西村眞悟の時事通信 より。
昨日二十五日、野田総理が、「消費税増税に命をかける」と言ったことを、主に経済面から増税は間違いであるから、その間違いに命をかけるという男はアホだと書いた。
しかし、経済面だけの理由付けでははなはだ不十分である。
従って、他にあるアホの重大で深刻な理由を書いておく。
これは、アホを通り越して、利敵行為者、もしくは売国者と言ってもよいほどである。
そもそも、現下の状況下で、我が国の総理大臣たる者、いやしくも、「命をかける」と言うのならば、何に関して言うべきか。 命は一つしかないのだから、何に関してその命をかけるか、ここに総理大臣として適格であるか無能であるかを明確に識別できるポイントがある。
結論!
現下の状況で、総理大臣が命をかける課題は、
「尖閣防衛」である。
つまり、野田君は、
「私は、尖閣を護ることに命をかけます。
尖閣を護れなければ、
沖縄本島はおろか日本が護れないからです。」
と、言うべきであった。
しかし、言わなかった。
それを見て、中国共産党の幹部たちは安堵し、笑っている。
○尖閣・沖縄状況
二月以降、中国の「公船」(漁業監視船もしくは資源調査船と称する武装船)の「尖閣巡視」が露骨になってきた。
これは、一昨年の九月、尖閣領海に「漁船」が入ったと言うレベルを超えて中国の「公船」が領海に入るのであるから、まことに重大事なのだ。つまり、中共という国家による我が国の「主権の侵犯」であり「主権の無視」である。
この「主権侵犯」を中共は昨年、我が国の巡視船が見守り警告するなかで、二度、公然と実行した。
そして、本年に入り、中共はますます露骨に「公船」を繰り出し、ついに中共当局は、次のように言明した。
沖縄県・尖閣諸島海域で十六日に開始した海洋調査船の巡視活動は、「日本の実効支配の打破を目的とした定期巡視である」と。
つまり、中共は、南シナ海のフィリピンやベトナムの領有する島々・島嶼を奪った同じ手口を東シナ海の我が領土に仕掛けてきているのである。
今述べたのは、漁業監視船や資源調査船といういわば「海の便衣兵」(軍艦ではない外面をもった軍艦)の行動であるが、正真正銘の中共の海空軍は、露骨に東シナ海を遊弋して沖ノ鳥島周辺に抜けて西太平洋を我がものとしつつあり、軍用機も領空侵犯すれすれに飛行している。また我が国の哨戒機を中国軍戦闘機が追尾して威嚇するようになっている。
特に東日本大震災以降、航空自衛隊のスクランブル発進の密度は三倍に激増し、空軍機は我が巡視船にミサイルの照準をあてている。
しかも、中共は、単に尖閣だけを狙っているのではない。
昨年九月香港において、沖縄本島を含む東シナ海の我が島々を「中華民族琉球特別自治区」と規定して鹿児島県の一部と沖縄県を「中共のもの」とする姿勢を明確にした。
その「琉球自治区」とは、北から、奄美、沖縄本島そして八重山である。
以上の通り、中共は南シナ海に続いて、いよいよ、北の東シナ海への侵略を開始している!
○我が内政の状況
「増税に命をかける」と総理大臣がほざいている。
ドジョウの目は、完全に内側だけを向いており、昨年来の尖閣への主権侵犯に一切反応せず抗議もしていない。
そして、この男、どういうわけか、一番肝心な時に、一番アホな輩を、防衛大臣に任命し続けている。ひょっとして、中共の習近平に相談して防衛相を決めているのではないか。
その間、世界からアホ(ルーピー)と笑われた鳩山と日教組の与党幹事長と官房長官のときに中国人船長を釈放して北京に誉められた男が別々に中共の習近平と握手しに北京に行っている。
鳩山は、例の「東シナ海を友愛の海にする」論者で「東アジア共同体」の主唱者。つまり、世界がいうとおりルーピー。これが与党の最高顧問だ。
そして、中国人船長を釈放したもう一人の功労者である前総理の菅は、歳費を受け取りながら、四国にいるのか何処にいるのか生きているのかもわからん。
そして、中国人民解放軍野戦軍司令官を名乗る与党の元党首の刑事裁判が、馬鹿らしくも一面トップで報道されている。
以上、要するに、完全に内向き。外から見れば、来てくれと言わんばかりの隙だらけの日本侵略の機運、熟れた実が落ちるように高まりつつある。
○中共の状況
激烈な権力闘争が水面下で始まっている。
次期主席に内定している習近平のライバルであった重慶の薄熙来共産党委員会書記が突然失脚した。また、二月、薄の子分の一人の王立軍という人物が機密書類を抱えて成都のアメリカ領事館に駆け込み亡命を求めている。まるで、林彪事件前夜のようだ。
これらの動き、中共政権の屋台骨を動かしかねない。
そこで、軍の状況であるが、このようなとき、中国共産党が用いてきた手法は、「対外軍事攻勢」である。つまり、支那では、権力闘争の打開手段として対外的な軍事攻勢が用いられるのである。
そして、日本に対する対外軍事攻勢の布石は、着々と打たれてきた。
即ち、一貫した反日教育と絶え間のない尖閣領有の主張、
そして、一昨年の中国漁船船長逮捕事件から現在の「公船」による日本の「実効支配打破」行動。
さらに、不気味に流れてきたのは、武漢における人民解放軍による献血運動である。
写真の中国人民解放軍の献血車と思われるバスの側面には
「人民解放軍武漢血站」、「愛心献血 关(天の字の上に点を二つ乗せた字)愛生命」と書かれている。
いうまでもなく、軍が軍事行動を起こせば、輸血用の血がいる。
○甚だしい使命感の欠落
我が国を取り巻くこのような深刻な状況のなかで、
総理大臣は、ただ内側だけに目を向けて、増税に命をかけるだと!
野田は一体、何を考えているのか。
使命感の欠落も甚だしい。
この総理大臣を筆頭にして露呈させている使命感の欠落が、かえって、相手の軍事攻勢を招き入れるのである。
即ち、我が国の総理大臣が、
「国土の防衛と国土の復興に、命をかける」
と表明しておれば、相手が為しえなかったことを、
「消費税増税に命をかける」
といったが故に、相手(中共)が為しえると判断することになる。
歴史を見れば、軍事衝突の切っ掛けは、このようにして起こっている。
従って、この使命感なき売国的な与党と総理大臣のもとで、
我が国を取り巻く危機は、増大しつつある。
それ故、梅雨の前までに、
東シナ海で中国人民解放軍の対日軍事行動が開始されても不思議ではない。
一刻も速く、現民主党内閣を打倒して、
救国内閣を樹立しなければならない。