スパイ防止の法整備急げ。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 










【主張】北の対日工作





兵庫県の中小企業支援制度を悪用し、融資金をだまし取った容疑で、運送会社社長らが大阪府警に逮捕された。

 単なる詐欺事件ではない。容疑者の社長は元在日朝鮮人で、北朝鮮の工作機関からの指示で、さまざまな工作活動を行った疑いが持たれている。脱北者の情報を得るために潜入した民間団体の責任者を中国で拉致しようと企てた疑惑も浮上している。

 府警には、工作機関からの指示の中身や在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)との関係などについても、徹底解明を求めたい。

 日本での北朝鮮工作員によるとみられる事件は後を絶たない。工作船を使って海岸から密入国を企てたケースが多い。横田めぐみさんらの拉致も、これら工作員の犯行である。

 時々、工作員が外国人登録法違反などの容疑で逮捕されることがあるが、多くは微罪のため、短期間で北に帰っている。

 朝鮮総連も北の統一戦線部に直結する組織として、工作活動に関与してきた。関連組織の幹部や朝鮮学校の元校長が直接、日本人拉致にかかわったこともある。

 北朝鮮工作員に限らない。先月末には、在日中国大使館の1等書記官が外国人登録証明書を不正に使って銀行口座を開設した容疑で警視庁に出頭を求められたが、大使館が拒否し、書記官は帰国した。書記官は日本でスパイ活動を行った疑惑が否定できない。
20日には、プレス機械の図面データを中国企業に流出させたとする不正競争防止法違反容疑で、川崎市の機械メーカー元課長らが神奈川県警に逮捕された。別の容疑者の銀行口座に中国企業から金が振り込まれており、産業スパイの可能性が濃厚である。

 さらに深刻な問題は、防衛、外交機密など日本の国益や安全保障にかかわる重大な情報漏洩(ろうえい)を取り締まる法律が不備なことだ。

 自衛隊法や国家公務員法など個別の法律でそれぞれ守秘義務を求めているが、日米相互防衛援助協定(MDA)に伴う秘密保護法に比べ、罰則が極めて甘い。

 米国では戦時の国防情報を漏らした場合、最高刑は死刑だ。英国やフランス、ドイツでも、国家機密漏洩への罰則は総じて重い。

 日本も、北や中国の工作活動を取り締まり、機密漏洩を防ぐ抜本的な法整備が急務である。