“現代版ホロコースト”進行形。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 








【40×40】河添恵子





ポーランド南部にあるナチス・ドイツ最大の負の遺産、アウシュビッツ強制収容所へ行った。延々と広がる湿地帯には70年ほど前、数百万ともいわれる主にユダヤ人が過酷な環境下で懸命に働き、飢餓や疫病で亡くなり、無残な方法で殺戮(さつりく)が繰り返された「確か」な痕跡があった。ガス室、そして蓋が開いて山積された大量のガス缶まで…。

 アウシュビッツに送られた罪なき人々は、太い縦じまの服を着せられ、腕に入れ墨したナンバーで呼ばれ、食事どころか水すらろくに与えられず、尊厳なき最期の時を過ごした。晴天が似合わないこの暗黒の地に、当時も現在も未来も存在しないもの、それは「笑顔」だ。

 人間は一体、どこまで残酷になれるのだろう? また、それは時代のせいなのか、政治体制のせいなのか、民族のせいなのか? 何より、もう二度と絶対にあってはならない狂気の沙汰を誰がどうストップさせられるのか…。

 “現代版ホロコースト”は中国共産党によって、チベットや内モンゴル、ウイグル自治区を主舞台に現在進行形なのだ。民主活動家や宗教関連への拷問・虐待もやまない。だが、こういった真実を訴える人々の叫びに耳を傾けないどころか、両目をふさぎ、中国という“虚像”にこびる&あがめる政治家、官僚、経済人、学者、メディアが日本にはいかに多いことか。さらに不都合な真実は闇に葬り、捏造(ねつぞう)が十八番の中国が主張する「南京大虐殺30万人」。私は1980年代より何度か訪れているが、南京にはアウシュビッツのような「確か」な痕跡など何もない。

 1920~22年、ロシア革命直後の混乱で親を失ったシベリアのポーランド人孤児(政治犯など流刑者の子女)を救うべく、受け入れたのは日本政府と日本赤十字社だった。この史実からも「ポーランド人の多くが、日本人に謝意や好意を抱いている」と聞いてはいたが、今回、ワルシャワなどでそれも強く実感する旅となった。


(ノンフィクション作家)