時代の宿題に向き合おう。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 









【主張】昭和の日




今日は6回目の「昭和の日」である。昭和時代の天皇誕生日だった。平成になり、いったん「みどりの日」とされたが、「昭和天皇のご遺徳やあの時代をしのぶ日がほしい」という国民の声を受け、平成19年から「昭和の日」となった。

 祝日法によれば「昭和の日」は「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす」日とされている。

 確かに昭和という時代は、あの大戦により多くの国民の命と財産をなくしたばかりでなく、たびたび大震災や風水害などに見舞われ国土の荒廃を招いた。しかしその都度、日本人はそうした危機を乗り越え、復興を果たし、新たな発展へつなげてきた。

 今の日本も、昨年の東日本大震災から復興の緒についたばかりである。ガレキの広域処理や原発再稼働などをめぐり、国民の間の「絆」も弱まっているようにも見える。その意味で、あの時代の苦難と復興とを振り返ることは国民に大きな勇気を与え、団結心を強めることは間違いない。

 だがその一方で、昭和という時代が、復興や経済成長の陰にかくれ、果たすべき多くの課題を後の時代に先送りしてきたことも事実である。

 自らの国を自ら守るための憲法改正や、失った領土の回復、主権意識の涵養(かんよう)、危機管理能力の向上などがそうである。さらに国民の「道徳心」を育てる教育もその一つだと言わざるをえない。

 戦前は学校に「修身科」があり道徳を教えてきた。戦後は昭和33年に「道徳の時間」が復活したものの、日教組などの反対で正式の教科とはならず、現在に至っている。教材や教え方も学校任せで、実際にはかなりおざなりになっているケースも多いという。

 悪質な振り込め詐欺は言うに及ばず、子供への虐待、無免許少年たちによる暴走事故が相次いでいる。どれをとってもこの社会をゆがめているのは、道徳心の欠如だと言ってもいい。

 4年前、渡部昇一・上智大名誉教授を代表世話人とする「道徳教育をすすめる有識者の会」が結成されたのも、そうした社会への危機感からにほかならない。

 「昭和の日」にあたり、あの時代に思いをいたすとともに、時代が残した「宿題」に取り組む覚悟も固めたい。