両陛下、4回のご弔問。
愛子さま、今年の「校外学習」は…。
6日に66歳で逝去された寛仁(ともひと)親王殿下の本葬に当たる「斂葬(れんそう)の儀」が14日、東京都文京区の豊島岡(としまがおか)墓地でしめやかに営まれた。斂葬の儀は「葬場の儀」と、火葬後のご遺骨を埋葬する「墓所の儀」で構成される。
しきたりに従い、一連の儀式に参列していなかった天皇、皇后両陛下はこの日も参列されず、陛下の勅使を務める宮内庁の川島裕侍従長と、皇后宮使の高橋美佐男侍従次長が玉ぐしをささげた。
両陛下は儀式自体には出ないものの、儀式の前や後などに弔問を繰り返し、寛仁さまが亡くなられた6日以降、計4回親王邸を訪問された。13日には、火葬を前にした「最後のお別れ」をされた。
側近などによると、14日の葬儀中、両陛下は活動を慎み、静かに過ごされた。ご遺体を乗せた霊車が何時に皇居前を通るかを確認し、その時間にはとりわけ気持ちを寄せられていたという。勅使などを務めた侍従長らが戻ると、両陛下は待っていた様子で、すぐに葬儀の様子を尋ねられたという。
また、宮内庁職員に対しても、都合がつく職員は霊車を見送るよう意向を示された。皇居・大手門付近では、職員やOBら500人以上が集まった。
約660人が集まった葬場の儀では、療養中の皇太子妃雅子さまも、皇太子さまと参列し、拝礼された。その後、寛仁さまのご遺体が落合火葬場(東京都新宿区)に向けて出発する場にも急きょ出席を決め、ほかの皇族方や宮内庁職員らとともに車列を見送られた。
火葬を終え、同行した彬子さまをはじめとする方々は午後4時前に豊島岡墓地に戻られた。うつむき加減にゆっくりと歩かれる彬子さまに、お骨を納めた「霊櫃(れいひつ)」を大事そうに抱えた瑶子さまが続かれた。
寛仁さまの墓所は、弟の故高円宮の斜め前の敷地に設けられた。午後4時過ぎには、黒白の幕で囲われた寛仁さまの墓所で、「墓所の儀」が執り行われた。盛り土と「大勲位寛仁親王墓」と記された墓標の前に立った彬子さまが玉ぐしをささげた後、葬送の言葉を述べられた。三笠宮ご夫妻をはじめとする皇族方が拝礼され、宮内庁幹部らも順次、拝礼した。墓所の儀は午後5時半ごろに終了した。
宮内庁によると、寛仁さまの墓所には生前に愛用したゴルフクラブやスキーセット、メガネのほか、平成20年以降、寛仁さまが声を出すために使われていた人工喉頭(バイブレーター)も一緒に納められたという。
今週は斂葬の儀以外にも、12日の「正寝移柩の儀」、13日の「墓所祓所の儀」などが行われた。斂葬の儀翌日の15日にも「斂葬後一日墓所祭・墓所十日祭の儀」が豊島岡墓地で営まれ、皇族方が参列された。これらの儀式は、皇室の長い伝統を踏まえて行われているものだ。
12日と13日の夜には生前にゆかりがあった参列者たちが参列する「お通夜」もあった。ひつぎが安置されている部屋に数十人単位で入り、座るとまもなく照明が落ち、参列者は数十分にわたってそのまま黙祷。終わると祭壇に一礼し、次の参列者たちと交代するという方式だった。皇族方も一般参列者とともに通夜に出られた。
宮内庁の小町恭士東宮大夫は15日の定例会見で、皇太子ご夫妻の長女、敬宮愛子さまが、12日から3泊の日程で行われた、農村体験や登山をする長野・白樺湖での校外学習に参加されたことを明らかにした。
小学4年生だった昨年9月の校外学習では、愛子さまとの接触は避けたものの、雅子さまが「同行」されたことが大きな話題となった。今年は「最初からお一人で参加するご予定だった」(小町氏)という。
各宮家は寛仁さまのご逝去にともなう各儀式に出席するため、寛仁親王邸や豊島岡墓地に赴いたほか、さまざまな活動をされた。
寛仁さまが亡くなられた6日から5日間、服喪期間となっていた秋篠宮ご夫妻は、9、10日に予定していた京都府での「第60回全国ろうあ者大会」への出席を取りやめられた。
秋篠宮ご夫妻は11日、日本と外交関係を樹立して50周年となるアフリカ東部ウガンダを訪問するため、成田空港から出発された。皇族のウガンダ訪問は初めて。
共同通信によると、秋篠宮ご夫妻は13日、エイズで親を亡くした遺児たちを支援する日本の非政府組織(NGO)「あしながウガンダ」の首都カンパラの施設をご視察。同日夜には大統領官邸でムセベニ大統領を表敬し、晩さん会で秋篠宮さまは「50周年を機に、両国の相互理解と友好関係がいっそう深まることを希望します」と英語でスピーチされた。ご夫妻は晩餐会に先立ち、大統領夫妻と会談し、プレゼントを交換された。
常陸宮ご夫妻と高円宮妃久子さまは11日、秋篠宮邸で、ウガンダに出発される秋篠宮ご夫妻の見送りをされた。
常陸宮ご夫妻は12日、ベルギー大使館の大使夫妻が主催するレセプションに出席された。
常陸宮さまは13日、両陛下と最高裁判所長官、最高裁判所判事、高等裁判所長官らとの午餐に陪席された。
ベルギーのフィリップ皇太子夫妻を出迎えられる天皇、皇后両陛下
=12日午後6時30分、皇居・御所で(代表撮影)