国会は農水相ら追及せよ。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 









【主張】中国スパイ疑惑 





日本でスパイ活動を行った疑惑が持たれている在日中国大使館の李春光・元1等書記官が、外国人登録法違反(虚偽申請)などの容疑で警視庁から書類送検された。

 一時帰国した元書記官は再三の出頭要請にも応じず、不起訴になる公算が大きい。玄葉光一郎外相は中国に抗議したことを明らかにした。当然である。

 今回の事件で、鹿野道彦農林水産相や筒井信隆農水副大臣らが進めていた日本の農産物の対中輸出事業に、元書記官が深く関与していた疑惑も浮上した。元書記官は鹿野氏らとしばしば接触し、副大臣室にも出入りしていた。

 事業が起こされる過程での不可解な人事も問題になっている。鹿野グループに所属する衆院議員の公設秘書が、いきなり農水省顧問に任命され、8カ月後の23年7月に設立された社団法人「農林水産物等中国輸出促進協議会」の代表理事に就いている。

 焦点の一つは、元書記官が鹿野氏らと接触しながら機密を入手したかどうか、その場合、それは何かである。筒井氏は元書記官に文書を渡したことは認めている。

 衆参両院の予算委員会や農水委員会で、元書記官がどう近づいてきて事業にどう関与したかを、鹿野、筒井両氏は詳しく説明すべきだ。鹿野氏は、国会議員の公設秘書を農水省顧問に任命した経緯も改めて説明する必要がある。

 農水省では、岩本司副大臣を中心とする調査チームが週明けにも中間報告を発表する。身内による調査は否めないだけに、第三者による調査がさらに必要だ。

 元書記官が防衛機密や外交機密の入手を図っていたとしたら、問題はより深刻だ。防衛、外務両省などは、元書記官の接触の有無などを改めて点検すべきである。

 今回の事件を元書記官の「個人的な利得活動」「蓄財」などとする見方もあるが、それは楽観的に過ぎると言わざるを得ない。

 元書記官が関与していた中国への投資話に日本企業約10社から約2千万円が集まり、その使途が不明である。元書記官が中国人民解放軍の情報部門出身とみられることから、軍の諜報活動のための資金に充てられた疑いがある。

 中国情報機関による組織的なスパイ活動の一端だったとの懸念もある。そうした動きを厳しく取り締まるスパイ防止法の導入に向けた議論も、国会に求めたい。