしても逆戻りする可能性もあります。そこで、この法律を通した後は、自民党は現在の政府を倒して、予算執行権を取り戻そうと画策しているわけです。参議院での審議拒否戦術を匂わせているのも、こうした一連の考え方に沿ったものであり、決して法案提出の主旨と矛盾するものではありません。
政府が最重要法案と位置付け、ホームページ上にも記載しているこの法案に関して、またその中でも「とりわけ重要なこの附則」に関して、マスコミは報道をしません。そのことの意味を考える時、あなたは「ある呪縛から解き放たれる」でしょう。意図のある報道からは、その意図に沿った結論しか出て来ません。
以下に、この附則の概要をそのまま記載しておきます。
概要より抜粋
7.附則
○消費税率の引上げに当たっての措置(附則第18条)
・消費税率の引上げに当たっては、経済状況を好転させることを条件として実施するため、物価が持続的に下落する状況からの脱却及び経済の活性化に向けて、平成23年度から平成32年度までの平均において名目の経済成長率で3%程度かつ実質の経済成長率で2%程度を目指した望ましい経済成長の在り方に早期に近づけるための総合的な施策の実施その他の必要な措置を講ずる。
・この法律の公布後、消費税率の引上げに当たっての経済状況の判断を行うとともに、経済財政状況の激変にも柔軟に対応する観点から、第2条及び第3条に規定する消費税率の引上げに係る改正規定のそれぞれの施行前に、経済状況の好転について、名目及び実質の経済成長率、物価動向等、種々の経済指標を確認し、前項の措置を踏まえつつ、経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる。
http://www.mof.go.jp/about_mof/bills/180diet/tk20120330g.pdf
これもまた、何度も繰り返し書いてきたことではありますが、「ならねばならぬ者が逝ってしまい、なってはならぬ物がその地位を占めた」ことは、我が国にとってまさに痛恨の極みでありました。
「消費税を上げられるくらい、景気を良くするぞ」というのが麻生太郎の主張でした。「何が何でも日本の景気を良くして、人々の暮らしを再び活気あるものにするのだ」というのが、中川昭一の最期の叫びでした。麻生内閣の「景気回復まで全治三年」は、民主党になって「日本崩壊まで余命三年」に変じました。
【菅くん劇場】解説お願いします:
http://www.nicovideo.jp/watch/sm6076328
持病に耐えに耐えて奮闘する中川昭一を殺したのは民主党でした。その民主党を政権の座につけたのは、我々日本国民でした。命に代えて国民を護ろうとした人を、後ろから刺したのは我々です。我々は今その罰を受けているのです。
谷垣総裁は奥様を亡くされた哀しみすら、僅か一日で腹の底に抑え込み、懸命に被災地を回り続けられました。日本国民は、同じ轍を踏む気でしょうか。またしても同じ過ちを犯せば、もはや猶予は無いでしょう。余命三年が「即死」になります。未だに「政治なんて誰がやっても同じだという人」が近くに居たら、上の動画を見せて下さい。教養は言葉に表れ、人格は顔に表れるのだ、ということを知るべきです。